走れば走るほど


貴方のこと好きになっていく


どうしてこんなに好きなんだろう




















































頭脳は大人、中身は子供 私の隣は名探偵

隣の○○君

























































白をモチーフにされた殺風景な部屋にはいつものパソコンと資料と睨めっこしている“L”の姿はなかった。

ただ、テーブルの上に起動されたままのパソコンと、散乱した小難しそうな資料の山だけがそこにはあった。















さん、すいません、わざわざ・・」

「あ、ワタリさん、私が勝手に来たんですよ。」

「しかし、竜崎はとても喜んでますよ。」

「そう、なんですか?」

「はい、とても。」







ワタリににっこりと微笑みながらそう言われるとも嬉しそうに少し頬を紅くした。

それにしても、肝心の竜崎は何処にいるんだろうか、そう思いながら少し目をキョロキョロさせていると

それに気づいたワタリがを竜崎の方へと招いた。









「今は隣の部屋のベッドで大人しくしてるはずですよ。」

「あ、はい。」

「竜崎、よろしくお願いします。」

「え、あ、はい、大丈夫ですよ、全然。」




















なんだか竜崎の保護者になったようだ、そんなこと思いながら竜崎が寝ている部屋の戸をそっと開けた。

綺麗に片付けられたその部屋のベッドでは風邪っぴきの竜崎が寝ていた。

起こさないようにとそっと、ベッドへと近づく。

布団をかぶって真ん丸くなっている。


















(・・・寝てる・・・。や、当たり前なんだけど・・・こうやって流河君寝てるの、・・なんか可愛い・・)




















そっと近くにあった椅子に座ろうとしたときだった。

ここぞとタイミングを見計らったように、ベッドの中からグイっと腕を捕まれてそっちへと引き寄せられた。





















「ちょっ・・」

「・・・・ほんとに来てくれたんですね・・・。」

「・・起きてたの?」

「・・・はい、さんが来るのが、嬉しくて。」

「来るに、決まってるでしょ?・・・心配だもん。」

「もう、怒ってませんか?」

「・・?なにを?」

「・・その、迷惑だとか、言ったじゃないですか・・」

「あぁ・・それ・・もう怒ってないよ。それに、怒ってるっていうよりも、ショックだったっていうか。」

「よかったです・・」

「それより、・・具合、どう?熱は?」

「・・だるいです。熱は・・・・まだ・・」

「よし、じゃあ熱測ろ?」

「・・はい・・・。」












































「・・38度・・。」

「・・・・。」

「よくまぁ・・こんなに具合悪くなるまでさぁ・・・」

「・・はい。」

「・・・だから、ムリしないで、って、言ったのに・・・」

「・・・すいません。」

「仕事、忙しいのも、やらなきゃいけないっていうのも、分かってる。だけどね、」

「・・はい・・。」

「流河君は、“L”である前に、流河君は流河君なんだから・・・。」

「・・・・・。」

「・・・ムリ、しちゃヤダよ?」

「・・気をつけます。」

「ん。・・・なんか欲しいもの、ある?買ってくるよ?」

「いいです・・いりません・・・。」

「飲み物は?」

「・・いりません。」

「・・水分補給は、しなきゃダメだよ?」

「・・・いいです・・でも、行かないでください・・。」

「ん?」

「・・・ここにいてください。嫌ですよ・・・何処にも行かなくていいです。」

「・・・分かった。」







風邪をひいているせいか、いつも以上にに甘えたな竜崎。

先ほどからの手を握り締めてずっと離そうとしない。

が『何か買ってこようか?』と問いかけたときも、握っていたその手がほんのわずかだが、強く握られた。

そんな竜崎の姿を見ると、やはりなんだか保護者になったような気分にさえなってしまう。











「風邪ひくと、心細くなるもんね。」

「・・・そういうもんですかね・・。」

「私はそうだなぁ。」

「風邪なんか・・ひいたことなかったので分からないですね・・・」

「初めてひいたの?」

「・・・多分。」

「人間なんだから、体調崩して当たり前だよ。ましてや流河君みたいにあんな不規則な生活してるんだから。」

「・・さん・・・」

「なぁに?どうしたの?」

「もっと・・こっちに来て下さい。」

「うん?」







竜崎にそう言われて座っていた椅子を少しベッドに近づけ、竜崎に言われた通り先ほどよりも近い距離になった。

そうすると、満足そうな顔をして竜崎は熱で重たい体をだるそうに起こしながら自分もへと近づいた。

するとポテン、との首筋に自分の顔を埋めてにもたれかかるような形になった。















「・・流河君?」

「・・・・さん冷たくて気持ちいいです・・・。」

「流河君の体温が今高いからだよ。」

「・・・そうですね・・・」

「この体制、辛くない?横になってたほうが」

「これがいいんです・・・。」

「・・そう?」

「はい・・・。言いましたよね・・?さんが来たらずっと傍から離れたくなくなるって・・・」

「ん・・。いいよ。流河君の好きなようにして。」

「はい・・。」














熱のせいか少しだけ呼吸が辛そうで荒い。

首に顔を埋めているせいで流河君が喋るたびに熱を帯びた吐息がかかってなんだかくすぐったい。

猫ッ毛の髪の毛も、くすぐったい。

・・・でもなんか気持ちよさそうにしてるし・・・うん、いっか。

それにしても・・・熱いなぁ・・

・・・・風邪だったから良かったものの、なんか、すごい病気とかになっちゃったら、嫌だなぁ・・

だっていつも寝てないし、ゴハンも食べないし、・・・いっつも、難しいこと考えて、仕事して・・・

ホントに、ホントに体がおかしくなって、・・・なって・・・・・なったら・・・



















少しそう考えただけなのに、ジワァっとの目から涙が溢れてきてしまった。

スンッ、と鼻をすする音にスポンと首筋に顔を埋めていた竜崎はふとの顔を見上げた。


















「・・・さん・・・どうしたんですか?何か・・」

「え、あ、・・ゴメ、・・・なんでもない。」

「なんでもない人が・・・そうやって涙を目に溜めますか・・・。」

「・・・もう、ムリしないで。・・・それだけ。」

「・・・すいません。」

「・・・・私、流河君が病気とかなったら、一番嫌だから・・。」

「・・・さんは、優しいんですね・・・」

「・・・そんなことないよ。わがままなだけ。」

「・・いえ・・・そうやって自分のために泣いてくれる人は、初めてです・・。」

「・・・だって好きなんだもん・・。」

「・・嬉しいですね・・・・もう、すぐにでも治ってしまいそうなぐらいに。」












ポンポン、との頭を撫でてふっと微笑む竜崎。

そしてそのままグイっともベッドの中へと引きずり込んでしまった。












「ひゃ・・」

さんも一緒がいいです・・。」

「え?」

「・・その方が早く治ります・・・。それに、さんと一緒じゃなきゃ寝ません・・・。」

「(なんか上手いこと言われてるけど・・)じゃあ、・・いいよ。」









モゾモゾと布団に入っていく竜崎、そしてもっとこっちに来いと言わんばかりにをじぃっと見ている。

実際、『いいよ。』とは言ったもののやはり恥ずかしいものである。

少し躊躇するものの、もモゾモゾとベッドの中へと潜る。

看病しにきたつもりなのにこんなことになっていていいのか、とも思ったがそんなこと言ってもどうせ

『私にはこれがいいんです。』とかなんとか竜崎に言われることであろうに。

ベッドの中は先ほど竜崎が寝ていたためか、暖かい。

暖かくて気持ちがよくこれじゃあ竜崎どころかも寝てしまいそうだった。










「・・あったかい。」

「さっきまで、寝てましたから・・」

「狸寝入りだったくせに・・。」

さんが来てくれたので今度はちゃんと寝ます。」















離すまいとぎゅっとのことを抱きしめそう言った。

普段抱きつかれることは多いが、こうして身動きが取れない状況でこんなに密着していると流石に恥ずかしい。

どっちが風邪をひいてるんだか、とでも言いたいぐらいにの顔は真っ赤である。

しかしこれで竜崎がちゃんと寝てくれて風邪が治るのなら、と思えば恥ずかしさなんて二の次であった。
















「おやすみ、流河君。」

「・・え?もう寝ちゃうんですか?」

「・・・流河君、病人でしょ?」

「じゃあ、キスしてもいいですか?」

「・・じゃあ、って・・・そんな脈絡なかったよね、今・・」

「キスしたら寝ます。」

「う・・・」

「駄目ですか?」










そんなことを言われては駄目なんて言えるわけがない。

それに、嫌なわけがない。

断る理由なんて何処にもないのだ。













「流河君って、ずるいよね。」

「そう思いますか?」

「・・うん。」

「そうですか。」









ちゅ、と軽く口付ける。

まだだ、と言わんばかりに2回、3回、と口付けていく。

軽いフレンチキスではあるがそう何回もされると恥ずかしい。

キスなんてこれで初めてなわけじゃないのに竜崎はこうしてするたびにが恥ずかしがったりする仕草が好きで仕方なかった。

具合が悪いというのにこういうときは相変わらずそういった悪戯心は旺盛である。











「ん・・」

「可愛いです・・」

「・・バカ・・。」

「そんな可愛い反応されると困るんですけどね・・」

「なにが?」

「・・いえ・・なんでもないです・・・。」








ぎゅっと抱きしめている竜崎の腕と、ベッドに残っていた暖かさが気持ちよく思わずあくびが出る。

それを合図にするかのように竜崎もようやく目を閉じた。










「おやすみなさい、さん・・」

「ん・・おやすみ・・流河君、・・・ちゃんと寝るんだよ・・?」

「はい、さんが一緒なので。」









竜崎がそう言ったのを聞くと、少し照れくさそうにさっきよりも少し竜崎の方へと近づきそのまま一緒に眠りについた。









































































─・・何処に行くの?

─・・早く帰ってきてね?

─・・寂しいなぁ

─・・一人でも大丈夫だよ

─・・一人でも

─・・・



































一人は嫌─・・・














































































「・・・流河君・・・?」


















起きたのは次の朝だった。

起きたとき、の隣に竜崎の姿はもうなかった。

一瞬焦ったが、少しすると部屋のドアが静かに開いて既に起きていた恋人の姿を確認して安心した。














「あぁ、さんおはようございます。起きたんですね。」

「おはよ・・流河君。・・・何処行ったのかと思った。」







おはようございます、とをぎゅっと抱きしめようとするが、今回は先にが竜崎に抱きついた。

ぎゅっと竜崎の背中に回された腕に少し力がこもる。













「・・いなくなってたから、・・少しびっくりしちゃった。」

「私が何処かに行ったかと?」

「・・うん・・。」

「大丈夫ですよ。貴女を置いて何処かに行くなんてありえません。」





安心させるようにそのままをぎゅっと抱きしめた。

竜崎に抱きしめられるとも安心したように竜崎の胸に顔を埋めた。









「・・具合は?」

「よくなりました。やはりさんが来てくれたからですね。」

「大げさな・・」

さんのおかげですよ。有難うございます。」

「何もしてないけど・・流河君がそう言ってくれるなら・・どういたしまして。」

「はい。・・さん。」

「ん?」

「なにか、あったんですか?」

「・・?何もないけど・・」









先ほどからずっと背中に回されているの腕。

がこうしてずっといるのは珍しい。

不思議に思った竜崎がふとそう聞いた。













「私は、何処にも行きませんよ。」

「・・・・流河君て、嫌だね。」

「な、なんでですか・・?」

「・・・だって、いつも私の心の中読んだように、欲しい言葉言ってくれるんだもの。」

「そうですか?」

「ん・・。怖い夢を見たの。」

「どんな?」

「・・・一人ぼっちになる夢。流河君が私を置いて、一人で何処かに行っちゃったの。何も言わずに。」

「ありえません。」

「・・・うん、安心した。」











ポンポン、との頭を撫でる。

竜崎の大きな手が心地よい。















「今日はまだ安静にしてなくちゃダメだよ?」

「・・はい。」

「よし。」

「え?」

「なぁに?」

「あ、いや・・帰ってしまうのかと思いました。」

「帰ったほうがいい?」

「何言ってるんですか。今帰られたら風邪ぶり返しますよ。いてください。」

「あはは、いるよ。流河君が無茶しないように見張ってるから。」





















少し遅めの朝食を一緒に取った。

二人でいることなんて初めてじゃないし、何度もあることだけど

今日はなんだかいつもよりも嬉しくなった

ずっと隣に流河君がいてくれたから

どうしてこんなに好きなんだろう




















******

竜崎が好きでしょうがないって実感しちゃうヒロインちゃん。
そしてこの竜崎はやたらと『すいません。』て言いすぎだ。笑
ヒロインちゃんが一人を嫌がる理由はもう少ししたら。別にたいしたことないけど。(えぇ・・)