久しぶりの何もない休み。
あたしもイルミも。
どうせ式間近になったら色々とバタバタとして忙しいだろうから、
こんなたまの休みぐらい、イルミとまったり過ごそう、そう思った。
彼と私の恋愛事情[15]
・・・と、思ったんだけど、そのイルミがいなかった。
仕事はないはずなのに。
「姉、おはよー。」
「あ、キル君、おはよ。ねぇ、イル見なかった?」
「イル兄?見てねぇけど・・・なんかあった?」
「え、や、別になんもないんだけど・・・」
「ふぅん、なんもないのに姉がイル兄のこと探すなんて珍しいね。」
キル君に言われて自分でも思った。
何も用事がないのに、イルミのことを自ら探してるだなんて。
なんとなく、理由はないけど、勝手にそうしてただけ。
「・・・・そうか、うん、そうよね、別に何もないのに探さなくてもいいじゃない。暇だしミル君の所に遊びに行こう。」
どうせミル君だって暇してるはず。
きっとパソコンと遊んでるに違いない。
「ミル君。入るよー。」
「わっ!!なんだよ!姉かよ・・!!入るよって言いながら入るなよ!なんも言ってねぇじゃん、オレ。」
「いいじゃない、そんな。相変わらずすごい部屋だね。」
「うるせぇなぁ・・・。」
ふごふごと言いながらなんとなく、床に散らかっていた雑誌やら何やらを足でどけてくれた。
あたしが座るためのスペースを確保してくれたのだと、そう受け止めた。
ミル君は口では悪態ついても、なんだかんだ優しい。
「ねぇ、なにしてるの?」
「依頼人のメール見てんだよ・・・。」
「ふぅん・・。これで殺し屋だもんね、びっくりだよ。」
「うるせぇなぁ、姉は!・・・そういや、今日仕事じゃねぇの?」
「うん、今日、久々になにもないんだ。」
「ふーん。イル兄は?」
「え?知らない。さっき探したけど、いなかった。」
『あっそ。』と、若干興味なさそうな適当な返事をしてまたパソコンのキーボードをカタカタと打ち始めた。
ううん、なんでミル君だけこんなにでぶっちょになっちゃったんだろう、なんて、心の中で密かに思った。
仕事をしているというミル君をおかまいなしに、あたしはミル君に話しかけ続けた。
『うるせぇな、集中できないし!』、『ちょ、もう出てけよ』とか言いながらもちゃんと会話の受け答えをしてくれる。
「でね、この前イルミがね、」
「つーか、姉、この部屋来てからオレに話してること、全部イル兄のことばっかだな。」
「え?嘘。」
「嘘じゃねぇよ、こんなことで嘘ついても仕方ないだろ。」
驚いた。そうだったのか、イルミのことしか・・・。
なんとなく、それを言われたら言葉が出てこなくなってきたから、あたしはミル君のお部屋から退散することにした。
とりあえずやることもないので、部屋に戻ろうと思い、部屋の方向へと足を向けた。
部屋の前まで行くと、部屋から人の気配を感じた。
あぁ、イルミが帰ってきてるのか。
そう思ったら、何故かちょっとだけ、嬉しくなった気がした。
「あれ、。何処行ってたのさ。」
「ミル君の部屋でずっと話ししてた。多分、仕事の邪魔してたようなもんだけど。」
「ふぅん。(後でミルキをいじめにいこう。)」
「イルミ。駄目よ、ミル君いじめちゃ。」
「あれ、なんで分かったの?」
「なんで分かったの?じゃないよ・・。もう。イルミは?何処行ってたの?」
「別に、ちょっと本、取りに行っただけ。」
「そっか。」
ソファで座って早速その本を手にとって読むイルミ。
なんとなく、あたしもイルミの隣に座ってみた。
「なに?」
「別に。いいよ、気にしなくて。本、読んでて。」
「うん。」
パラパラと本をめくる無機質な音が静かに部屋に響く。
本を読むイルミを横目で見たら、腹が立つほど綺麗な整った顔をしてた。
普通にしてれば、ただの美少年、・・・少年じゃないから美青年とでもいうのか。
あたしがそんなことを思ってるのも余所に、イルミは本を読み続けていた。
(─・・・なんの本、読んでるんだろう。)
40分くらいが経過しただろうか。
相変わらず、イルミは本を読んでいる。
こちらなど見向きもしない。
こんなこと思うなんて気持ち悪いかもしれないけど、なんだかそれがすごく寂しくなった。
本ばかり。
隣にいるっていうのに、見向きもされないなんて空しい。
あたしは、ついにイルミに声をかけた。
「イルミ。」
「なに?」
「楽しい?本。」
「つまならなかったら読まない。」
「ふぅん・・。」
「なに?」
「え?」
「なんか、言いたそうな顔してる。」
「・・・・・。」
あぁ、もう。伊達に長い付き合いじゃない。
イルミはすぐにこういうことに気がつく。
気がつかなくてもいいのに、そう思いつつも、ちょっと嬉しかった。
あたしは、思ってることを口にした。
「ねぇ、かまってよ。」
「なんだ、そんなことか。」
あたしが一言そう言ったら、イルミは本をパタンと閉じてあたしの顔をじっと見た。
大きな眼。吸い込まれそう。
「珍しいね、がそんなこと言うなんてさ。」
「なんか、気づいたらイルミのこと考えてた。」
「え?」
「悔しいけど、あたし、自分でも気がつかないうちにイルミのことすごく好きになってる。」
「・・・それ、殺し文句?」
相変わらず表情は変わらないけど、イルミの目がいつもよりも優しかった。
クシャクシャ、とあたしの頭を撫でながら、イルミは言った。
「ま、に殺されるならいいか。」
そう言ってイルミはあたしに優しく、唇を重ねた。
*****
たまにはちゃんも。