こういうとき、この人本当に操作系だな、って思う。
ありえないくらいマイペースだ。
彼と私の恋愛事情[2]
「まあ!まぁまぁまぁまぁ!!!ちゃん!!!いらっしゃい!!久しぶりねぇぇ!!!」
ゾルディック家の中に入った瞬間、出迎えられた第一声はイルミの母でもあるキキョウだった。
相変わらず甲高いその声でが来たことを盛大に歓迎していた。
「あ、キ、キキョウさん、お久しぶりです・・。」
「元気だった!?まぁー!相変わらず可愛らしいわ!!」
「キキョウさんも相変わらずお元気で何よりですよ。」
「うふふ。そういえばね!この前キルったら」
「母さん。」
「あらっ!イルミ、いたの!お帰りなさい!!」
「うん、ただいま。」
自分の息子の帰りよりも他人の娘の存在のほうに先に気づくなんて、と思うがこれがイルミの母だ。
普通ではないことはもう重々承知であるは今更そのことに対して何も思わない。
寧ろそれが普通ですらあるとも思う。
「母さん、父さんは?」
「あの人ならもうすぐ帰ってくるんじゃないかしら?」
「そ、ならいいんだ。」
「最近ちゃんが来てくれないから寂しかったのよぉ。」
「あはは。誰かが怪我でもしたらすぐにでも治療に駆けつけますけどね。まぁゾルディック家の方が怪我なんて滅多にないですから。」
の家、家はゾルディック家が専属としてつけている医者であり、誰かがが怪我などをした場合は早急に処置できるようになっている。
怪我だけではなく定期的に体のメンテナンスも行うが、これも家が代々診てきている。
つまりゾルディック家の体の異常が起こったらとりあえず家がすぐに駆けつけるようになっている。
「今日はどうしたの?遊びにきてくれたの?」
「え、あぁ、そうです、キキョウさん、聞いてくださいよ、イルミが」
「あー!!姉!!来てたのかよ!!」
イルミの横暴っぷりをキキョウにチクろうとしたところ、元気な少年の声に遮られた。
声の主の方を見てみればフワフワといた銀色の猫毛の少年がこちらへ走ってくる。
「キル君!久しぶり!!」
「姉最近会ってねぇじゃん!なんで来なかったんだよ!」
「キル君が怪我でもしたらすぐにでも駆けつけたけど。」
「んだよー、それ!」
「あはは。あれ、背ぇ伸びた?」
「マジで!?」
「嫌だな、後少しで追い抜かれちゃう。」
ゾルディック家の三男、キルア=ゾルディック。
イルミの弟であるキルアはを本当の姉のように慕っていた。
もキルアを本当の弟のように可愛がっていたのでこうしてキルアと会うのは嬉しいものであった。
「姉、今日どうしたんだよ?遊びに来たの?」
「あ、そうだ、聞いてよキル君、イルミが」
「キル。」
先ほどキキョウに言いそびれたイルミの横暴さを今度はキルアにチクろうとした。
が、の後ろにいたイルミが静かにキルアの名前を呼んだと思えば、キルアは顔中冷や汗を流しからバッと身を引くように後ろへ下がった。
はイルミが後ろにいるためその表情は見えないが、イルミはいつものように表情一つ変えずにいたがその目は威圧感をたっぷりと醸し出していた。
そんなイルミの威圧感に耐えかねたキルアは慌てて身を引いた。
「キル君?」
「あ、わ、悪ぃ、姉、オレ、ちょっと、その、用事思い出した・・!!」
「え、あ、キル君!!」
の後ろで自分を刺すような視線で見つめる長男にすっかり怯えきったキルアの様子に気づきもしない。
一方、キルアにそんな視線を向けていた長男イルミは何事もなかったかのようにに声をかけた。
「。」
「あ!イルミ!ちょっとさ、」
「ちょっと来て。」
「あ!ちょ、ちょ、ちょ!!!」
「うるさいよ、。」
「誰のせいよ!誰の!!」
「オレ?」
「分かってるじゃん!」
「いいから来てよ。」
相も変わらず強引にの腕を引っ張りイルミはズンズン歩き出した。
また腕を引っ張られながらどこぞへと連れて行かれるは無理だと分かっていながらも抵抗した。
「ねぇイルミ!」
「なに?」
「何処行くの?」
「決まってるでしょ?皆集まってるところだよ。」
「皆?」
「うん。さっき皆に集まるように言っといたから。親父もさっき帰ってきたって。」
「だ、だから何を」
「ほら、着いたよ。」
普通の人の歩く速度よりも早いイルミの歩幅でどうこう話している間に、ゾルディック家の家族が集まっている広間の前へと着いていた。
ズルズルと引っ張られていたは急に掴まれていた手を離されべしゃりと床に尻から崩れた。
「痛!急に手離さないでよ!」
「だって着いたから。」
「だったら一言くらい声かけてよ、手離すよ、とかさ!ほんと気の利かない子だ!」
「ほら、行くよ?」
「話聞いてないしさ。」
幼馴染の暴君っぷりに思わずため息が出てしまう。
行くよ、と言われドアを開ければ広間には見事にゾルディックファミリーが揃っていた。
先ほど用事があると言って行ってしまったキルアの姿を見て、『用事ってこの事か』なんては呑気に思っていた。
「おぉ、久しぶりじゃの、ちゃん。」
ドアを開け、一番最初に口を開いたのはイルミの祖父であるゼノだった。
年なんて関係あるかと言わんばかりの『生涯現役』のゼノ。
「姉さま!久しぶりです!」
可愛らしい声で迎えてくれたのは末弟のカルト。
ゾルディック家の最年少である。
キルア同様、カルトもを実の姉のように慕っていて久しぶりのの姿にとても嬉しそうにしていた。
「カルトちゃん!久しぶりー!元気だった??」
「はい!最近姉さま遊びにきてくれないから寂しかったよ。」
「あたしもカルトちゃんに会いたかったよ・・・!!!」
実際カルトは男の子であるのだが、その可愛らしい顔立ちと可愛らしい格好で女の子のようだった。
なのでは弟のようでもあり、妹のようにも可愛がっていた。
そんな仲睦まじい二人をよそ目に、今度はゾルディック家の大黒柱が口を開いた。
「ちゃんが久しぶりに来てくれたのはいいんだがな。イルミ、一体どうしたんだ。急に家族を集めるなんて。」
イルミ達の父であるシルバがそう尋ねた。
シルバのその言葉に誰もが『うん』と頷いた。
カルトとじゃれあっていたも自分が何故ここに連れてこられたのかを思い出しゴクリと唾を飲んだ。
何故連れてこられたのか、そうだ、イルミがとんでもないことを言い出したのだった、はそのことを思い出すと
イルミが次に発する言葉に妙な汗をかいた。
「うん。皆に集まってもらったのはとても重要な知らせがあるからなんだ。」
イルミはそう言った。
長男のその言葉に弟達だけではなく、祖父や父母までもがいつになく真剣な眼差しでイルミのその“重要な知らせ”に耳を傾けた。
そしてそんな中一人、だけは一人おろおろしていた。
『ちょっと待って!』と叫びたいところだったが出来なかった。
何故ならイルミがガポっと掌での口を押さえていたから。
「オレ、と結婚するから。」
イルミのその言葉に家族が驚いたのは言うまでもない。
が、家族以上に驚いている人間が一人。
は誰よりもイルミのその言葉に驚いていた。
「ええええええ!!!!ちょ!!!イルミ!!!なに、なに言ってんのー!!!?」
「なにって・・言ったとおりだけど?」
「いや、あたしそんなこと了承してないでしょ?ていうかいきなりすぎでしょ!?」
「いきなりじゃないよ。オレはずっとそうやって思ってたんだから。」
「あたしは知らない。」
「が知らなくてもオレは知ってるよ。」
「そうじゃなくて!この話もいきなりすぎるし展開もいきなりすぎるし・・・だってそんなこと言われても」
「いきなりじゃなきゃいいんだ?」
全くもってにはなにがなんだか、と言った話である。
突然幼馴染に結婚の話を持ちかけられたと思えば、もう家族にそのことを告げている。
しかも結婚“したい”ではなく“するから”と、断定だ。
当たり前のように言うイルミに若干苛立ちを感じるだが、イルミのこの俺様主義は昔からのことなので仕方ないと諦めてもいた。
イルミとがそんな言い合いをしているところ、やっとその家族が口を開いた。
「イルミとちゃんが結婚!!まぁー!!!どうしましょう!!式はいつあげるの!?」
「キ、キキョウさん!!あたしはまだ」
「私ちゃんみたいな可愛い娘が欲しかったのよねぇ!!」
「あの、」
「しかし、本当に急だな、イルミ・・。」
「うん。ごめん。」
「ごめんじゃないよ!あたしに謝れ!!」
「姉・・・」
イルミの結婚発言をすっかり真に受けたシルバ夫妻、そして異様なほどに盛り上がるキキョウ。
これはもうすっかりイルミと結婚するという雰囲気が作り出されている。
キキョウはノリにノっている様子だし、ゼノは曾孫の顔も見られるなんて幸せだとか言っている。
次男であるミルキと三男キルアはに向けて同情の視線を送っていた。
「うん、盛り上がってるとこ悪いんだけどさ。」
と、ここでまたイルミが発言をした。
盛り上がっていた面子は長男イルミのその言葉にピタリと静かになり、彼の言葉に耳を傾けた。
「がさ。いきなり結婚はないんじゃないか、だって。」
「あ、当たり前でしょ・・!!イルミはね、自分勝手」
「だからさ。考えたんだ。」
「・・・・・・・なにを?」
「とりあえず今は婚約って形にしよう。」
「・・・・・・・・。どっちにしろあたしの結婚相手イルミじゃん!!!」
「そうだけど?なにか不満?」
「不満とかそういう問題以前!!なんで勝手にイルミの結婚相手になってんのあたし!!」
「言ったでしょ。オレが小さい頃からそう決めてたんだって。」
飄々とそう言ってのけるイルミにもう返す言葉がない。
否、もう返す気力もなかった。
「ということでさ。オレと婚約したから。今。」
=(24)
突然幼馴染、イルミ=ゾルディック(24)の婚約者となる。
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俺様至上主義イルミ。