「・・・あっれー・・・おかしいな・・!!なんでだろう・・!!」



あたしは今困っている。












彼と私の恋愛事情[9]

















「いやいやいや。だってこの前は普通にまっすぐ帰れたのになぁ・・!!嫌だな、ちょっとこれって。」










迷った!!






仕事(今日は病院)から帰ってきてゾルディック家に足を踏み入れ本邸へ帰ろうとしていた。

途中までミケと一緒だったはずなのに何故だか今あたしは一人だ。

要するに迷ったっていう、ね!!













「こういうときに限ってミケはおろか、イルミも来てくれないんだから!・・・イルミは仕事か!!」







どうにかして門番してるカナリアちゃんを見つけられれば・・・!!!

・・・どうにかならないだろうか、あたしのこの持ち前の方向音痴。

この広いゾルディック家の敷地。

何年も来ているけれど未だに迷う。

イルミには「おかしい」とか「バカ」とか言われたけど無駄に広すぎるこの庭が悪い。

・・・・・・・円を使えばいいのか!














「誰か近くにいますよーに!半径2・30メートルくらいが限界なんだから。」








ミケでもいいから!

と、円を発動すれば円の範囲内に誰かがいた。












「いた!!!」










嬉しくなって気配を感じ取った方向へと走った。

ああ!良かった!円を覚えておいて!

これしんどいからすごく修行が嫌いだったんだけどね!!

こういうときすごく便利!

って言ったらゼノさんに「そんなことに使うものではないんじゃがのう・・・」と若干呆れられたことが過去にある。

とりあえず本邸に帰れるのが嬉しいので気配の先に思い切り駆け込んで行った。












「うわッ!!!」

「あ!!キル君だ!!!」













思い切り駆け込んで行った先にはイルミの弟である三男キルアがいた。

突然のの登場に驚いたらしく、抱えていたスケボーをゴトンと落とした。













「びっくりすんなぁ、姉か・・なんだよ、そんなに走ってきて・・。」

「よかったー!!帰れる!!」

「はぁ!?って、わっ、ちょ、姉っ!!」












嬉しさあまりにキルアに飛びつくと、キルアは頬を赤くしてうろたえた。

そして瞬時に思うことはこの場にイルミがいなくて良かった、と。

きっとイルミがいたら後で折檻されるに違いない。














「まさかだと思うけどさ、もしかしてまた迷った?」

「・・・・えへ!」

「えへ!じゃねぇよ!ったく・・・姉何年うちに来てるんだよ。」

「でも円の範囲内にキル君がいてくれて良かったよ!途中までミケと一緒だったんだけどさ、

なんか気がついたらあたし一人になってて!」

「・・・・。」

「この前はちゃんと帰れたんだけどなぁ・・・。おかしいね。」

おかしいのは姉だから。

「ああ、でも本当良かった。本邸に戻れるよ!」












さ、帰ろう!とキルアの手を取った。

一瞬、キルアの頬は少し赤くなった。

落としたスケボーを抱えて、本邸へと足を向けた。













「あ、イルミには内緒ね?」

「え?」

「また迷ったの、ってすっごい馬鹿にされそう。」

「(そりゃ言いたくもなるよ。)」













キルアの誘導により本邸へと向かう

久しぶりにキルアと二人になったため、積もる話もたくさんあるらしく、先ほどから楽しそうに話している。















「それでさ、この前イルがね、」

「なぁ、姉。」

「ん?なに?」

姉さ、あー、その、本当にいいの?」

「なにが?」

「なにって・・・イル兄と結婚すんの。」

「いいも何も、イルミが勝手に決めちゃったんだもの。」

「でもさ」

「キル君は反対派?」

「は?」

「イルミとあたしが結婚するの。」

「・・・・。」














そう聞かれるとなんとも言えなくなった。

実際、イルミとが結婚すればはずっとゾルディックにいることになり、そして自分の姉になるのだ。

それはそれで嬉しいのだけれど。

なんだろうか、なんとなく寂しさが残る、そんな気持ちだった。













「いや、反対ってわけじゃないんだけどさ・・・イル兄と結婚すれば、姉はオレの本当の姉ちゃんになるわけだし・・・

でも、それで本当に姉が幸せなのかな、って・・・。正直、かなり強引だしさ。」

「うん。イルのそういうとこ、昔から変わってないよね。」

「幼馴染で、家同士縁があるからって無理しなくていいんだぜ?」

「うん。」

「じゃあ、」

「でもね、キル君。」

「え?」

「最近ね、あたし、別にイルミと結婚してもいいかなぁ、って、思うこと、たまにあるんだよね。」

「・・・・マジで?」

「元々イルのこと嫌いなわけじゃないし、どっちかと言ったら好きだし。あ、likeのほうね。でもこうやって一緒に

暮らして、一緒に過ごしてると“幼馴染”だけじゃ見えない部分のイルミが見えてくるの。」

「ふぅん・・・。」

「そういうとこ、結構好きなんだよね。」

「・・そっか。それならいいんだ。好きでもないのに結婚なんて、嫌だろ。」

「ありがとね、キル君。キル君は優しいね。」

「べ、別にっ・・・」













へにゃりと笑ってはキルアに礼を言うと、ほんのり頬を紅く染めながらキルアがそう言った。

そしてはもう一言付け足すようにポツリとキルアに言った。













「でもね、」

「ん?」

「イルにはこのこと絶対言わないでね。」

「え?」

「言ったらうるさいでしょ。『好きなら今すぐ結婚ね。』とか言い出しかねないからさ。」

「・・・・・・確かに。」












リアルにそんなイルミが想像できるものだから、互いに目を見て苦笑した。

そんなことを話してる間にも、キルアのおかげで本邸まで到着することができた。

本邸の前ではイルミが待っていたとばかりに立っている。















「あ、イル。」

「あ、イル、じゃないよ。遅い。」

「ごめん。迷ったの。」

「ふぅん、また?で?なんでキルと?」

「あたしの円の範囲内にいたのがキル君だったんだ。だから一緒に来てもらったの。」

「ふぅーーん・・・。」










イルミがジロリとキルアを見ると、蛇に睨まれた蛙と言わんばかりにキルアは体をこわばらせた。

あぁ、きっと兄貴はオレと姉が二人で一緒にいたのが気に入らないんだな、とすぐに感じ取った。

そんなイルミの睨みをだって見逃すはずもなく。












「イルミ。キル君に意地悪したら一週間口聞かないからね。キル君はここまで案内してくれたんだからね。」

「・・・・・・・。分かったよ。」

「(ホッ・・!!サンキュー、姉・・・!!)」

「ていうかね、がバカなんだよ。何度来たら分かるのさ。」

「・・・・・それは否定できないけど!バカって言うことないでしょ!」

「あと、」

「え?」

「口聞かないなんて言うな。・・・ムカつくな。」











プイっと後ろを振り返るとイルミは一人でスタスタと家の中へと入って行ってしまった。

そんな様子をとキルアは後ろから見送るように、見つめていた。













「キル君。」

「・・え?」

「分かった?イルのこういうところ、結構好きなんだ。」

「オレはあんな兄貴初めて見たよ。」

「うん?結構あんな感じだよ。」

「・・・・イル兄が人の言うことすんなり聞き入れるなんてそうないのに。」














この人が嫁いだら、きっとある意味最強の存在になるんじゃなかろうか。

キルアはこっそりそう思い、そしてが嫁いでくることを切に願った。













(だって姉がいれば兄貴のジャイアニズムから多少開放されるだろ!)








(24)、結婚までのカウントダウンは如何にして。












*****

キルアは多分が好きだったんです。自分で気づいてないだけ。