「よっし。準備オーケー。」



久々に暗殺の仕事が入ってきたので愛用品のメスを念入りに磨いた。













彼と私の恋愛事情[9]














正直、めんどくさいとか思ってしまうのだけれど。

だってこういうのはゾルディックに頼んで欲しい。

あ、ゾルディック家はやたら請求額が高いのよね。

まぁ、仕事は確実だし早いし。

うちに頼めばゾルディック家の半額くらいで済んじゃうしね。

だからって仕事を適当にこなすわけじゃないけれど。

本職は一応医者だしね。そっちで稼いでるからいいの。










「行く前にイルミに言っておこうと思ったけど・・・起きたらいないんだもんなぁ。ま、いっか。」









はポツリとそう言ったあと、早速仕事へと向かった。





























「あれ?は?」











が仕事に出てから1時間ほど経ち、イルミが戻ってきた。

どうやら彼も仕事のようで、それを終えて帰ってきたらしい。

の姿が見えないことから、帰って早々、ただいまもなくゴトーにそう聞いた。














様ですか?何も仰せつかっておりませんが・・・。」

「ふぅん。じゃあ仕事か。」

「恐らくそう思われます。様の医者としての腕は本当に素晴らしいものですから。」

「請求額高いけどね。」

「仕事は確実で早いですからね。」

「まぁいいや。じゃあが帰ってくるまでオレは寝るね。」

「はい。では様がお帰りになられましたらご連絡差し上げます。」

「うん、そうして。」













ゴトーにそう伝えるとイルミは自室へと足を向けた。

自室へ戻れば、これと言って何処へ行くだの書置きもないため『やっぱり仕事か』と、

別にこれと言って気にも留めずベッドへと身を投げた。

珍しく疲れていたのか目を瞑って間もなく眠りについた。



































「あちゃちゃ・・・服汚れちゃったよー・・・。もー。」











医者の仕事に行っていると思われているは、完璧に暗殺の仕事を終え帰路を辿っていた。

相手の返り血を浴びたのか服が血で所々汚れていた。











「もー・・・ていうか別にうちに頼まなくても良さそうな相手だったのに。まぁあれくらいの相手だったら

ゾルディック家に頼むのはお金が勿体無いっていうのは分かるけど。

うちよりももっと安く引き受けてくれる所でも十分殺せた相手だったと思うなぁ・・・。」












ぶつくさと文句を言いながらゾルディック家に到着した。

そして家に入る前にもまた文句を一つ。












「それにしてもこの家の扉は本当にめんどくさいんだから・・・。重いったらありゃしないもの。」










試しの門の前でそう呟いた。

呟き、というには少々声が大きかったようで管理室にいたゼブロがクスクスと笑っていた。













様もご苦労なさるんですね。」

「当たり前ですよ!こんな重い扉!ゼブロさんも大変ですね、これ開けられなくなっちゃったら門番出来なくなっちゃうものね。」

「全くですよ。楽な仕事じゃないですよ、本当。」










ふんっ、と気合いを入れ力をこめてドアに手をかけた。

ギギギギ、と重たい音を鳴らしドアを開けた。

そして開いたドアを見て少し残念そうな顔をした。













「4か。」

「十分ではありませんか。あぁ、でもこの前は5の扉まで開けていましたね。」

「駄目なのよ、暗殺の仕事終えた後ってどうにも力が出なくて。」

「それでも素晴らしいと思いますが。さすがイルミ様の婚約者様ですね。」

「強制的な婚約だけどね。あ、無理無理無理、もう重たいんで閉めますね。」」

「はい。お気をつけて。」












ズシン、と重たい音をたててドアが閉まった。

門をくぐればゾルディック家の猟犬のミケがが帰ってきたことを察知したのか待っていた。

も家族の一員だと認識しているらしい。













「ミケ、ただいま。・・あぁ、これ?これはあたしの血じゃないよ。返り血。」








血の匂いを察知したミケがじぃっとの洋服を見ていたことに気づき、そう言った。












「返り血あびるなんてまだまだ、なんてイルミに言われそうだね。ミケ、じゃあ家のほうまで競争ね。」










よーい、どん!のその合図でドスドスッとけたたましい音を立てながら走り出すミケと

負けず劣らず俊敏な動きで走る

他人が見ればとても異様な光景である。























「ゴトーさんただいま!」








息を切らして執事室へと飛び込む。

そんなを見てゴトーは驚いたが、すぐにニコリと笑いタオルを差し出した。









「お帰りなさいませ、様。」

「あ、タオルありがとう!疲れちゃった!」

「またミケと競争なさったんですか?」

「うん、あたしの勝ち。」

「イルミ様がお待ちになっていますよ。」

「帰ってきたんだ、早かったね。」

「はい。様がいなかったようなのでご心配されているかもしれません。」

「自分は何も言わずに仕事に行くくせにね!」










そう言って本邸へと足を運んだ。

部屋に向かう途中、キルアに出くわした際にやはり洋服についた血のことを聞かれた。












「なにそれ、どうしたの?珍しくやられた?」

「違うよ。返り血。」

「ふぅん。ご苦労さん。」

「キル君もね。拷問お疲れ様。」

「マジ痛ぇよ。加減しろっての!」

「あはは。」

「笑い事じゃねぇよ!・・あ、そうだ、イル兄部屋で待ってるぜ。」

「うん、ありがと。」











少し早足で部屋に戻ると、ベッドに座りつまらなそうに頬杖をついているイルミがいた。

が戻ってきた姿を見て、目をパチクリさせた。











「ただいま、イル。」

「なにそれ、どうしたの?」

「え?あぁ、血?」

「患者の血?」

「患者?・・・あぁ、今日は久々に殺しの仕事。」

「・・・・・・まさかそれの血じゃないでしょ。」

「まさか!返り血!」










あはは!と笑い飛ばすを余所にイルミは深くため息をつき、ベッドから立ち上がった。

瞬間、はグイっとイルミの方へと抱き寄せられる形になった。













「イルミ?なに?」

の血だったらどうしようかと思ったよ。」

「いやぁ。イルミには全くかなわないけど、あたしだってそんなに簡単には殺られないって。」

「今日は暗殺の仕事だなんて聞いてない。」

「だって起きたらイル、いなかったでしょ。」

「仕事。」

「うん。だからしょうがないでしょ。」

「でも医者の仕事だと思ってたから安心しきってたよ。」

「・・・イル?」

が弱くないのは知ってるけどね。なんとなく嫌なんだよね。殺しの仕事行くとき。」

「・・・。あ、心配してくれてるの?」

「・・・・・。」

「・・・・ありがと、イルミ。大丈夫。」

「これから殺し行くときは必ずオレに言ってよね。それか必ず書置き。」

「(・・・・イルミって意外と心配性なんだなぁ。)」

だから心配なだけ。」

「あれ?声に出てた?」

「なんとなく。」











抱きしめていた腕をパッと離すとスタスタとクローゼットへと向かいタオルを取り出し、

そしてそれをの顔にバスンッと押し付けた。













「ふごっ!」

「早く風呂入っておいで。血生臭い。」

「・・・・・イルミに言われたくないなぁ。」

「それにしても、返り血あびるなんて。まだまだだね、は。」












やっぱり言われた、内心そう思ったけど今日はなんとなく、イルミが心配してくれたのが嬉しかったから

何も反発しないでそのままお風呂に入った。












(24)、幼馴染の意外な部分に少しときめく。








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暗殺のときも愛用はメスなヒロインちゃんです。