人というものはこう短期間でここまで変われるものなのか
最近、新たに知ったことだ
そして貴女が教えてくれた
頭脳は大人、中身は子供 私の隣は名探偵
隣の○○君
今まで風邪なんてひいたことなかった。(ような気がする。)
世界一の探偵だなんて囃(はや)されても、やはり私もなんら変わらぬ人間だということか
それにしても、・・・だるい
体が重い・・・どうしたものか
「今日は休んでください。そんな体では何もできませんよ。」
ワタリがそう言った
きっと私がこんな状態でもたまっている仕事をやろうとしないためだろう、いつもより少しきつめに言葉を言い放ったのは。
・・・ということは、学校も休まなければいけない
いや、別に学校は休んでも構わない
・・・さんに会えない
・・・仕方ない。
それに・・・こんな状態のままさんに会っても風邪を移すだけだ
きっと私が『風邪をひいた』なんて言ったら彼女は絶対に心配して来るだろう
それは駄目だ
もし来られたら・・・ずっと傍に居て欲しくなる
「今日は・・学校を、・・休むので・・・すいません・・。」
『どうしたの?風邪?』
鋭いな
「いえ・・・少し、仕事がたまってしまって。それを早急に仕上げなければいけません・・。」
『そっかぁ・・大変だね・・。分かった。先生に風邪だって言っておくね。』
実際そうなんですけどね
「はい・・有難うございます。」
『声・・・なんかいつもより変。』
「え・・」
『疲れてる?』
「・・あぁ・・少し・・そうかもしれないですね。」
『あんまりムリ、しないでね?体壊しちゃったら元も子もないんだから。』
すいません
もう壊してしまいました
「はい・・心配させてすいません・・・」
『じゃあ、お仕事、頑張ってね。』
「さんも、気をつけて行ってください。」
『うん、じゃ、行ってきまーす。』
「はい、行ってらっしゃい。」
声がいつもより違うと言われてバレたかと思いましたが・・・よかったです。
・・・本当はさんに会いたいし来てもらいたいです。
しかし風邪が移って今度は彼女が苦しむのは見たくないですしね・・・仕方ありません
ワタリに隣の部屋で休むように言われて
普段全く使わないその部屋に入れば綺麗にメイキングされた白いベッド
ベッドで寝るのは何時ぶりだろうか
あぁ・・・前にさんが寝てしまったときについでに一緒に寝たとき依頼だ
私にしてはこの短期間でよくもこのベッドに数回もぐることになろうとは
もぞもぞと布団の中に入れば、熱がこもったその体はすんなりその心地よさを受け入れた
瞼を閉じればすぐにでも寝てしまえそうだ
体調がよくない証拠だ
普段だったらベッドに入ろうとも思わない
が、今日は違う
体があまりにも重くて座っていることも億劫だ
こうしてベッドで横になっているのがとても気持ちよい
そんなことを考えているうちに自然と眠りについてしまっていた
PiPiPi・・・・・
何時間寝ただろうか
そんなことも分からないぐらい、寝ていた
携帯が鳴っている
取るのさえも億劫だ
そう思いながら携帯を取ってみれば、ディスプレイにはさんの名前が浮かんでいた
しまった
彼女からの電話ならばいつも2コールもすれば取るのに
慌ててその電話を取り、彼女の声を聞いた
「・・・もしもし。」
『もしもし?ゴメンね、今電話して平気だった?』
「・・・いえ・・そういうわけではないんですが。」
はい
貴女の声を聞いたら少し元気になったような気さえしますよ
『今から行きたいんだけど・・大丈夫?あ、ケーキ買ったけど食べる?』
え・・
いや、もちろん来て欲しいですよ
しかし今は─・・・
「ダメです。絶対に来ないでください。」
『え?あ、忙しかった?』
「そういうことなんてどうでもいいんです。とにかく来ないでください。」
しまった
悪い癖だ
言葉を選ぶのさえも忘れた
相手はさんだというのに
『そ、そんな言い方しなくても・・・;少し気になったから聞いただけなんだから・・あの、大丈夫?もしかして具合とか』
「別に、気にしなくても大丈夫ですから。とにかく今来られても迷惑なんで来ないでください。」
私は馬鹿か?
だから・・そんなこと言いたいんじゃない
そんな言葉が言いたいんじゃない
迷惑だなんて思うわけがない
気にかけてもらえることも、嬉しい
しかし、・・・そんなことを言われたら私はますます貴女を求めたくなる
今すぐにでも抱きしめてしまいたい
『っ・・、わーかりましたっ。絶ッッッッッ・・・対に、行きませんから安心してくださいっ。』
「・・あ、いや、あのさ」
─・・・・結果、彼女を怒らせてしまった
当たり前だ
折角心配してくれていたのに、私はなんと言った?
“今来られても迷惑なんで来ないでください”
あぁ・・・本当に馬鹿だ
・・・・絶対に、来ないと、・・・本当だろうか
これからずっと来てくれなかったら・・私はどうすればいいんだ・・
謝ったら許してくれるだろうか・・
電話を切られて何分経過したかなんて分からないが
今はそのことしか考えられなかった
そんな私を見かねたのかワタリがおかしそうにしながら話しかけてきた
「竜崎。」
「・・なんだ・・。」
「さんに謝ってみてはどうですか?」
「・・・・さっきの今でかけるのは」
「ほっほ・・竜崎も随分と人間らしくなりましたね。」
「・・・?」
「“さっきの今で自分から電話をかけるのは気まずい”、・・・なんでしょう?」
「・・・はい。」
私がそう答えると相変わらず微笑むワタリは早速電話を手にした
・・・まさか
『・・もしもし・・?』
「もしもし。さん、ですか?」
やっぱり
だから気まずいと言ったのに何故こうしてさんに電話をかけるんだワタリ
しかもさんもさんでそんな簡単に非通知の電話を取らないでください
『はい、どうしたんですか?ワタリさん。』
「いえ、・・さっきは竜崎がすいませんでした。」
・・・・。
そういうことか
私にも聞こえるようにとスピーカーホンにしてくれている
『なんでワタリさんが謝るんですか?全然大丈夫ですよ?』
「いえ、なにぶん酷い言い方をしてしまったらしく、
『あはは・・。』
・・・笑って誤魔化し否定しないということは・・や、やはり怒っているんですか、さん・・・
「竜崎もそれを酷く気にしているのですよ。」
『・・そうなんですか?』
はい・・・すいませんでした
「竜崎には絶対に言うな、と口止めされているんですが・・・」
『?なんですか?』
「竜崎は今か」
何を言うかと思えばワタリ
私が風邪だということはさんに言うなと言ったはずだ
「ワタリッ!!」
「ホッホ・・」
あぁ、・・・確信犯だなワタリ
ジロリとワタリを見やると『どうぞ』と言わんばかりに電話を指差した
「そうですね、今竜崎に代わります。」
『え?』
「そうでしょう?竜崎、お話がしたいんでしょう?」
そう、話がしたい
さんと
私は黙ってワタリから電話を受け取った
『・・・。』
「・・・・もしもし。」
私が出るのを待っているのか、電話の先は無言だ
言葉を出しにくそうに私からもしもし、と言えば、・・なんだかワタリと話していた時とは口調が少し変わった
・・・・やはり怒っているんだろうか・・
『・・・・なぁに?』
「あの・・すいませんでした。」
『・・なにが?』
「・・・来ないでください、と言ったのを怒っているんでしょう?」
『なんでそう思うの?』
「・・・ワタリと話してるときと、今私と話をしている口調が全く違います・・。」
『・・怒ってる。』
あぁ・・・やっぱり・・・
「・・すいません。」
『・・っていうよりも・・・・なんか、すごく悲しくなった。』
「・・すい、・・ゴホッ、ゴホッ・・ません。」
怒ってないと聞いて少し安心した反面、悲しくなったと聞いて罪悪感を少し感じた
そして一瞬気を緩めていたら少しチクチクと痛む喉が我慢できなくなり、思わず咳をこんでしまった
『・・・・・・・・・流河君。』
「・・・はい。」
『今日、どうして休んだのか、言ってみて?』
「・・・ここのところ仕事がたまっていたので」
もう風邪だとバレてしまっているだろうに
聞き苦しい言い訳だ
『私、嘘つきって嫌いなの。』
「え、」
困ります
さんに嫌われたら生きていけませんよ
『今日、どうして休んだのか、言ってみて?』
「・・・・・・・・・・不覚にも、風邪をひいてしまいました・・・。」
『・・・・なんで嘘ついたの?』
「・・・風邪をひいたと言ったら、・・さん絶対に来ると思ったので・・」
『そりゃあ、』
「・・移したくないんですよ・・。」
『別に行ったくらいじゃ移らないのに・・』
「・・・・さんが来てくれたら、絶対に傍から離れたくなくなるので・・・なのでさんに移ります。」
私がそう言えば電話の向こうで安心したような声が聞こえた
あぁ、私が不本意に迷惑だとか、来ないでくださいと言ったことをそんなに気にしてしまっていたのか
そんなこと、思うわけがない
事実こうして声を聞いているだけで、今すぐにでも会いたいのに
「・・・・・、さん?」
『・・・・ちゃんと、お布団入って、あったかくして、・・・寝てて?』
「・・・・・・はい。」
そうですね
そうして早く治して貴女に会いに行きますよ
『・・・今から行ったら、・・迷惑?』
心配そうにうかがう貴女の声が愛しくて仕方ない
「・・・・・まさか、とんでもない。」
『・・・今から、行くよ?』
「・・・・移っても、知りませんよ?」
『・・風邪は人に移すといいんだって。』
そんなこと言ってると本当に移しますよ
「・・・待ってますね。」
貴女が来るというだけでこんなに嬉しくなるなんて
早く来て下さい
貴女が来るまで眠れません
待ちわびて待ちわびて
貴女の顔を見たら物凄く安心した
私には貴女がいないとダメだと、今更ながら気づいてしまった
どうしたものか
一人でいることが嫌だと感じたのは初めてだった
早く貴女に来て欲しいと
所詮私もただの人間にすぎないということか
数十分後、急いで来たのか少し息を切らせて貴女がここにやってきた
早く寝たふりをしなければ
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Lサイド。
人間らしい感情に気づきました。
ホントはこの後のLサイドも書きたかったけど・・・まぁいいか。笑
ただいまのBGMはナイトメア【シアン】ですよ。(知らん。)