結婚式って、感動的なものなんだと思ってた。

よくドラマとか、なにかのテレビ特集で結婚式の様子を見たりして、そう思った。

でも、やっぱりそれはただの“ドラマ”なんだって。

















彼と私の恋愛事情[15]

















「まぁぁぁぁぁーーっ!!!!!ちゃんっ・・・!!!!」

「キ、キキョウさん、落ち着いて・・・。」

「落ち着いていられないわ!!!まぁぁ!!!!本当に可愛らしいわぁ!!!!!」

「あ、ありがとうございます。」











式当日。

ドレスに着替えたを見たキキョウはこれ以上ないぐらいに感嘆の声を上げた。

キキョウのその様子に苦笑しつつも、実際ドレスを着てみるとこれがまた少し照れくさい様子の

義母となるキキョウは実の娘のようにを可愛がっている。











「入るよ。」










コンコン、ノックの音がした瞬間、ガチャリとドアが空いた。

ノックをしたにも関わらずズカズカと控室に入ってきた人物は言うまでもなかった。











「イ、イルミ!」

「や。」

「や、じゃないよ!ノックした意味ないじゃない。」












イルミもまた、いつもとは違う衣装を身にまとっていた。

黒のタキシード、首元が窮屈なのが気に入らないのかすでにボタンが

2つほど外れているあげくにネクタイも絞めていない。

突然の登場にキキョウは『デリカシーがないわ!!!』とキィキィ怒っていた。

そんな母を軽くあしらうかのようにイルミは

『ごめんごめん。気をつけるよ。と二人で話したいから出てってくれない?』

とキキョウを部屋から出した。

そんなイルミの行動にはもう呆れて物も言えない、といった感じだ。












「へぇ。」

「なに?」

「うん、いいね。」

「え?」

「ドレス。似合ってる。可愛いよ。」

「え、あ、わ、えっと、あ、ありガとウ?」

「なにそのカタコト、何人だよ。照れてるの?」

「だ、だってそんなストレートに言われると・・・。」

「ふぅん、でも照れるのか。」









イルミのストレートな感想に思わず珍しく頬を紅くして照れてしまう

まさかイルミがそんなこと言うなんて、とも思ったが、よくよく冷静に考えれば彼は

これこそそんなにストレートに?と思うほどに結婚の話を持ちかけてきた男だ。

そしてのそんな照れた姿を見て実に面白そうに、イルミは見ていた。










「イルミも、似合ってるよ、その格好。」

「窮屈なんだよね、早く脱ぎたい。」

「ちょっと我慢しようよ・・・あたしなんてもっと動きにくいんだけど。」

「我慢しなよ。」

お前に言われたくないですけど。


































式本番。

新郎であるイルミはすでに神父様の前に立ち、を待っている。

周りでは座っている親族(ゾルディック家と家しかいない)、キキョウなんかは

まだも登場してないというのにハンカチで目を(スコープ?)拭いていた。

しばらくすると、綺麗なドレスを身に纏ったが現れる。

後ろではドレスの長い裾をキルアとカルトが持っている。











「待ってたよ。待ちくたびれた。」

「あのね、少しの間なんだから我慢してよね・・・。」








もう式本番、これから誓いますよ、というところに来てイルミが文句を言う。

この男は空気を読んでほしい、今はゾルディック家だけではなくの両親も来ているのだから、

はそう思い少し不安になりチラリと自分の両親を見れば、

新郎に自分の娘を引き渡したことに感無量なのか、ニコニコと微笑んでいる。

「あ、駄目だ、うちの親。」は心の中でぼやいた。









「この服窮屈だし、早く式終わらせたいな。」

「だからね、」

「すみませんが、ご静粛に。」

「ほら、のせいで怒られた。」









あたし本当にこの男と結婚していいのか、今からでも遅くないんじゃないか。

は切実にそう思った。キルアも同情の眼差しを向けている。

しかし神父の言葉が始まり、そうも思っていられなくなる。























「汝は、この男イルミを夫ととし、女を妻とし良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、

愛を誓い、夫イルミ、妻を想い、夫イルミ、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」







チラリとイルミを見ると、彼もチラリとを見た。

こんなときでも相変わらず無表情だったが、一瞬、口元だけにこりと笑い言った。












「誓うよ。」










イルミがそう言うと、もにこりと笑ってそれに応えた。









「誓うわ。」









誓いの言葉を交わすと、神父が例のお決まりの言葉を言った。










「では、誓いのキスを。」









人前でキスをするのは少し恥ずかしい気がするが、これは致し方ないのだろう、ほんの一瞬だ、はそう思った。

の頬に手を触れ、自分よりも身長の足りないに合わせ、少しかがむイルミ。

そっと、唇が触れた。

そこまでは良かった。そこまでは。

がおかしいなと感じ始めたのはキスを交わして10秒ほど経った頃だろうか。











(─・・・長い!!!!!!)










いつまで経ってもイルミは離そうとしなかった。

この男はこんなときに何を考えているんだ、と一喝してやりたい気持ちでいっぱいのだったが

口をイルミによってふさがれているため、それも叶わない。

せめてもの反抗と、早くやめてくれという気持ちをこめ拳でイルミの胸をドンドンドン、と叩いた。

イルミでなければ、相当痛いぐらいの力で。

しかしその行動がイルミを煽ったのか、やめるどころか深くなった。











「ん・・!!!んん・・!!!」










もうキスとかこの際どうでもいい、そう思ったは閉じていた目を開けた。

その気配に気づいたのかイルミもパッチリと目を開け、「何か?」とでも言いたげな表情をした。

は思いっきり睨みつけ『今 す ぐ や め て く れ』とそんな気持ちを送った。

すると、少しやりすぎたのか、とようやくイルミは唇を離した。

離した瞬間、から罵声を浴びせられることになる。











「イルミ!!!何考えてるのよ!!!」

「キスしてくれって言ったのはそこの神父だろ。」

「誓いのキスでそんなに長くする人なんかいないわ!!酸欠になるかと思った!!!」

「またそういう嘘を言うのはやめなよ。があれぐらいで酸欠になるなんてそんなヤワじゃないだろ。」

そういう問題じゃない・・・!!!もうやだ、結婚取り消したい。」

「何言ってんの?刺すよ。」

「あたしも刺すわ!!!」











恥ずかしさからか、の頬は赤くなっていた。

そんな光景を見ていたキルア達は呆れ、苦笑していた。











「結婚式でもこれかよー。ていうか姉がかわいそ。」

「イル兄さまがいけないよ。姉さまが怒るの当然。僕、姉さまが心配になってきたよ。」

「オレも同感・・・。」










キルアとカルトがそんなことをぼやいていると二人の間をものすごい勢いでビュンッと何かが飛んできた。

が思わずイルミに投げつけたブーケだった。

もちろん、それをヒョイと交わしたイルミを通り越しキルアとカルトの間をすり抜けブーケは一人の男に当たった。










「ふがっ!!!!痛っーな!!!!!姉!!!!こんなもん投げないでくれよな!!!!」











ミルキだった。

見事ミルキに飛んできたブーケの花はハラリと静かに花弁を散らした。











「ミル君ごめんね。でも言うならイルミに言ってね。イルミが避けるから。」

「避けないわけないでしょ。ミル、なにか言いたいことがあるなら言ってごらん?」

「!!・・ね、ねぇよ!」

「そう。それならいいんだけど。」










兄の威厳というものをここぞと行使するイルミ。

イルミに逆らえるはずがないのだ。

後でなにをされるか分かったものじゃない。












「ま、式も終えたしさ。これで本当に夫婦だね。」

「あたし間違ってたんじゃないかしら・・・。」

「何言ってんのさ。を幸せにするのはオレしかできないよ。」

「・・期待してる。」

「うん。」



















幼馴染から一転して結婚。

多分、イルミに付き合っていけるのなんてあたししかいないんじゃないかと思う。

こんな破天荒で奇天烈な人、そうそういない。













イルミ=ゾルディック、

このたび無事に結婚。







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