「じゃあ今日からちゃんは家に来て住むといいじゃない!!」


金切り声のような高い声がそう言った。













彼と私の恋愛事情[4]













「え?」

「だから!ちゃんがイルミの婚約者になるなら、是非家で住めばいいじゃない!」

「え!?でも」

「いいんじゃない、それで。」

「イルミまで何言ってんの!」

「だって婚約者でしょ?」

「イルミが勝手に決めたんだもん。」

「でもさっき承諾したよね?」

「・・したけど。」

「なら問題ない。」

「あたしだって仕事が」

「別にそれだって問題ないでしょ。家にいてもに繋がればいいんだから。」












なんやかんやで収められ、結局ゾルディック家に住まうことになってしまった

婚約成立までやや1時間半。

全てイルミのペースで事は運ばれている。

確かに婚約の件は承諾した。(かなりしぶしぶだが)

しかしここまで自分の意思を無視されることになるなんて。















「じゃあすぐにちゃんのお部屋を用意しなくっちゃね!!」

「あぁ、母さん。その必要はないよ。」

「何言ってるの、イルミ。ちゃんが困っちゃうでしょ!」

「オレの部屋でいいでしょ。」

「え?」

「まぁぁぁ!!!まぁまぁまぁ!!そうね、確かにそうね!!これから夫婦になるんですもの!!部屋はやっぱり一緒の方がいいわよね!」

「うん。そういうこと。」

「イルミ?あの、」

「行こうか、。」

「・・・・・。」











ズルズルと引っ張られるようにしてイルミに連行された。

多分、部屋へと向かっているのだろう。

はもうどにでもなれ、とばかりの表情だった。


















「ねぇ、イルミ。」

「なに?」

「婚約は確かに承諾したよ。でも、住むのは・・・」

「なんで?」

「だって・・・」

「あ、そうか。、方向音痴だったんだった。」









にはゾルディック家に住むという点において最大の壁があった。

そう、彼女は方向音痴だった。

故にこの広すぎるゾルディック家の敷地がには最大の悩みでもあった。











「いつも思ってたけどさ、何年この家に来てるの?なんで迷うのさ。」

「そんなこと言われても・・・。」

「今日だって久々に会うっていうのに迷ってるし。ていうか、円使えば誰が何処にいるか分かるでしょ。」

「そうなんだけど、」

「まぁいいや。毎年この話してるしね。」

「・・・。」










一年に一回。

必ずこの話をしている。

そう、だって念能力者。円ぐらい使える。

けれどもどうしてか迷う。

イルミはハァ、と一つため息をつき、また口を開いた。














「24にもなって迷子。」

「う、うるさいなぁ・・。」

「いいんだけどね。」

「円を使ってもさ、円の範囲内に人がいなかったら意味ないし・・・。」

「ところでさ。」

「え?なに?相変わらず話が急に変わるね。」

「部屋一緒でいいの?」

「いいの、って・・・イルミが決めたんじゃない。」

「うん。一応聞いとこうと思って。」

「じゃあ決める前に聞いてよ。」

「それもそうだね。」

「うん、でもいいよ、別に。イルミの部屋だったら何度も来てるから落ち着く。」

「ふぅん。」













無表情。

その中に嬉しそうな様子がうかがえた。

と言っても、長年の付き合いであるならば気がつくもので初対面だったりそんなに顔を合わせたりしない人物であれば

その変わりに気づかないであろう変化だが。

いくら暗殺一家の人間とは言え人の子である。

イルミだって、感情を持ち合わせている。

こうして自分の好いている人物からこう言われれば嬉しくもなる。

















「相変わらずなんもない部屋だね。」

「だって必要ないし。」

「ふぅん。」

「じゃあ今日からオレとの部屋ね。」

「ねぇ。」

「なに。」

「あたしも一緒にこの部屋使うんでしょ?」

「そうだって言ってるでしょ。」

「じゃあ、この何もない部屋」

「嫌だ。」

「・・・まだ何も言ってない。」

「どうせのことだから『可愛いアンティーク置こう』とか『ヌイグルミ置こう』とか言い出す。」

「・・・・・。」

「ほら図星。」














は可愛いものが好きだった。

可愛らしいアンティークを集めたりヌイグルミを集めたりするのが好きだった。

イルミはのその可愛いものの収集癖を知っている。

もちろん、がイルミの部屋に何度も来ているよう、イルミもの部屋に何度も足を運んでいた。

だからの部屋に可愛らしいものが飾られていることは十分に知っていた。

















「なんでよケチ!」

「だって嫌だし。オレがあんな部屋に住んでごらんよ。想像できる?」

「・・・・・できない。」

「でしょ?」

「でもあたしもこの部屋使うんだよ?」

「でもオレも使う。」

「じゃあイルミと一緒の部屋は嫌。キキョウさんに頼んでやっぱりお部屋作ってもらう。」

「なにそれ、ずるくない?」

「だってイルミがケチなんだもん。」

「ケチじゃないよ。ただ嫌なだけ。」

「なによ!イルミのバーカバーカ!」

、今何歳?」

「うるさいなぁ!ケチイルミ。」

「なんとでも。」

「イルミなんて嫌い。」

「・・・え?」



















はべぇ、と悪戯に舌を出してそう言い、バタンと音を立ててドアを開け部屋を出て行った。

その数秒の出来事、イルミはポカンとが部屋を出て行ったのを見ていた。

目をパチクリさせながら一言呟いた。















「・・・まずいなぁ。嫌いだって。それは困る。」













イルミ=ゾルディック、婚約成立から一瞬にして婚約破棄の危機。