本当にこの人は。

イルミはどうしてこうもやることが奇抜なんだろう。

しかもそれを本人が分かっていないし意識もしてないから性質が悪い。

今、イルミはあたしの上に馬乗りになっている。
















彼と私の恋愛事情[14]
















イルミと結婚すると決めて数日経った。

式の日取りも決まった。

こんな家業なもんで、式には本当に身内しか来ないことになった。

ヒソカやクロロも呼びたいと言ったらイルミがそれを却下した。

『うざい』からだと。

式まで少し落ち着いて暮らせるかと思えばそういうわけではなかった。




















「あたし、お風呂入ってくる。」

「じゃあオレも。」

「・・・聞こえてた?“あたしが”お風呂に入ってくる。」

「バカだな、この距離で聞こえないわけないだろ。」

「・・・まぁ、先に入りたいんだったらイルミいいよ。」

「何言ってるの、一緒に入るんだよ。」

「・・・・・ゴトーさーん、ちょっとこの人病院連れてってもらっていいですか。」

「ゴトーはここにはいないし、第一医者ならお前がいるだろ。」

「・・・・・。」














なんとイルミは一緒にお風呂に入ると言いだした。

いやいやいや、いくら結婚が決まったからと言って・・・この男は。














「何を言い出すかと思えばイルミさん。」

「いいでしょ。夫婦なんだから。」

「まだ式はあげてない。」

「これから挙げるし夫婦ってことには変わらない。」

「絶対一緒には入らない。」

「は?何言ってるの?刺すよ?」

「あたしも刺すよ。」

「オレに勝てると思ってんの?」

「思わないけど、抵抗ぐらいはするわ。」

「そこまで拒否されるとさすがのオレも微妙にショックだけど。ていうかムカつく。」

「あのね。突発すぎなの!!」














もう嫌だこの人・・・・。いや、もうイルミだし仕方ないんだけど・・・!!!














「なんで嫌なのか理由ぐらいはいいなよ。」

「だって、恥ずかしいから。」

「何を今さら言うかと思えば。」

「当り前でしょ!大体イルミは恥ずかしくないの?」

「別に。ていうかね、オレの前で結婚する前から堂々と着替えする女が恥ずかしいとか言わないでくれる?」

「着替えは仕方ないでしょー。部屋一緒なんだし・・・。」

「だったら少し恥じらうとかしたら?下着でいられるとこっちだって困る。」

「じゃあキキョウさんに頼んで部屋変えてもらう?」

「ふざけるなよ。」

「だって今日は、」

「本当、ってムカつくな・・・。」














イルミがそう言った瞬間、グイッと腕を引っ張られボフンッと鈍い音と共にベッドへダイブ、

そしてあたしの視界は反転していた。















「ちょっと、イルミ。あのね、」

「あのさ、風呂に一緒に入りたいとか、そんなの問題じゃない。」

「じゃあ何?」

「ここまでして言わせる気?」

「え?」

「はぁぁ・・・。本当ムカつく・・・。」






















その瞬間、イルミがやや強引にキスをしてきた。

少し驚いたものの、あたしはイルミのそれを受け入れた。

しばらくすると唇を離し、イルミはその大きな瞳であたしをじっと見た。

そんなに大きな瞳で見られると慣れてるとはいえ、少し逸らしたくなる。

だけど、そうさせないのがイルミ。

あたしが少し顔を逸らそうとした瞬間、顎を片手でグイッとつかみ、口を開いた。




















「オレにこんなに余裕無くさせるの、ぐらいだよ。」

「何言ってるの?」

「壊したくなるぐらいのこと好きだよ、オレ。」

「・・・壊されたらたまらないんだけど。」

「だいぶ我慢したんだけど。」













あたしの髪の毛をもう片方の手で弄くりながらイルミはそう言った。

あぁ、そういうことか、と納得するけど、あたしだってあたしの都合ってものがある。














「イルミ、」

、オレのこと好き?」

「え?」

「オレ、独占欲強いほうなんだよね。」

「知ってる。」

「欲しいものは自分のものにしないと気が済まない。」

「・・・・モノとか言わないでくれる?」

「気に障ったの?」

「当り前でしょ。・・・仮にも、好きな人にそんなモノ扱いされて嬉しくない。」

「ふぅん。でもそれじゃあ分からない、ちゃんと言いなよ。」

「え?」

「オレのことをどう思ってるのかちゃんと言えって言ってるんだ。」














この男は・・・。何処までジャイアンなんだ。

だけど、このジャイアンを好きになってしまったのは自分だ。

イルミの性格なんて昔から分かってたこと。

あたしも頭おかしくなっちゃったのかな。















「イルミのこと、好きよ。」

「まぁ、いいや。合格で。」













そう言った瞬間、よいしょ、とあたしの服をまくり上げようとした。

あたしはそれを全力で阻止すべく馬乗りになってるイルミを両手で押し返した。















「何するんだよ。」

「何するんだはこっちのセリフよ。何してんの。」

「いいでしょ、別に。こどもじゃあるまいし。」

「そういう問題じゃなくて。」

「何?嫌なの?」

「イルミとするのが嫌なんじゃなくて・・その・・・」

「なに?はっきり言いなよ。」











イルミが若干イラついてるのが分かった。

イルミも健全な男子だったことにも多少驚いたけど。

だけど、ここでするわけにはいかない。














「─・・なの・・。」

「なに?聞こえないんだけど。」

「今日生理なの!!・・・分かった!?こんなこと言わせないでよ、もう!!恥ずかしいんだから!!」












イラついてたイルミの表情が一気にきょとんとした表情に変わった。

そして深いため息をつきベシッと軽快な音をたててあたしの頭を叩いた。












「痛っ!なによ!」

「先に言ってくれる?そういうこと。」

「言おうと思ったけどイルミがいきなり押し倒すし。」

「なんかすごいしてやられた感じ。」

「ごめん。・・今度、ね?」

「はぁ。にはかなわないよ。オレ。」

「え?」

「ムカつくけど、なら許せる。」




















そう言いながらイルミはあたしにタオルを投げつけてきた。

『さっさと風呂入ってきなよ。』そう言ってソファに腰をかけた。

普段余裕たっぷりのイルミのこんな姿を見るのは初めてで、同時にやっぱり思うことは

この人も人間の男なんだ、と。そう思うとおかしくなった。

そんなあたしに気づいたイルミはムッとした表情で(とは言っても大して表情は変わらない)

『ニヤニヤしてないで行けよ。気持ち悪い。』と悪態をついた。














「イルミ。」

「・・・・なに?」

「大好き。」

「・・・・・・・。本当、ムカつく、って。」















今までないぐらい、驚いたイルミの顔が、ほんの少し、ほんの少しだけ赤くなった気がした。














*****


兄さんだって、男なんです。笑