─・・続いてのニュースです。迷宮入り寸前、日本でも放火事件が多発した時期と重なり騒がれたイギリスでの連続放火・殺人事件。
絶対に捕まらないと言われていたこの難事件。今日未明で犯人が逮捕されました。犯人はウィリアム・ウォーレス、
かの有名な世界でトップを誇るとも言われている正体不明、謎の名探偵【L】
公衆の面前にはさらさず、この難事件よりもLの姿を暴くという事のほうがよっぽど難しいなどと
頭脳は大人、中身は子供 私の隣は名探偵
隣の○○君
「私は、Lです。」
える。
江瑠?
エル?
・・・L?
何を言っているのかさっぱり分からない。
前から思っていたけど、流河君はたまに主語を言わずに会話をしてくるときがある。
それが、分かるときと分からないときがあるけど、
今は確実に分からないときに分類される。
える、って言ったら、私は名探偵の【L】しか思い出せなかった。
だって昨日ラジオで流れてたし、有名だし。
でもまさか
「える?」
「はい。」
「・・えーーーーと、・・・それは名前が本当は『える』です、ってこと?」
「まぁ・・そう言われればそうでもありますが、違います。」
「えるって、」
「さんは、ご存知ないですか?」
「何をですか?」
「探偵の【L】を。」
「知ってるよ。有名だもんね。昨日ラジオで迷宮入り寸前の放火事件を」
「はい。そうです。私がLです。」
ちょっと待ってくれよアンディ。(誰だ
なんだって?
なんて言いました?
私がLです?
あれ?
流河君がLでLが流河君で、
Lが流河君だったら流河君はLで、
でもLは謎の探偵で姿も分からない誰も見たことない超天才探偵で
流河君が?
「流河君がLでLが流河君で、流河君がLであるから迷宮入り寸前事件を解決したのは流河君であって、Lが」
「・・・落ち着いてください・・。」
「ええぇえぇーーーーと、・・・・L?」
「はい。」
「流河君が?」
「はい。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「マジですか。」
「はい。」
意外と冷静に事情を飲み込むに(そうであろうか)しばし驚く流河。
まさか信じてもらえるとは思っていなかったのだろう。
これは意外だった、なんて顔をしながら頬をポリっとかきまた続けた。
「多分、完全に信用してもらえてはいないと思います。」
「はぁ・・・。」
「なので、今から着いてきて欲しいところがあるんですけど・・・いいですか?」
「え、あ、うん。」
とっさにがそう言うとゴソゴソとポケットから携帯電話を取り出し電話をかける。
慣れた手付きで携帯のボタンをポチポチ押し、繋がった先とはさっきとは違った口調で話し始めた。
「ワタリ、今すぐさんの家の前まで来てくれ。・・あぁ、大丈夫だ。」
ポカっと口を開けてその光景を目の当たりにする。
いつもと違う口調の流河に驚いたのか、それとも流河がLという存在だということか、まぁどちらとも取れるであろう。
そんなに気がついたのか、ふっと微笑みの手をギュっと握る流河。
「さん。」
「ん?」
「嬉しいです。・・・こうやって気軽に手を繋いだり、出来るのが。」
「え?う、うん・・(前にもさりげなく繋いでくれたことあったけどなぁ・・)」
「ずっと、こうしたかったです。」
「・・う、うん・・」
「?顔、赤いですよ。」
「い、や、流河君って、前から思ってたけど・・すごく、率直に物申すなぁ、と・・」
物凄く照れくさそうにしているが可愛くて仕方のない流河の握っている手に少し力が入る。
抱きしめてしまいたい、そんな衝動に駆られる。
「抱きしめていいですか?」
「はい?」
『いいですよ。』と返事を聞く間もなく繋いでいた手を離しぎゅっと抱擁を交わす流河にまたも驚く。
今日は驚いてばかりですさん。
さっきから赤みがかかった顔を更に紅潮させ、手をパタパタとさせながら必死に流河を離そうとしている。
「ちょっ、りゅ、流河君ッ、流河君ッ、はな、離し、離して・・っ」
「嫌でしたか?」
「い、嫌じゃない・・けど嫌ッ。」
「・・・なんですかそれ。」
「あの、仮にも私、自分の家の前なんで、ご近所の人に見られたら、ちょっと、」
「嫌ですよ・・・せっかくこうしてさんに触れ合えるのに」
「わ、私も嬉しいけどっ、あのっ、・・そう、後でっ、後でにしようっ・・」
『私も嬉しいけど、』という言葉が非常に嬉しかったらしく素直にを開放した。
「じゃあ、後でですよ。」
「え?あ、うんっ・・?」
「嘘は嫌ですよ。」
「うん?」
「嬉しいです。」
「(・・・・流河君て、やっぱ可愛い。)」
がちゃんと約束を交わしたことに対しておもちゃを与えられた子どものように嬉しそうにする流河。
そんな流河を見て呑気に『可愛いなぁー』なんて思いながら和んでいると、ブォン、というエンジン音と共に立派なリムジンがやってきた。
「あ、これ」
「はい、乗ってください。」
「流河君は何処のボンボンですか。」
「・・・私がさっきLです、と言ったのを忘れたんですか?」
「・・・あぁ。なるほど。」
さ、どうぞ、とドアを開けてを車へ乗っけた。
車の中は外見と同じくとても高級感が漂っていてなんだか落ち着かないような。
そんなことを思っていると、パタン、とドアの閉まる音がしたと共に隣にちょこんと流河が座っていた。
ちゃんと靴を脱いで、いつもの座り方で座っている流河がなんだかこの高級感とはアンバランスでおかしい。
ふと運転席を見ると、優しそうな顔をしたおじいさんがニコリと笑って『では、行きますね。』と車を発進させた。
「竜崎、嬉しそうですね。」
運転席のおじいちゃんがニコニコしながら、そう言った。
ん?
竜崎?
「竜崎?」
「あぁ、私の名前です、・・と言っても偽名ですが、・・・因みにもう分かったかと思いますが【流河早樹】も偽名です。」
ん?
【竜崎】【流河早樹】【L】・・・どれも偽名ってことだよね。
・・・あれ?じゃあなんて呼べばいいんだ?
「なので今までどおりでも、呼びやすいように呼んでくれればいいです。」
心を読まれたかのような、流河の言葉。
「じゃあ、流河君で・・」
「はい。」
「あっ、流河君、なんて呼ばれたい?」
「・・特にそういうことは考えてはいなかったのですが・・」
うーん、と本気で悩み始める流河。
「あ、いや、そんなに悩まなくても・・」
「いえ、せっかくさんが呼んでくれる名前です。真剣です。」
口を尖らせながらまだ悩む流河がなんだか愛しくてたまならなくなった。
大きな体を丸ませて、親指を口に当てながら何かに必死に悩んでいる姿は本当に小さい子のようだ。
本当にこの人がLなんだろうか、と疑ってしまいたいくらいに。
それでなくても流河がLだということさえも疑いたくなるのに。
でも流河がそんなくだらない嘘をつくはずがない、そう思っているはとりあえず今のところ98%は流河がLだということを信じている。
もっとも、自分の好きな人を疑いたくないという気持ちが大きかったが。
「ねぇねぇ、あのさ、何処に、行くの?」
「あぁ、すいません、場所も言わずに連れてきてしまって・・・・怒りましたか?」
「え?怒らないよ、そんなことでー。」
行き先も告げずに勝手に連れてきたことを怒っているのかと思った流河はの手をギュっと握って
スイマセン、と謝った。もちろん、はそんなことでは怒らないし、寧ろそんなことを気にしてはいないようだったので
慌てて流河に『大丈夫だから、ね。』と子どもをあやす様にその黒く、ボサっとしているけれどフワリとした髪を優しく撫でた。
「流河君の髪、柔らかいねぇ。」
「そうですか?さんの髪は綺麗です。それになんだかいい匂いもします。」
「シャンプーの匂いかな。」
「私、この匂い好きです。」
「(そんなことを言われたら、もうシャンプー変えられないじゃないか、君。)」
さっきよりも距離を縮め、に近づきクンと鼻を掠める。
くすぐったそうに、目をキュっとつぶりながらも嬉しそうに流河のその行動を許す。
二人でそうしている時間は自分たちが思っているよりも長くは続かず、少し遠慮気味な運転手の声が後ろに聞こえた。
「竜崎、お取り込み中申し訳ないんですが、・・・もう着きましたよ。」
「・・いつもより早い。」
「おや、今日はいつもよりもスピードを落としてきたんですが・・」
むぅ、と不満そうにしながらも着いてしまったものは仕方がない、そう言い聞かせ、自らドアを開けてを降ろした。
そして降りたそこに見えるのは大きな、大きな、高層ビルのような建物。
何の会社だろうか、そう思いながら首をこれでもか、と上に向けててっぺんを見つめているの手を取り案内しようとした。
「こっちです。」
「え、ここってなんかの会社?」
「いえ、・・そうですね・・今は私の居住地とでも言いましょうか。」
「・・・・・・・なんですと。」
こんな高層ビルに?そう思わずにはいられなほど大きくて立派な建物の中へと入っていく。
目を真ん丸くしながら着いていくものの、先ほどからなんだか指紋チェックやら声紋チェックやら、カード認識など色々なセキュリティが準備万端である。
わけも分からずに取り合えずヒョコヒョコ流河についていく。
多分、一番上の階であろう所に着くと小奇麗な部屋へと続く廊下をトコトコと歩いていく。
キョロキョロとあたりを見回すが、余計なものは何もない殺風景な建物。
「どうぞ。」
ドアを開けられ、招き入れられたのは電源がついたままのパソコンや、小難しそうな書類が散乱したテーブルが置いてあり
その横にはお菓子が積まれているバスケットがあった。
恐る恐るその部屋に足を踏み入れると、なんだかケーキの甘い匂いがふと漂った。
「そうですね、何から話しましょう。」
「えぇぇーーーと、ここは?」
「私の仕事場です。」
「Lの?」
「はい。」
「はぁ・・」
棚の引き出しに入れてある何かをゴソゴソと乱暴に取り出すと、それを『どうぞ。』とに手渡した。
手渡されたものは、白くてシンプルな一枚のカード。
「それがあればここに自由に出入りできますから。」
「え?これ、私に?」
「はい。仕事の都合で学校に行けないときもあるので・・そういうとき、それでここに入ってきてください。会いたいですから。」
「あの、さ、」
「はい。」
「なんでこんなにすんなりとこういう物渡したり、自分はLだって、私に言っちゃうの?いいの?」
「さんだからです。好きな人のこと信用できなくてどうするんですか。それに、さんは絶対にそんなことするような人ではありません。」
自分のことのように胸を張って言う流河がなんだかおかしい。
えらく信用されたものだ、そんなことを思いながら大事そうに流河から手渡されたカードを慎重にしまいこんだ。
「・・・あの、」
「え?なに?」
「・・・嫌になりましたか?」
「・・・何が??」
主語を言わずにそんなことを言うもんだからさっぱりわけが分からない。
たいしたことではなさそうに聞き返すと、眉をひそめてなんだか不安そうな声色でに訊ねる。
「・・やっぱり、嫌になりますか?・・Lなんて存在とは、付き合いたくないですか?」
「ん?なんで?」
「・・・名前も偽名、住んでいる場所も普通じゃない、・・おまけに仕事は忙しいので会いたいときに、私が会いにいってあげることは、難しいです。
それに、・・・今こうして学校に行っているわけですが、・・本当はあまり外には出たくありません。Lという存在は世間には隠してあります。
・・・なので、その・・・普通の恋人のように普通にデートする、ということも、・・あの、あまり・・その・・」
言いにくそうに言葉を濁す流河を見て、思わず笑みを漏らした。
「言ったでしょ?私、流河君が流河君だから好きだって。」
「さん、」
「そりゃ、流河君がLだって、まだあんまり信じられないような気がするけど・・・ビックリしたし・・、でも、流河君がLだからって
嫌になるなんてそんな道理ないよ。流河君がLじゃなくても、Lでも、そんなのどっちでもいいの。流河君は流河君でしょ?
私は、流河君ていう存在が好きなの。」
だからそんなこと言わないでよ、最後にそう言ったのと同時くらいにすっと流河に抱き寄せられた。
ギュっと抱きしめるその手を、なんだか少し震えているような感じだった。
「・・・有難うございます。」
「お礼を言われるようなことじゃないよ・・」
「いいえ、・・・嫌われたらどうしようかと思いました。・・・よかった・・。」
「嫌うようなことでもないでしょう?・・・それに、流河君が会いに来れないなら、私が会いに来るし、普通の恋人のようにデートも出来ない、って言うけど
私達にとって普通の恋人が自分達であればいいよ。・・それじゃ、ダメ?」
「いえ、・・嬉しいです。」
の肩に顔を埋めてそう言うもんだから、なんだかくすぐったい。
だけど流河が嬉しそうにしているし、まぁ、いっか、なんて思っていると不意に『コンコン』とドアをノックする音が聞こえた。
「ワタリです。」
「ワタリ?」
「さっきの運転手です。」
あぁ、さっきの優しそうなおじいちゃんかー・・、なんてワタリの顔を思い出していると、竜崎の返事と共に
ドアが開いた。そこにはさっきの『優しそうなおじいちゃん』が立っている。
「初めまして、さん。」
「あっ、は、初めましてッ、あの、」
「ワタリと呼んでください。」
「ハイ、ワ、ワタリさんっ。」
「竜崎からいつもお話を聞いてますよ。とても素敵な方だと。」
「いやいや、そんなとんでもない。」
「いえ、竜崎の言うとおり、本当に素敵な方です。竜崎が気に入るのも、分かる気がします。」
「ダメですよ、ワタリッ、さんは私のッ、」
「ほっほ、大丈夫ですよ。」
竜崎。
なんだか慣れない名前だけど、流河君の『名前』。
ワタリさん、笑顔がとっても素敵だなぁ、本当優しそう。
流河君のおじいちゃん?
いや、違うよね、だって呼び捨てにしてるし・・・
「ワタリは私の、【L】の仲介人です。」
「あ、そう、なんだぁー。」
どうしてこの子は人の心を読んだようなタイミングで言葉を放つんだろうか。
ワタリはニコリと微笑み奥の方へと行ってしまった。
カチャカチャ、なんて音が聞こえてくる。きっとお茶でも入れているんであろう。
気持ちのよさそうなソファに腰をかける流河は自分の隣をパンパン、と手で叩きを手招いた。
「どうぞ、座ってください。」
「ありがとう。」
ちょこんと流河の隣に座ると、コテン、との肩に頭を乗せて甘えるようにくっつきはじめる。
ワタリがいることさえも忘れているのか、それとももうそんな細かいことはどうでもいいのかに甘えてくる。
「さん。」
「はいはい?」
「・・・今は無理ですけど、・・・将来、絶対に私の名前を貴女に教えます。」
「?ありがとう。」
「なので、そのとき、・・・私の大切な人第一号で、本当の名前を呼んでくださいね。」
「・・えへへ。喜んで。」
「だから今は、好きなように呼んで下さい。」
「じゃあ、・・うん、流河君でよろしくお願いします。」
「はい、よろしくお願いします。」
奥の部屋から戻ってきたワタリは幸せそうに話している流河を見て微笑むと、
二人文のお茶とケーキがの乗ったお盆を持ってまた奥へと戻っていった。
「これはもう少し後で、・・・よさそうですね。」
*****
スイマセン。(イキナリ
ただエルたすとイチャイチャしたかっただけです。