「3ヶ月かぁー。」
ふと漏らした独り言。
なんとなく言葉と共に机の上の携帯を見るとランプがチカチカと光ってメールの着信を知らせていた。
頭脳は大人、中身は子供 私の隣は名探偵
隣の○○君
メールの相手はの恋人、竜崎だ。
いつになっても彼からのメールというものはなんでこうも嬉しいのだろうか。
彼があまりメールをよこさない人だからたまのメールが嬉しい、とか、そんな理由ではなく、こう、竜崎だと思うだけで嬉しくなる。
いつも一緒にいるのに、それだけで嬉しくなってしまうなんてやはり不思議なものだ。
『会いたいです。』
それだけ、メールの本文に書かれ送られていた。
相変わらず必要最低限のことしか言わない彼。
だけど、それはすごく率直故ににはすごく嬉しくて。
カチカチ、と慣れた手付きでその返事をする。
『いいよ、今から?』
そう返事をすればすぐに
『はい、今です。今会いたいです。』
と、返ってきた。
竜崎自身がに会いたい、というのも大いにあるのだろうが、へのほんの気遣いでもあるのだろう。
実際いつも一緒にいると言っても、いつも竜崎の部屋で竜崎が仕事をしているのを物珍しそうにがそれを見ていたり、そんなことが多い。
もちろん会話もするし、竜崎ものことを放っているわけではないのだがやはり竜崎なりに申し訳ないとでも思っているのだろう。
それ故にたまにこうして『会いたい』だの、そんなメールが来る。きっと仕事の合間をぬって。
だからこそ、更にこうしたメールがはたまらなく嬉しくなるのだった。
学校で話をして、一緒にケーキを食べて、竜崎がせっせと仕事をしている姿を見ているだけでも十分だというのに。
『今からさんの所行くので待っててください。』
そう返ってきたメールの文を見て、思わず頬が緩む。
きっと10分足らずで来るんだろうな、そんなことを思いながら。
「・・・3ヶ月、経つんだ、流河君と付き合ってから。うーーん・・・・早いなぁ・・。」
そう。そしてもう竜崎とが付き合い始めて3ヶ月が経とうとしていた。
あまりそう感じさせないのはきっと付き合う前から何気なく仲良くしていたこともあるのだろうか。
「・・・・流河君覚えてなさそうだけど。」
なんてクツクツ笑っていれば、竜崎から到着の電話が鳴った。
『こんばんわ。』
「こんばんわ。」
『今着きました。下にいます。』
「すぐ行くね。」
『はい。』
少し身だしなみを整える。
パタパタ、といそいそと下で待っている竜崎の下へと急いだ。
「さん。」
「流河君、いいの??お仕事。」
「いいんです。それとも、ここに来ずに仕事をしていたほうがよかったですか?」
「いやいやいやいやっ、そんなことないっ、嬉しいもんっ。」
「良かったです。」
ふ、っと軽く微笑む。
普段、こうして笑う竜崎はあまり見られない。
「時間、大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。何処か行きたいところあるんですか?」
「ううん、ない。けど、いや、・・うん。ね。」
「?どうしました?」
「いや、あの、・・一緒にいれるなぁ、って。」
「・・・・。」
「あっ、で、でもあれだよ!?ちゃんと流河君の時間に合わすからっ、大丈夫っ!!」
そう言って手をあわあわと横に振ってみせるが、竜崎はたまらずを自分の方へと抱き寄せた。
「可愛いですね、貴女は。」
「・・・はい?」
「そんなこと言われたら、帰りたくなくなるじゃないですか。」
「でも、そんなわけいかないんでしょう?」
「・・・悔しいですね。」
「悔しがらないの。」
「あぁ・・、さん。」
「ん?」
「3ヶ月です。」
いきなりなんの主語もなくそんなこと言うもんだから、なんのことだかさっぱり分からず目を丸くしていたが、
少し考えて、さっきまで自分も同じことを考えていたのを思い出した。
「・・何吃驚した顔してるんですか。」
「いや、」
「覚えてませんか?付き合い始めて3ヶ月経つんです。」
「ううん、覚えてる、ちゃんと分かってるってば。寧ろ私は流河君がそのことを覚えてないんじゃないかと思ってたけど。」
「心外ですね、私は意外と覚えてるんですよ。そういうの。」
「うん、嬉しい。」
「さんも忘れていなかったので嬉しいです。」
「いきなり『3ヶ月です。』なんて言うからなんのことかと思っちゃったよ。」
「あぁ・・すいません。」
流河君は主語をちゃんと言おうね、そう言いながらいつまでもぎゅっと抱きしめている竜崎の腕を何気なく解く。
もちろん、竜崎はそれに不満そうにしていたがが『ご近所さんに見られたら恥ずかしい』なんて、そんな目をしていたので仕方なさそうにした。
「前にも言ったと思いますが、私はさんが初めて好きになった人なんです。」
「(何回聞いても嬉しいなぁ・・それ・・)」
「初めて好きになった人がさんでよかったです。」
「え、あ、有難うッ・・」
「最初で最後です。」
「?」
「さんが。」
「・・えー・・ホントに?」
「私はよく嘘をつきますが、これは本当ですよ。」
「私も流河君が最後の人だといいなぁー。」
「“いいなぁ”ではなく、そうなってもらえればいいんですけどね。」
「うん、じゃあ最後だ。」
「簡単に決めますね。」
「簡単だよ。だってこんなに好きになった人、いないよ。」
ね?と小首をかしげてにこりと笑いながらそう言う。
そんな彼女の姿を見て竜崎は目を真ん丸くしながら、しかし嬉しそうにしていた。
「私ねー。最初流河君見たとき、『あぁ、変わった子だなぁ』って思ったの。」
「まぁそれが普通の反応でしょうね。」
「なんかね、でも、変わった子だからじゃなくて、気になってたの。」
「そうなんですか。」
「うん。実はノート貸してたのだって流河君と話したい口実だったし。今だから言えるけど。あはは。」
「それは私もですよ。」
「え?」
「正直、ノートなんてなくても授業の内容なんて分かりますし・・実際ノートを借りてもノートを写すだなんて一度もしてません。」
すいません、と一言謝るが顔は楽しそうだ。
「だろうねぇ・・・それだけ頭がよければノートなんて必要ないだろうね・・。」
「はい。でもさんと喋る口実が欲しいので借りてました。私も同じです。」
「小賢しいところは似てるね。」
「小賢しいですか。一生懸命だと言ってほしいですね。」
「普段余裕なのに、一生懸命な流河君とか、なんか新鮮ね。」
嬉しそうに笑いながらそう言う。
こうして付き合う前のことを思い出すとなんだか恥ずかしいような、そんな気持ちにさえなってくるが
あのときはあのときで楽しかったなぁ、なんて言ってみれば怪訝そうな顔で『嫌ですよ・・』と言う竜崎。
「えー、嫌?」
「嫌ですよ・・。さんは鈍いのであのままの関係が続いていたら今こうして一緒にいられるのがいつになるやら分かりません。」
「し、失礼な・・・。」
「鈍いですよ、結構分かりやすく接したつもりだったんですけどね。・・・分かってくれないですし。」
「えぇ・・だって流河君ポーカフェイスすぎて分かんないよ。」
「まぁ、こうして今一緒にいられるのでいいんですけどね。」
そう言ってをちょいちょい、と手招きする。
手招きされそのまま竜崎に寄ればスッと首に腕を回される。
何かと思い見てみれば土星の輪をつけたようなハートのオーブのネックレス。
いきなりこんなものをつけられは目を真ん丸くしながら不思議そうに竜崎を見上げた。
「え、あの、」
「プレゼントです。・・・嫌でしたか?」
「いやいやいやっ、う、嬉しいけどっすごくっ!!でもなんでいきなりプレゼント・・私今日誕生日じゃないよ。」
「さっきまでその話してたじゃないですか。今日で3ヶ月だって。」
「・・・え。」
「・・・・あの、何度も言わせないでください・・・意外と恥ずかしいんですよ。記念です。」
「わ・・」
「・・買いに行ったのはワタリですけど・・・選んだのは私です。・・・・気に入りませんでしたか?」
「・・え?ううん、ううんっ!!いやっ・・もう・・なんかホント・・」
「?」
「どうしよう・・・嬉しすぎるんだけど・・・。」
紅くなった頬を両手で押さえながら竜崎にそう言った。
照れているのか竜崎にあまり顔を見せないように俯きながらポソリとそう言う。
のそんな様子に竜崎も至極嬉しそうに『良かったです。』と一言そう言った。
「喜んでもらえてよかったです。」
「うん・・・すっごい嬉しい。まさかこんな・・」
「・・・・実は、あの、」
「ん?」
「・・・これ言ったら感動薄れるかもしれないんですが・・」
「なぁに?」
「この前、ミサさんに言われたんです。」
「なにを?」
「『付き合って3ヶ月になるんだったら何かプレゼントしてあげたら』って・・・。まぁ、こんなこと言ったらもっと駄目かもしれませんが・・
記念なんてどうでもいいのでこれからもさんといられれば私はいいんですけどね・・・。」
「・・わぁ。」
「正直、そういうことは全く分からないのでどうしていいか分からなかったんですが。・・・さんが喜んでくれるのならそういうこともしてみようかと思って、
その日にワタリとその・・それを見に行ったんです。それがさんに似合うと思ったので、・・・あぁ、なんか言ってて少し恥ずかしくなってきました。」
そう言いながらも相変わらず表情があまり変わらないが、言葉の通り照れたよう頭をポリポリ掻いている姿はなんだかすごく可愛らしくて。
竜崎のそんな姿に思わずは笑いを隠せなかった。
「・・・何がおかしいんですか。」
「や、だって、流河君可愛すぎ・・・。」
「・・は?」
「ありがとう、ほんと、すごく嬉しい。」
「はぁ・・喜んでもらえたのは私も嬉しいですが。」
「そんな照れてる流河君も滅多に見れないし、ね。」
「あまりからかわないでください。」
「・・・あ、」
「はい。」
しまった、私何も用意してない。
なんて今更ながら思う。
あぁ、どうしようどうしよう、自分だけこんなに嬉しいことしてもらっちゃったのに、なんて思っていると
それを察したかのように竜崎がの頭をポムポムと撫でながらに言った。
「私が好きで勝手にあげたんだからさんは余計なこと考えなくてもいいです。」
「・・え?あれ?私なんか言ってました?」
「さんは分かりやすいです。」
「・・・さいですか。」
「あぁ、でもやはりなにか欲しいので、」
「え、う、うん、時間かかるかもしれないけど、」
「今キスしてください。」
「・・・・え」
と、なんとキスを要求してくる竜崎。
一気に顔を赤くさせるも相変わらずであるが、また竜崎もそれを楽しんでいるのだ。
「駄目ですか?」
「う・・あ・・め、め・・・」
「・・・何言ってるんですか・・。」
「めめめ、目っ・・・」
「め?」
「め、目つぶってて・・!!!」
「分かりました。」
もうそれでいっぱいいっぱいになっている。
そんな彼女の姿を見ておかしくなるが、彼女に言われたとおり目を瞑った。
それを確認するとは真っ赤になりながら、小さくちゅ、と可愛らしい音を立てて竜崎にキスをした。
「・・・いい加減慣れませんかね?」
「・・ゴメン・・まだ慣れない・・・」
自分からするのは、と付けたし小さく謝罪した。
しかし竜崎は満足そうに『これから慣れてくれればいいですし。』とそう言った。
門の先では塀に隠れながら回覧板を回しに来たライトがどうしていいか分からなさそうにハァ、とため息をついていたのは竜崎が帰るときに分かったことだった。
「場所をわきまえろ、流河・・・;」
*****
3ヶ月経ったっていう。
うおえーなんかもう書いてて砂吐きそうになったよ。クソ甘い。ぎやー
ハートのオーブネックレスはヴィヴィアンのオーブがハートになったようなのを想像してください。笑
ヴィヴィアン大好き。