前々からおかしいとは思っていたけど、やっぱりおかしかった。
あたしの幼馴染は感覚がおかしい。
今日、改めて実感した。
彼と私の恋愛事情[1]
「や、。」
「イルミ。」
暗殺一家で有名なゾルディック家の長男イルミ、そしてその幼馴染の。
の家はゾルディック家に劣らず有名である。
世界的に有名な医者の一家であった。
しかしそれだけではなく、医者というのは表向きの仕事。
裏では暗殺家業も務めていた。もちろん、ゾルディック家には及びはしなかったが。
そして、なによりゾルディック家専属の医者というのがの家であった。
表では医者を務め、裏では暗殺家業。
そんなこと、世間では誰も想いもしないような家系だからこそ、ゾルディックとのこういった繋がりがあったのだ。
そんな世界的に有名な暗殺一家の長男と、世界的に有名な医者の長女は二人でのんびりと久しい休日を過ごしていた。
「久々だね。こうしてゆっくりできるのは。」
「そうだね。最近忙しかったもんね。あたしもイルミも。」
「うん。なんだか最近仕事の依頼が多いんだ。世も末だね。殺してほしい人間がそんなにいるなんて。」
「いいじゃない。それで成り立ってるんだから。」
「まぁね。は?」
「あたしは、まぁ、そこそこ。最近は治療のほうが忙しいよ。それにあたしはイルミと違ってそこまで腕がたつわけでもないから、
そっちの仕事のほうはイルミほど回ってこないよ。」
「ふぅん。まぁ、は医者としての腕は凄いからね。」
“そっちの仕事”というのはもちろん、暗殺の仕事のことである。
腐っても本業は医者なのだ。
「キル君、元気?」
「元気だよ。」
「ミルも?」
「うん。あ、わかんない。ミルキは部屋にこもってばかりだからね。」
「相変わらずだね。たまに遊びに行こうかな。」
「そうだよ。来ればいいのに。母さんも喜ぶよ。のこと好きだからね。」
「キキョウさん、元気?」
「うん、相変わらずだよ。」
「そっか。」
「ねぇ、。」
「なに?」
パッチリとした大きな黒目、そして表情を変えないその顔でじっと見つめるイルミ。
イルミが表情を変えないことはもう慣れたことなので別段気にはしていないだが、次にイルミが発した言葉には流石に驚いた。
「結婚しようと思ってるんだよね。」
「へぇ。イルミが?」
「うん。」
「よかったよ、イルミにもそういう興味はあったんだね!」
「なにそれ、馬鹿にしてる?」
「してないよ。ただ、ちゃんと健康な青少年なんだなぁって思って。」
「うるさいよ。」
「で?どういう子?」
「何言ってるんだよ。オレの目の前にいるでしょ。」
「は?」
至極当たり前のように、涼しい顔でそんなことを言うイルミに対して、呆気に取られた顔のはなにがなんだか分かっていない。
今イルミの目の前にいるのは自分しかいない、しかしイルミは今結婚しようと思っている、そう言った。
にはイルミと結婚する約束なんてしていないし、するつもりもなかった。むしろ付き合ってもいない。
いかに食べられても毎日毒の入った食事なんてしたくない。
コンマ1秒たらずで一気にそんなことを考えた。
そしてそのあとすぐにイルミがまた口を開いた。
「ということだからさ。結婚しよう。」
「イルミ、大丈夫?」
「なにが?」
「頭。」
「失礼だね、君。刺すよ?」
「それは勘弁願いたい。」
「うん、じゃあ母さんに報告しに行こうか。」
「いやいやいやいや、待てよ、ちょっと待てよ!!!おかしいでしょう!!会話が!!成り立ってないし!!」
「なんで?」
何をおかしなことを言ってるんだ、とばかりに首をかしげてに『なんで?』と問うイルミだが、
からしてみれば『お前こそ何を言ってるんだ馬鹿者!』と言ってやりたいところだった。
イルミとは物心がついたときにはもう既に仲が良かったが、昔から変わっている人間だと思っていた。
まぁそれは今に言うことではないのでさほど気にはしていなかったが、今これほどまでに自分の幼馴染がここまで変わり者だったことに驚いた。
何を言い出すかと思えば改まる様子もなく『結婚しようと思っている』だなんて。
「あのね、イルミ。あたし、イルミと結婚するなんて一言も言った覚えないんだけど。」
「うん。知ってるよ。」
「じゃあなんで」
「オレがのこと好きだから。」
「・・・・・。え?なんだって?誰が誰を好きだって?」
「二度も言わせる気?オレがのこと好きなの。だから結婚しよう。」
「イルミがあたしのことを?好き?うん、まぁそれはいいとしてさ。なにその自分勝手!!」
「まぁいいじゃないか。オレとの仲でしょ。」
「いやいやいや、待て待てお兄さん。あたしの意思は」
「いいよ、そんなの。」
「ちょっとー!!なにこの横暴な人!!いや、知ってる!知ってたけど!!」
「じゃあ行こうか。」
ズルズルと腕を引っ張られて連行される。
離してくれとばかりに抵抗をしてみるも、やはりイルミの力にはかなわずそのままズルズルと引きずられるようにしてゾルディック家の中へと連れて行かれた。
自分の幼馴染はこうまでマイペースだったのだろうか、そしてここまで変わっているとは。
引きずられながらは改めてそれを実感していた。
ゾルディック邸へ足を踏み入れるまで後10歩足らず。
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やってしまった!イルミ夢・・!