「いーーーーえッッッ!!!!絶対にピンクよ!!!ピ・ン・ク!!!!!」
「嫌だ。白。白だね、絶対。」
「もぉッ!!絶対にピンクよ!!!」
「白。」
「・・・・あのーーー・・。」
あたしの目の前で激しい言い争いをしているのはキキョウさんとイルミ。
彼と私の恋愛事情[13]
昨日イルミに「結婚しよう」と言われた。
最初は、こいつ何を言ってるんだと思ったけどそんな自分の意向とは裏腹に勝手に(仮)婚約者として
ゾルディック家に住むことになった。
イルミとは幼馴染だし、嫌いじゃなかった。むしろ、好きではあったけどそういった意味の好きではなかった。
だけど、毎日イルミと一緒に過ごして、今まで知らなかったイルミを見たり、優しさに触れたり、
いつの間にかあたしも“そういった好き”になっていた。
だから、昨日イルミに言われた言葉に二言返事で返した。
「うん。」と。
あたしが結婚を承諾すればイルミはその日のうちに早速家族に報告した。
「オレ、と結婚することになったから。ね、。」
こうもあっさりと。
もっとこう・・・ロマンチックな感じで言えないのだろうか、なんてイルミに求めちゃいけない。
その場にいたキキョウさんはその素敵な高いお声で叫び、ゼノさんは『ひ孫まで見れるのか』と嬉しそうに頷き、
カルトちゃんは持っていたお皿をガシャンと落とし、ジュースを飲んでいたキル君はそれを漫画のように噴出した。
(シルバさんは仕事で不在、ミル君はいつものように部屋にひきこもってた)
それはもうありがたいことに家族皆さん大喜びだった。特にキキョウさんなんて嬉しさのあまりに感極まって泣いていた。
『ちゃんがとうとう私の娘になるのねッッ!!!!』と。
キル君は信じられないといった表情で『本当にいいのか?』と聞いてきた。
のちのち帰ってきたシルバさんもとても喜んでいた。
そこまでは、いい。そこまでは。
そして今日。
思いもよらなかった・・・・いや、よくよく考えれば考え付いただろうことがゾルディック家の居間で起こった。
「駄目よ!!!!ちゃんのウェディングドレスは絶対にピンクよ!!!!」
「白だよ。純白。」
「まぁぁぁっ、それじゃあつまらないでしょ!!!!可愛いフリルのついたピンクよ!!!!ちゃんにはピンクが似合うわ!!!!」
「まぁ、は何色でも似合うけどね。でもドレスは絶対白。これは絶対譲らない。」
あたしのウェディングドレスの色でもめていた─・・・・
衣装に関してうるさいキキョウさんだ、よく考えればこんな問題も起こるに決まっていた。
でも珍しくイルミが衣装に関して口を挟んだ。
ピンクだと豪語するキキョウさんに、イルミは絶対に白だと言い張った。
「キ、キル君・・・どうしよう。」
「え?オレ知らねぇよ・・・つか、珍しくない?兄貴がそういうのに口挟むの。」
「そうだよね。」
というか、少しはあたしの意見も聞いてほしいんだけど。
ここの人は全く人の話を聞かない。・・・あ、キキョウさんとイルミだけかな。
しかしそんな呑気なことを考えてる場合でもなかった。
言い合いもヒートアップしてきてイルミもキキョウさんも互いに念を発動させようとまでしていた。
いやいやいやいや、ドレス一つで大怪我する気ですか。
それを阻止すべくあたしはイルミに声をかけた。
「ねぇ、イルミ。あたしの意見は聞こうとは思わないの?」
「え?だっては白がいいでしょ?」
「・・・・・・・・・なんで勝手に。」
「そうよね!!!!!ちゃんはピンクよね!!!!!!」
「いや・・・それも・・・・」
「おふくろは黙ってて。ていうかオレとの問題だし。結婚するのはオレらなんだから。」
「まぁぁっ!!!そんな口をきくようになって!!!!」
「そうか、着るのはなんだ、、ピンクと白、どっちがいいか決めなよ。」
「・・・・ピンクと白以外に選択肢はないのね。」
いや、青とかそんな奇抜なものが着たいからとかそういった意味合いで言ったわけではない。
あたしの意向は全く無視で選択肢が二つしかないことが問題だ。
でもこうと言ったらこうだというイルミ。めんどくさいからそんなこと言わない。
もちろん、ピンクは好き。可愛いもの。
でもウェディングドレスの定番と言ったら純白。
どうしたものか。
「ていうか、イルミがそんなことに口挟むの、珍しくない?」
「なんで?」
「別に、『ドレスの色なんてなんでもいいよ』とか思ってそうじゃない。」
「まぁ、普段だったらね。でもせっかくが結婚してくれるって言ったんだし、これはオレも選びたい。」
「・・・・・・。」
そんな理由。
なんだか、すごく嬉しくなった。ただの自己中じゃなかったのね。
そんなこと言われたら、決まってるじゃない。
「すみません、キキョウさん。ピンクも素敵なんですけど・・・白がいいです。」
「まぁぁっ!!!!・・・ちゃんがそう言うなら・・・仕方ないわね。・・・っでも!!!
うんっっと可愛いものを着てもらいますよ!!!!」
「あ、はい・・・。ありがとうございます。」
あたしがそう言うと、イルミはきょとんとした顔であたしを見ていた。
「ふぅん。」
「なぁに?白が良かったんでしょ?」
「まぁね。だって、花嫁の純白は花婿が汚してやりたいだろ?」
「・・・・・・・・・あのね、」
「それに、は絶対似合うと思うし。」
「・・・まぁいっか。」
満足そうなイルミの横顔を見て、許せてしまうあたしも相当。
彼のこと、好きなんだ、って。
人間、変わるものだって、改めて思った。
あたしも─・・イルミも。
*****
あともうすこし!