朝起きたら冷や汗かいてた。





「何?どうしたのさ、それ。」

「………はは。」






隣で寝てたイルミがどうしたのかと顔を覗き込んできた。

別に言うまでのことでもなかったから、空笑いをして「なんでもない」と言ってみせたら、

彼は至極不満そうな表情をした。と言っても表情があまり変わらない彼だから、ちょっと眉毛がピクリと動いたとか、そんなちょっとした変化ではあるが。







「ちょ、イ、イルミ、なに」

「だって、ルアが言わないのが悪いんじゃない?」

「だからって朝からこうやって押し倒すのやめてくれないかな?」

「ルアが悪い。オレに隠そうとするから。」

「だ、だって別にたいしたことないし、」

「たいしたことないなら別に言っても支障ないでしょ。言って。」





有無を言わせない、そんな口調と表情で見たあと、イルミはあたしの首筋に顔を埋めてチクリと歯を立てた。







「ちょっ、ちょ、イ、イルミさん!分かった!分かったよ!言います、言いますからやめて。」

「最初からそうすればいいのに。めんどくさいな。」

「(この人は…!!)」







埋めていた顔をあげ、当たり前のようにそう言うイルミの、吸い込まれてしまいそうな黒目を見てあたしは話をした。







「夢、見たの。」

「夢?」

「………食事にね、新種の毒が盛られてて。……それを一生懸命頑張って食べてた夢…多分だから冷や汗かいてたんだと思う…。

ね?だからたいしたことないって言ったでしょ?」

「うん、たいしたことないね。」

「………。」

「新種の毒かー。」






たいして興味もないようにそう言うイルミ。

夢だったから冷や汗かくで済んだけど実際あたしにとっては生死の狭間をさ迷う問題なんだから…!!


職業病って言うのかな、これ。全くとんだ夢を見た。

あ、でも……








「……うん、でも、…いっか。」

「なにが?」

「…聞こえてたの?」

「この距離で聞こえないほうがどうかしてるよね。」

「………。」

「で?なに?まだなにかあるの?」

「いや、別に」

「ふぅん?」

「言います、言いますから押し倒そうとしないで!」

「ほら、早く言いなよ。」





ズイっと大きな黒目を見開いて顔を近づけるイルミ。

慌てて顔を離すルアにイルミは少し不満そうにした。







「ゆ、夢の中で、その、」

「ん?」

「夢の中でも、その食卓中にイルミと一緒にいれたから、まぁ、良いかな、って、思ったの、なんて…」

「………。」

「ほら、たいしたことないでしょ?」

「うん、おいで、ルア。」

「え?」










自分でおいでと言っておきながら、自らルアを自分の方へと抱き寄せた。

イルミの腕の中にすっぽりと収まった彼女の頭をそっと撫でながら、言った。












「可愛いね。」

「は?」

「夢に出てくるほどオレのこと好きなんでしょ?」

「・・・・・。まぁ、実際夢に出てきて嬉しいしね。」

「愛されてるね、オレ。嬉しいなぁ。」

「本当にそう思ってんのかしらね。」

「あのね。オレだって一応感情のある人間。好きなヤツにそんなこと言われたら嬉しいよ?」

「顔は真顔だけどね。」

「ルアは一言多いね。」

















オレも夢に出てくるくらいルアのこと、好きだよ

















そっと耳元でそう言ってきた。

普段滅多に甘い言葉を吐かないイルミのその言葉はものすごく嬉しくて。
















「夢だけじゃなくて今日はずっと一緒にいようか。」

「仕事は?」

「今日はルア専用でいいよ。」












じゃあ、たっぷりとあたしだけを殺してちょうだいね。











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イルミ兄さんだいすき。