「ちょっ、わ・・・・す、スゴイねっ・・・若いね、皆ッ・・!!!」
「・・何年寄りみたいなこと言ってるんだよ、・・;」
「・・・いえ、さんの言う通り・・・み、皆さん若いです、ね・・」
「早樹ーーーーーッッッ!!!!!!vvv」
若者の熱狂的な叫び声に思わず肩をすくめて目をつぶる若年寄3人。
ただいま早樹のイベント真っ最中。
隣の○○君
早樹のイベントが行われて早30分が立つ。
しかし・流河・ライトはどうしてもこの若者のノリにはついていけず(特に流河。顔がもうげんなりしている。)
会場の端の方で見ていたのだが、熱気に押されなんだかもう疲れている。(端にいるのに)
「いやいや、すごいね、今の若い子達はっ・・」
「さんこそ珍しい若者ですね。」
「やー、こういうのいまいち苦手なんだよねー・・・なんか、疲れちゃうんだよ・・」
「ホントに若年寄だな、・・」
「うん、スゴイね、早樹も若者も。少しそのパワフルさをわけてほしいや。」
「早樹ーーーーー!!!!!!vvv」
「ををぅ・・・み、耳が・・・・耳がキンキンするっ・・・」
「わ、私もです・・・なんですかこの奇声軍団は・・」
「僕ももう嫌だ・・・」
「「「帰りたい・・・。」」」
やっぱり周りの雰囲気にはついていけない3人組。
もう体力的にも精神的にも精神年齢的にもついていけないと判断した3人はソロリとその集団から抜けようと試みた。
が、周りはもう興奮マックスアドレナリン大放出の早樹ファンに取り囲まれていてここから抜け出すのは非常に困難な状況だった。
しかしどうしてもこの中から抜けたい3人はアドレナリン出血大サービス中の早樹ファンの小さな隙間を掻き分けてちょっとずつ外の世界へと踏み出そうとしていた。
「うっ・・ちょ・・きつっ、苦しッ・・」
「もう皆早樹に夢中で人のことなんて考えてないですよね、・・痛ッ、足!!足踏まれました!!」
「僕なんてさっきからずっと踏まれてるよっ・・」
「え?!大丈夫ですか!?この人込みの中ヅラが取れてしまった!?それは大変ですっ」
「お前この状況でもそんなこと言えるのかよ!!しかも絶対ワザと聞き間違えただろ!!!!」
こんなときにまでそんなことを言う流河にいつものように怒鳴るライトだったが、虚しくも早樹ファンの大声により掻き消されてしまった。
「いや、無事生還ですね、うん。」
「はい・・ホントに死ぬかと思いました。」
「・・二度と行きたくないな・・。」
「「同じく。」」
無事にあの集団から抜け出せたみたいだが、3人ともその顔はかなり疲れてげっそりしている。
流河なんて隈が更に濃くなったかのように見えるような、そんな気もした。(きっと気のせいだ)
こんなところで警備している警察の人は可哀想だな、としみじみ思ったりしている。
なんだか今時の子ではないような疲れようだ。
流河とライトはともかく(男の子だからね)、くらいの女の子なら早樹が来ていればファンではなくとも、多少は食いつくだろうに
この子ときたら逆に疲れただの、ついていけないだの、ライトの言うとおり本当に若年寄だ。
「いやぁ・・すごいね、早樹ファン。」
「なんだか今すごくすがすがしい気分です。」
「確かに。あそこは・・うるさいし息苦しいし・・参るよね。」
「私は・・あーゆうのは向かないなぁ・・・。」
近くのベンチに座り、そこから見える先ほどのイベント会場となっている駅前を見ている3人。
相変わらずすごい盛り上がりようだ。
今トップを誇る芸能人の力はすごいんだな、と改めて思ったりするだった。
PiPiPi・・・
ふと携帯が鳴った。
ゴソゴソ、っと自分のポケットから取り出し鳴っている携帯を取るのはライト。
「もしもし?粧祐か・・どうした?・・うん?あぁ、うん、分かった。じゃあ今から行くから。うん、うん。じゃあね。」
用件だけを済ませたのかやけに早く終わる通話。
会話を聞けばどうやら妹の粧祐からの電話だったらしい。
「粧祐ちゃん?」
「うん。なんかね、父さんが呼んでるらしいんだ。・・だったら自分でかければいいのにね。」
「そっか。でもライトのお父さん忙しいからね。またなんか手伝いに行くの?」
「かもしれないね。そういうわけだから僕はちょっともう帰るよ。」
「うん。分かった。じゃ、明日学校でね。」
「ん、じゃあね。」
「バイバイ。」
バイバイ、と手を振って帰路を行くライトに手を振る。
その横でライトが帰っていくのをじぃっと見つめる流河。
ライトの後姿がやっと見えなくなったところで口を開いた。
「どうしたんですか、ライト君は。」
「なんかねぇ、お父さんに呼び出されたらしいよ。」
「何か悪さでもしたんですか。」
「あはは、違うよ。ライトのお父さんね、警察庁の人なの。で、ライトが過去に何度か事件のお手伝いしてるってこともあるから・・
きっとまたお手伝いしてもらいたいんじゃないかな。ライトは頭がいいからね。」
「警察庁のお父さんなんですか・・。」
「うん。すごいよね。」
そうですね、と言いながら親指を手に当てて何か考え事をするかのように目を下に向けた。
すると駅前の会場の方からはもうすぐ終わりなのか、早樹の声と共に終わりを嘆くかのようなファンの歓声が聞こえてきた。
「もう終わりみたいだね。」
「そうみたいですね。」
「早樹って、すごい人気だったんだね。なんかさ、私ここまですごいと思わなかったよ。」
「そうですね。私はさんもああいった芸能人が好きなのかと思ってました。」
「いや、あんまり。俳優さんとかの方が好きだし。」
「でも早樹みたいにかっこいい人から告白されたらやっぱり付き合いますか?」
「え?いや、付き合わないよ。だって、私、自分が好きだ、って思った人じゃないと嫌だなぁ・・。どんなにかっこよくても、
きっと私、自分の好きになった人よりもかっこいいって思えないな。うん。」
「(ちょっと安心しました。・・が、・・この言い方だと好きな人がいるってことですよね・・・。・・・。)」
「どうしたの?」
「いえ・・ちょっとへこんだだけです。気にしないで下さい。」
「(すごく気になるんだけど・・・;へこんだだけって・・;)」
ベンチに座る二人。
傍から見れば物凄くおかしな光景だった。
可愛らしい女子高生とその隣にはなんだか変わった男子高生。
体育座りのような格好で親指を口元にあてて奇妙だ。
きっと恋人同士には見えないのだろうけれど、も流河も今、自分達がそんな風に見えたらどんなに嬉しいことだろう、そう思った。
「・・どうしますか?帰りますか?」
「そーだね、帰ろっか?」
「ケーキが食べたいです。」
「あ、じゃあケーキ屋さん寄ってこうよ。私も食べたい。」
ケーキが食べたい、といつものことで何気なく言ったつもりだった流河だったので、からそんな言葉が発せられたのが嬉しいみたいだ。
その足取りは軽そうで(猫背なのでかったるそうに見えるが)なんだかおもちゃを買ってもらう約束をした子どものような反応だった。
相変わらずは流河のその子どものような反応に『可愛い』という感情を浮かばせながら流河の後を追おうとした。
が、そのとき丁度タイミング悪くの携帯が鳴った。
〜♪♪〜〜♪・・
「ゴメンね、ちょっと待ってね、電話来ちゃった。」
「全然構わないですよ。」
流れた着信音が『となりのト●ロ』だったのに気がついた流河は心の中で『さんらしくて可愛い』なんて思っていた。
「もしもーし。・・あ、タカ君??うん、あ、お疲れさまー。・・うん?うん、うん・・ちょっと待ってね。」
どうやらイベントが終わったようで、に電話をかけてきたタカだった。
携帯を保留にしてチラリと流河の方を見ると大きな目を見開いて『どうしたんですか?』とに尋ねた。
「あのね、タカ君からなんだけど、」
「・・・はぁ。」
「なんか、これから一緒になんか食べに行こうって言われたんだけど・・どうする?」
「(嫌ですよ、私はさんと2人がいいです。・・・・と言ってもさんとタカ君とかいう人は友達だし・・断ったら気まずくなるかもしれないですよね。)」
「?嫌だったらいいよ?どっちにしろ帰るつもりだったんだし、流河君とタカ君面識あるわけじゃなかったし、気まずいよね。」
「いえ、行きましょう。」
「大丈夫?」
「はい。全然・・・(・・2人の方がよかったですけどね。)(くどい)」
流河からそう返事を聞くと『ありがとう』と一言言ってタカにそう告げた。
終わったばかりだから少し時間かかるけど、と言われ先に目的地へと行く事にした。
「ゴメンゴメン、遅くなって。」
20分ほどすれば待ち合わせたファミレスにタカが慌ててやってきた。
奥の方の禁煙席に座っている達を見つけてそっちへ駆け寄ったタカは思わず驚きの声をあげた。
「わ!!何このデザートの数!!;」
そのテーブルに繰り広げられているのはデザートワールド。
チョコケーキ・プリンパフェ・キャラメルタルト・ショートケーキ・チョコレートパフェ、その他多数。
全て流河によって作り上げられたデザート王国だ。
「あ、タカ君、お疲れ様。」
「ありがとう。・・て、違う違う。このデザート王国はなんなの?」
「これはねー、流河君が頼んだの。」
「全部!?これ君が食べるの!?」
「はい。そうですよ。・・・普通じゃないですか?」
「「いやいやいや。普通じゃない普通じゃない。」」
間髪いれず2人から突っ込みを食らう流河はフォークでチョンチョンケーキを突付きながらそうですかね・・、と漏らした。
当たり前だ。
普通の人はこんなに食べない。
いや、食べたくないだろうに。
「面白いね、君。」
「そうですか。」
そう言っての隣に腰掛けるタカ。
「すごかったね、今日のイベント。」
「あー、うん、すごいね、・・疲れるけどねー。」
「早樹ファンは・・若いね。うん。」
「・・・ちゃんも若いじゃんか。」
「若年寄ですからね、さんは。」
「流河君までそんなことをっ・・・」
「ねぇねぇ、流河君とちゃんって付き合ってるの?」
「え!?」
「・・いえ、付き合ってませんよ。」
「う、うん、そうだよ、何言い出すんだい君は。」
「いや、仲良さそうだったからさー。なんだぁ、つまんないの。」
「つまんないって・・」
「昔からちゃんてそういう浮いた話ないからさぁ。」
「そうなんですか?」
「うん、なんか小学校の時もバレンタインとか皆好きな男の子にあげてるのにちゃんだけそういうのなかったんだよね。」
「え?タカ君とライトにはあげたよ。」
「義理でしょ。」
「うん。」
「はっきり言うね。」
「だって分かってるでしょ?」
「まぁね。」
「タカ君・・でしたっけ、貴方はさんとは」
「親友だよ親友。なんか色々相談乗ってもらったり乗られたり、ね?」
「うん。」
タカの口からそう聞いた流河は心底ホッとしていた。
のことだからまたタカの気持ちに気づいていなくて『親友』だなんて言っているのかとも思ったが、
タカ自身がきっぱりそう言っているんだからきっと大丈夫であろう、と。
「何?流河君はちゃんのこと気になってるわけ?」
「ちょっ、タカ君っ、何をっ・・困っちゃうでしょ流河君が」
「面白い方ですよね。さんは。」
「・・はい?」
「一緒にいて飽きません。・・・そういう意味では、そうかもしれませんね。」
「あー、うん。ちゃんてなんかちょっと間が抜けてるところあるしね。」
『そんなわけありませんよ』、とでも言われるのかと思っていたは、否定しない流河の答えが嬉しかった。
別に恋愛感情がなかったとしても、好きな人にそう言われるのは嬉しかった。
実際流河は好意があったからこそそんな言葉を発したのだがそんなことには全然気づかない。
きっと流河は興味がない人間だったらそれこそ『そんなわけありませんよ』と言うに違いない。
「すいません、さん、その砂糖取ってください。」
「あぁ、ハイ。」
物足りないのか、紅茶をスプーンでグルグルとかき混ぜながらそう言う。
砂糖を流河に渡しながら『さっきそれに砂糖7本入れてたんだけどなぁ・・』なんて思ったがもういつものことなので気にしない事にした。
「流河君て甘党なんだ?」
「はい。」
「すごいよ、だって流河君これで砂糖8本目だよ。」
「8本!!?ヤバイってそれ。流河君が死ぬとしたら絶対糖尿病だと思うよオレ。」
「・・・・さんと同じことを言わないでくださいよ・・。」
「だって8本だよ?その上この上のデザート王国。人間が取る糖分量を祐に超してるよ・・」
「その分頭を使ってるからいいんです。」
スプーンでかき混ぜながら砂糖がたっぷり入った紅茶を眺めそう言う。
ズズっとそれを飲むと『あぁ、丁度よくなってきました』なんて平然と言っている。
「流河君も変わってるね。」
「よく言われます。」
「そういえば、早樹さんと同じ苗字なんだ?」
「流河君ね、名前も早樹と一緒なの。同姓同名なんだって。」
「すっげー。なかなかいないよ、そんな名前の人。早樹さんに教えてあげよー。」
「タカ君はライト君と違って毒のない突っ込みなのでなんだか新鮮です。」
「夜神君と仲いいんだ。」
「まさか。」
「え?あれ、仲良くないの?」
「・・・さんは何を見てたんですか今まで・・・。」
話しながらもペロリとテーブルの上のデザート王国を平らげる流河。
ちょうどその頃には『そろそろ帰ろうか』なんて会話もしていてグッドタイミングだった。
「ホントに完食した。」
「いいなぁ流河君は。そんなに食べても太らないもん。」
「さんだって結構食べてるじゃないですか。大丈夫ですよ、昼にあんかけ焼きそば(大盛り)を食べて更にさっきチョコレートのパフェを」
「言わなくていいよ流河君。大食いだってことが読者の皆様にバレてしまうではないか。」
「もう言ってるので大丈夫ですよ、バレてます。」
「相変わらずよく食べるんだ、ちゃん。全然大丈夫じゃん、体系も変わってないし。いいね。」
「でも流石に流河君くらい食べたら変わるよ・・。」
「まぁ、あれは、普通の糖分摂取とはかけ離れてるから・・」
意外といいヤツだということが分かったからか(のことも恋愛対象ではないそうだし)タカとは普通に喋るようになった流河。
そしてが以外に食べる子だという子を知った一日でもあり結構個人的には充実してたみたいだ。
「久々で楽しかったよ。また今度もっと余裕あるときに遊ぼうよ。」
「あ、いいね。今度はライトも誘おうよ。」
「そういえば夜神君はどうしたの?」
「ライトはお父さんに呼び出しくらって。」
「へぇ、そっかぁー。あ?どうする?送ってく?」
「あ、えっと」
「途中まで一緒なので私が送っていきます。」
ふとタカがにそう聞くとそれを聞いていた流河がきっぱりとそう言った。
その言葉を聞いて『ホントは帰り道違うのに』と思いながら嬉しくなる。その頬はかすかに紅みを帯びていた。
「!・・あー、なるほど、やっぱりか。うん、そっかそっか。」
「・・・なんですか、ニヤニヤして・・。」
何かに気づいたかのような、そんな顔をしながらニヤリと笑うタカにムっとしながら流河はそう尋ねると
タカは流河の耳元でコソっと囁いた。
「頑張って。ちゃん鈍いから。」
タカにそう言われ内心少し驚くが表情にはやはり出ないのが流河らしい。
そしてその言葉に対してボソっとつぶやいた。
「・・・・知ってます。」
ため息交じりの半目でチラっとの方を見てそう言った流河に苦笑いするタカ。
そして聞こえないようにそっと、言った。
「・・・流河君もね。」
他人から見ても分かるのに、どうしてこの人たちは気づかないんだろう、
そればかり思うタカ。
願わくば、2人が早く気持ちに気づけばいいのに、と。
****
そろそろですかね。笑