「何見てるんですか?」
「タウンワーク。」
「ダメです。」
「えぇ?;」
流河君のとこに遊びにきたんだけど。
流河君は私の背中にひっつきながら私の読んでいるものを聞くなりそう言ってサっとタウンワークを取ってしまった。
頭脳は大人、中身は子供 私の隣は名探偵
隣の○○君
「あ、返してよぅ!」
「嫌です嫌です。返しません。」
「欲しいの?それ。」
「いりません。」
「じゃあなんで。」
「これは・・・バイトの情報誌ですよね?」
「うん。」
やっぱり、と言うと今度はタウンワークをさっと自分の後ろへと隠すようにした。
「な、なんで隠すのっ。」
「バイトするんですか?」
「え、あぁ、うん。ほら、前のファミレスさぁ、あれ以来先輩と気まずいし、辞めちゃったじゃん。」
「辞めて当たり前ですよ・・あんな男がいるところなんて・・」
「だからまた新しくやろうかなぁ、って思って。」
「嫌ですダメです。」
「嫌ですダメです、って・・・」
「前のバイトみたいに変なヤツがいたりしたらどうするんですか・・しかも貴女一度ストーカー紛いなことされてるんですよ。」
「心配してくれてるのね・・。」
「当たり前です。」
「んー、でも欲しいのとかあるし、貯金もしたいからやっぱりバイトしなきゃなぁ。」
まぁ、高校生なんだからそう思うのは当たり前だろう。
欲しいものもあるだろう、バイトをしたいと思うのも分かる。
しかし竜崎は相変わらずムスっとしながらの背中にひっついている。
「嫌です。バイトなんてしないでください。」
「嫌ですって言われても・・・」
「大体貯金なんてしてどうするんですか。」
「え、貯金しちゃダメ?」
「駄目じゃないですけど・・」
「高校出たら一人暮らしも考えて」
「なおさら却下です。女性の一人暮らしほど危ないものはありませんよ。」
「・・・・だって一人暮らししたら今よりも流河君に会いに行きやすくなるのに・・。」
「さんが行けないなら私が会いに行きます。」
「・・・んー・・嬉しいんだけど・・なんでそんなに嫌がるのさ。」
「・・・・バイトなんて始めたらそれこそさんに会える時間が減ってしまうじゃないですか。」
「・・そっか・・。」
分かってくれましたかとばかりにタウンワークをポイっとゴミ箱に放り投げた。
しかしは別に分かってくれたわけではないようだった。
「あ!!捨てないでよぅ!!」
「もう必要ないでしょう。」
「あるよ!!」
「なんでですか。」
「だからバイト探して」
「だからしないでくださいと言ったじゃないですか!」
「なんでそこまで言うのさ!!」
「私がさんと一緒にいたいからですよ!」
珍しく竜崎もムキになって言葉を発するのでしばしも驚いた。
しかもそんなことを言われては怒り返すこともできない。
「・・・はぁ・・・。」
「・・・すいません。」
「いや・・うん、じゃあ・・保留にしとくよ・・。」
「・・・・。」
「不満そうね。」
「つまりは今はしないけどいつかはするということですよね。」
「まぁ・・うん、多分。」
「・・・・するときは必ず言ってくださいね。」
「あ、うん。」
そして離すもんか、とますますぎゅう、っとひっついて離れない。
とりあえずのバイトの件は一件落着のようだ。
しかし相変わらずの背中から離れようとしない竜崎。
「あの・・流河君・・」
「はい。」
「この格好すごく動きにくいんだけど。」
「嫌です離しません。」
「今日の流河君は一段と我侭で甘えっ子さんね。」
「・・・・。」
「流河君?」
「・・・私のこと好きですか?」
「・・・何を今更。」
「好きですか?私は好きです大好きですよ愛してます。」
「え、あの、」
「好きですか?」
「う、うん。」
「・・・。」
「どうしたの?なんかあったの?」
「・・・・今日、」
「今日?」
今日・・、と眉をひそめながらボソボソっと話し始めた。
≪竜崎回想〜in 教室≫
「知ってる?」
「知りません。」
「憎たらしいね、君は。はなんで君と付き合ってるんだい。」
「いきなり『知ってる?』と聞かれても知らないに決まってるじゃないですか。」
「そこは『何が?』とか聞くでしょ。」
「じゃあ聞きます。『何がですか?』」
「・・・いいこと教えてあげようと思ったのに。」
「なんですか?」
「憎たらしい子には教えない。」
「リコさん、もったいぶらずに言ってください。」
「あのね、生徒会長いるじゃん。生徒会長。」
「・・・あぁ。」
「興味のない人間にはほんと反応薄いのね。関連にはすぐに食いついてくるのに。」
「生徒会長がなんなんですか。」
「・・・生徒会長はものすごくおモテになるんですよ。」
「それがなにかあるんですか。」
「そうね、夜神君とどっこいどっこいくらいかな、モテるのは。」
「そういえばライト君は女性に人気がありますね。あの胡散臭そうな顔のどのへんが・・」
「胡散臭そうな顔してるのは君もだから大丈夫よ。」
「リコさん失礼ですね。」
「あなたほどじゃないからね。で、その生徒会長。」
「はい。」
「のこと好きらしいよ。」
「!」
「あ、驚いた?」
「はい、とても。それで?」
「おお・・食いついてきたなぁ・・。あぁ、それでね、生徒会長、に告白」
「するんですか!?」
「・・らしいけど。」
「・・・さんと付き合ってるのは私です。」
「それも知ってるらしいけど。『あんな変なヤツに負けるわけがない。』って自信満々らしいよ。」
「嫌な性格してますね。」
「そうね。でも表向きは優しいし、ルックスもすごくいいし、・・・少し不安じゃない?」
「全く。」
「あら、すごい自信ね。ま、そういうことだからさぁ、のこと逃がさないようにしなきゃね。」
「・・・・・ということが・・。」
「あぁ、そうなの?」
「あぁ、そうなの・・って、さん、」
「で?どうしたの?」
「リコさんに不安か、と聞かれて『全く』と答えましたが。」
「うん?」
「不安です。」
「なんで嘘ついたの?;」
「強がりです。」
「(・・可愛い。)」
「・・・どうしますか?」
「なにが?」
「生徒会長の馬鹿野朗にそんな・・こく、告白なんてされたら・・」
「え?断るに決まってるでしょ?・・・なんでそんなこと聞くの?」
がきょとんとしながらそういうと目を真ん丸くしながら心底安心したように『はぁ・・』とため息をついた。
「・・・もしかして流河君さぁ」
「はい。」
「また余計なこと考えたね?」
「?」
「私は流河君が好きだって言ってるでしょ?他の誰がなんて言おうと、好きなんだから。」
「・・はい。」
「前も聞いたけど、私そんなに信用ない?」
「そういうわけじゃありません。しかし・・なんででしょうか、ものすごく不安になるのは。」
先ほどよりも抱きしめている腕に少し力が入った。
竜崎のその手にもそっと手を添えた。
「はい、もうやめよう。」
「え?」
「いいじゃないよ、もう。私は流河君が好き。以上、それでいいじゃんよ。」
「・・・そうですね。」
「あ、今笑ったね。」
「いえ。」
「いや、笑ったよ。」
「はい。」
「ほら。」
「そうですね。・・さんが簡単にそう言ってくれるので考えすぎている私が馬鹿馬鹿しくなりました。」
「うん。おバカよ。」
「私にそんなこと言えるのさんぐらいですよ。」
「私だけって、いいね。」
「・・・あまり馬鹿と言われても嬉しくはありませんが。」
「そうだね。」
仕事もしないでこうやってただくっついて話して、不安なこととか言って好きだって確かめあったりしてれば、
本当、ただの男の子なのに。これで世界でトップの名探偵だなんて信じられない。
「お腹が空きましたね。」
「あ、私お菓子買ってきたよ。」
「・・、今度またケーキ作ってくださいね。」
「え?・・あぁ、うん、作る作る。」
学校に行けば数週間もの間生徒会長の姿が目撃されなかったとか。
「流河君、・・・・なんかしたの?」
「何もしてませんよ。」
「・・・。」
多分ウソだろう。
・・・・本当にただの男の子
の、はず。
*****
ネタがなかった。(暴露)