「イルミ!」
「なに?」
「買い物付き合って!」
「えー・・・・。めんどくさい。」
「駄目?じゃあいいや。」
「何処行くの?」
「キル君の所。キル君に付き合ってもらうよ。」
ピシッ、とイルミの青筋が立った気がした。
彼と私の恋愛事情[11]
ベシンッ、軽快な、それでいて痛そうな音が部屋に響いた。
「痛っ!!なんで叩くのー!!!しかも頭!!」
「なんとなくムカついたから。行くよ。後10秒で準備して。」
「え?付き合ってくれんの?」
「10−・・9−・・、」
「わっ、わっ、準備するよ!!」
優しいんだか意地悪いんだか分からないよね、イルミって!
そう言いながら慌てて支度をするをイルミはカウントしながら無表情ながらに楽しそうに眺めていた。
「何処行くのさ。」
「うん?洋服買いに行きたいの。」
「まさかそれだけとか言わないでしょ?」
「まさかそれだけとか言っちゃってもいいですか?」
「・・・・・・・はぁぁ〜〜〜・・・。」
「そうあからさまにため息つかないでよ・・・。」
「だって折角の休日だし。」
「だってイルミに洋服選んでもらいたかったんだもん。」
「・・・・は?」
「イルミはどういう服装が好きなのかなーって思って。幼馴染長いけど、そういうの知らなかったからさ。」
「オレが行くの渋ったらキルと一緒に行こうとしてたくせに?」
「キル君に聞こうと思ったんだもん。イルミの好み。ミル君じゃ分かんないだろうし、
第一ミル君は外に出ようとしないしね。」
「ふぅん。別にいいけど。」
「後荷物も持ってもらいたいしね!」
「あっそ。」
の意外な返答にしばし目を丸くしたが、まさかの言葉にイルミもまんざらでもなさそうだった。
いくら感情が表に出ないからと言って好意を抱いてる彼女にそんなことを言われればイルミだって嬉しくなるものだ。
彼だって人間であり、男であるのだから。
イルミのそんな様子には気づかず、は久々の買い物だと張り切っていた。
「ねぇ、まだ買うの?」
「うん。だってまだ全然買ってないよ。」
「何言ってるんだよ。見て、オレの両手。ショップバッグで埋まってるんだけど。」
「だってイルミがこれいいんじゃない?とか言うから。」
「言ったけど、全部買うことないでしょ。あー、重い。」
「嘘ばっか。そんなの重くないくせに。」
「あのね。それがヒトに持ってもらってる態度?」
「イルミ、見て、これ可愛い!」
「・・・・・・・・・・・・・オレは左の方がいいけど。」
「すいませーん、これください!」
「・・・・・・・。(ま、いっか・・・。)」
イルミの両手にはどっさりとショップバッグ。
もちろん、全ての買ったものである。
全てイルミの意見を聞いて買ったものだ。
『どっちがいい?』『イルミはどれが好き?』などとが嬉しそうに聞くものだから
イルミもついついそれに応えてしまっていた結果、こうなった。
『そろそろ終わりにしてくれ』、だの、『もういいでしょ』だの文句を言うがの買い物はまだ終わらなかった。
そしてそんな文句を言いながらも、彼女が自分に聞いてくればなんだかんだ応えてしまうのだ。
「えへへー、いっぱい買っちゃったー。」
「買いすぎ。」
「ありがとね、選んでくれて。」
「本当だよ。感謝してよね。こんなことするの初めてだよ。」
「そうなんだ。」
「当たり前でしょ。」
また一つ、大きなため息をついてチラリと自分の手元の大量のショップバッグを見た。
まぁこのぐらいで彼女が喜んでくれればいいか、イルミは思った。
そんなことを思っていたらは『あ!』と声を上げて違う店を指差した。
「・・・今度は何?」
「イルミ、ここでちょっと待ってて!」
「なんで?」
「いいから!すぐ戻ってくるから!」
「・・あっそ。」
大量の荷物を持ったイルミを置いては目当ての店へと走っていった。
一人で行ったところ、そんなに買うものはないのだろうけど。
ふぅ、と一息ついてイルミは近くのベンチへと腰をかけた。
(なんか久々に体に疲れを感じる。・・・・・まぁ、いいけど。)
バキバキ、と首を鳴らすイルミ。
数十分もするとが小走りで戻ってきた。
「ごめん、ただいま!」
「遅い。」
「ごめんって。」
「何買い物してきたの。」
「ん?はい。」
「?」
「イルミに。」
「オレに?」
「うん。」
「なに?」
「見れば分かるよ。」
少し小さめのショップバッグをガサゴソと開けた。
入ってたものを取り出しきょとんとした。
「・・手袋?」
「うん。もうすぐ寒くなるでしょ。」
「別にいいのに。」
「色違いの買ったの。イルミが黒で、あたしが白ね。なんか、そういうの欲しかったの。」
だからいいでしょ?へにゃりとそう笑うを見て不覚にもドキっとしてしまった。
そんな顔で、そんなこと言うなんて卑怯だ、イルミは思ったが言わなかった。
そしてポツリと一言放った。
「ありがとね。」
「いいえ。」
「使うかどうかは別だけどね。」
「うわー!なにそれ!」
「冗談だよ。せっかくがくれたんだしね。それになんて言うんだっけ、こういうの・・・」
「?」
「あー、そうだ、“ペアルック”?って言うんでしょ。」
イルミにそう言われた瞬間、少し恥ずかしくなったけど一応『そうだね』とは応えた。
「ねぇ、イルミ。」
「なに?」
「あたしさ、」
「うん。」
「・・・・・・・・・やっぱいいや。」
「なんだよ。言いなよ。言わないと刺すよ。」
「オーイ、脅しですか。うん、今度言うよ。」
「約束ね。」
「うん、約束。」
(あたし、イルミのこと好きだよ。)
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結婚までカウントダウン!