「もー!!!ほんと自分勝手!!《
プンプンと擬音がつくぐらいご機嫌が悪いのは先刻ゾルディック家を飛び出して行った。
そしてのその話をうんうん、と聞いている人物が一人。
彼と私の恋愛事情[5]
「で♠一体どうしたんだい?《
の目の前でうんうん、と話を聞いている人物。
イルミの友人でもあり、の友人でもあるヒソカ。
とヒソカは仲が良かった。
ヒソカがを偉くお気に入りだから、ということもあるが、はヒソカとよく一緒に会って話をしたりお茶を飲んだりしていた。
「聞いてよ、ヒソカ。イルミって本当自分勝手!《
「まぁまぁ♥それは今に始まったことじゃないだろ?《
「そうなんだけどさ・・でも今回のはかなり自分勝手すぎる!いきなり婚約者にさせられるし、《
「婚約者?《
「イルミが急にそんなこと言い出したの。《
「へぇ♦それは困るなぁ・・・♣《
「なにが困るの?《
「は僕のお嫁さんにしようと思ってたから♥《
「ヒソカもそれ、いつも言っててよく飽きないね。《
「うん♥で?婚約承諾したのかい?《
「まぁ・・だいぶしぶしぶだけど。《
「♠《
ズズ、っと一口紅茶を飲み、一息ついた。
イルミと言い合いになり、ゾルディック家を飛び出してきたはその後すぐにヒソカに連絡をしていた。
ヒソカに連絡を取り、『今からちょっとお茶しようよ』と誘った。
もちろん、今ここにいるのだから当たり前なのだけれど、ヒソカはの誘いを快く引き受けた。
「まぁ成り行きで婚約者になっちゃって・・・でもあたしが怒ってるのはそこじゃないのよ。《
「へぇ♣《
「イルミがね、部屋は自分と一緒でいいだろうって。《
「イルミの部屋にも一緒に住むってことかい?《
「うん、でもそれは別に構わないんだ。小さい頃から遊びに行ってた部屋だし、落ち着くからさ。《
「ふぅん♥じゃあ何に怒ってるんだい?《
「イルミの部屋、なにもなくて殺風景なの。《
「うん♦《
「可愛いアンティークとか飾りたい、って言おうとしたら、言う前に却下されちゃって・・・。《
「なるほど♥勝手に婚約者にさせられた挙句、自分のその要求まで否定されちゃって怒っているわけだね♥《
「うん・・・。《
「くっくっくっ・・・♣それにしても、可愛いアンティークが飾られた部屋だなんて・・・イルミにはとっても上似合いだねぇ♠《
「まぁ、確かにそうなんだけど・・・でもあたしはそういうのが大好きなんだもん。《
「ん、知ってるよ♥《
「あ、そうだ、ヒソカ。この前ありがと、時計。すっごい可愛かった!《
「喜んでもらえたかい?《
「うん、すごく!《
のアンティーク好きを知っているヒソカは時々の好きそうなものを見つけたときに贈っているらしい。
そのかわりに、とでもいうのか、はヒソカの身体のメンテナンスを行い、身体を常に万全の状態にしている。
ゾルディック家専属と言っても、ゾルディック家が家を専属としているだけであり、家は依頼などがあれば受け付ける。
ただゾルディック家とは何があっても裏切らない、代々そんな誓いが守り続けられている。
「それは良かった♥そうだねぇ・・・僕だったらの好きなようにさせてあげちゃうのに♠《
「じゃあイルミじゃなくて本当にヒソカのお嫁さんになっちゃおっかな。《
「何言ってるの?《
がふざけたようにそう言った瞬間、偉く機嫌の悪そうな声がの後ろに聞こえた。
その声に聞き覚えのあるはハッと少し青ざめた表情で恐る恐る後ろを振り返った。
「・・・イルミ。《
「や、イルミ♥久しぶり♥《
「なにやってるの?《
「見れば分かるだろ?楽しく午後のアフタヌーンティー♥《
「ヒソカに聞いてない。。何やってるの?《
「な、な、なにって・・・ヒソカの言ったとおり・・《
「いきなり飛び出していってしかも挙句『大嫌い』なんて言うもんだから心配して探しにきたら、これね。《
「まぁまぁ♥イルミ、君も座ったらどうだい?《
「ヒソカ、君黙っててくれない?鬱陶しい。《
「♣《
イルミの言ったとおり、流石にイルミも「大嫌い《は結構に効いたらしく、が飛び出していった後間もなく彼もその後を追っていた。
そしてたどり着いた先にはこうして婚約者が他の男と楽しそうに呑気にお茶をしている。
とは言ってもはただヒソカに愚痴を言っていたのだが。
しかもタイミング悪く聞いた言葉が「じゃあイルミじゃなくて本当にヒソカのお嫁さんになっちゃおっかな。《。
これが決め手となりイルミの怒りはふつふつと湧き上がってきたのだった。
結局は嫉妬である。
「帰るよ。《
「ヤダ。《
「ヤダじゃない。帰るよ。《
「ヤ・ダ!《
「我侭言わないでくれる?いい年してさ。《
「そのセリフそのまま返すよ。《
「オレがいつ我侭言った?《
「どの口がそんなこと言えるんですか、あなた。《
「ていうか、オレ今怒ってるんだけど。《
「あたしも怒ってるよ。《
「ごめんって言ってるじゃん。《
「今初めて言われたんだけど。《
「そうだっけ?《
「・・・・・ああ、もういいや。うん、そうだね、これがイルミなんだからこんなことでいちいち腹立ててちゃ駄目だね。《
イルミとのそのやり取りを見ながら、クックックッ、と喉を鳴らして笑うヒソカ。
イルミとほどではないがヒソカもこの二人とは結構長い付き合いになる。
もう見慣れているのだろう、この二人のこういったやり取りを。
「何言ってるの?《
「うん、いいよ、なんでもない。帰るよ。《
「最初からそう言えばいいのに。《
「やっぱ帰るのやめよっかな・・・《
ほら早く行くよ、と半ば強制的にその場を撤退させられる。
その様子を面白そうに見ていたヒソカをチラリと見ると、イルミは言った。
「ヒソカ。《
「なんだい♠《
「聞いたと思うけど一応言っておくよ。はオレの婚約者になったよ。《
「へぇ♦《
「一応報告したからね。《
「それはどうも♥ま、二番煎じの方が美味しいからねぇ♥《
報告、というよりも警告と言ったほうがいいのだろうか。
イルミはその意味を含めて言った。
ヒソカもまたそれを分かってはいるものの、そう言われれば余計に燃え上がるのが彼の性分。
「ヒソカ、いきなり呼び出してゴメンね。ありがと。《
「いいよ♥の呼び出しだったら、いつでも行くさ♥《
「今度怪我したらタダで全部治してあげるよ。《
「それは嬉しいねぇ♦《
「じゃ、またね。《
「もう会わなくていいよ。《
「イルミ!《
「♥《
「ん?なに?《
「彼がイヤになったら、いつでも僕が受け止めてあげるからね♥《
「・・・・ありがとう、って言っておくべきかしら?《
「♥《
ヒラヒラと手を振ってヒソカに別れを告げた。
まだ怒っているのか、イルミは無言だった。
元々口数が多いほうではないが、といるときはそれなりに彼は喋っていた。
大体がからだが。
その無言に痺れをきらせたは口を開いた。
「イルミ。《
「なに。《
「何処行くの?あっちでしょ、家。《
「いいから黙ってついてきなよ。《
「・・・・。《
何処まで俺様なんだ、そう思ったがこれも昔から。
この態度を改めてほしいと思ったことは何度もあったが、どうせ言っても治らないのだから言わない。
ズンズンと連行される先に見えたのは店がズラリと並んだ大きくはない街。
そしてその街の一角にある店へと足を運ぶイルミ。
店の中へ入るとの手をパッと離し、ようやく自ら口を開いた。
「。《
「え?《
「好きなもの選んで。《
「・・・?《
連れてこられたのはアンティークの店。
見ればの好きそうな物ばかりが並んでいる。
しかし連れてこられた意味と、好きなものを選ぶ理由が分からないはポカンとイルミを見つめた。
「悪かったよ。《
「え?なに?《
「もう一度言わせる気?嫌だよ。《
「だって悪かったって。・・なに?《
「一緒に暮らすんだし、やっぱりの意見も聞いておかなくちゃって思ったから。《
「・・・・。《
「だから好きなもの選んでいいよ。買ってあげる。ただしオレが買ってあげたものじゃないと飾っちゃ駄目だから。《
「・・・・・・。イルミ。《
「なに?《
「ありがと。《
「・・・別に。《
そういう変に優しいところ、小さい頃と変わってないね。
そう思いながらイルミに礼を言った。
「これとこれと、あとこれと、《
「・・・。《
「なに?《
「買いすぎ。《
「駄目?《
「・・・・別にいいけど。《
そんなに可愛く言うなんて卑怯だ。
オレがそれ断れないの、分かってるのかな。
別にいいけどね。
=、少しずつ幼馴染から距離が縮まっていく瞬間。
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