「あ、一緒。」







春に相応しい笑顔。

桜がそっと、鼻の頭に乗っかった。









































































頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。

隣の○○君
































































4月。

桜が咲いて、丁度綺麗に散っていく時期。

入学式、そしてクラス替え。












「流河君、流河君、クラス、一緒だよ。」









ホラ、と竜崎の袖を引っ張ってクラス発表の掲示板を眺めた。

1年同様、2年になっても竜崎とクラスが同じになれたらしい。

心底嬉しそうな顔をしながらにこにこ笑っている。











「あぁ・・・よかったです・・。さんとクラスが離れてしまったらどうしてやろうかと思ってました。

「・・・・・なにを。」

「先生を、」

「や、やめなさい。」

「えぇ、大丈夫です、こうして同じクラスになれたことですし。」








そうではない。

その物騒な考えをどうにかしてほしいのだ、とは思うが竜崎もまた嬉しそうにしていたのでもう突っ込まなかった。










「あ!ライトも一緒だ!!」

「・・え?」








嬉しそうにしていた表情が一気に最悪モード突入な表情になった。

普段からの猫背が更に猫背になり、眉をしかめている。(そんなに嫌か。)

しかしは嬉しそうにしているのでそれ以上何も言えない。









「わー、また3人一緒だね、あ、リコも一緒!嬉しいなぁー。」

「・・そうですね。」

「ライトはもう見たのかなー、これ。ね、流河君。」

「・・そうですね。」

「皆一緒だと楽しいしね。」

「・・そうですね。」

「流河君、『そうですね』ばっかで・・ここは森田和義アワーじゃないんだから。」







違う、違うだろう。

観点はそこではない。

竜崎の返事が『そうですね』の一点張りでもここがタモさんのいいともではないことは誰にでも分かる。(は笑っていいとも!が大好きだ)









、おはよう。」

「あ、ライトおはようっ。」








丁度いいタイミングとでも言おうか、ライトが少し送れてクラス替えの掲示板を見に来たようだった。

相変わらず気持ちの悪いくらい爽やかボーイだ。









「おはようございますライト君。あれ?髪形変えたんですか?あ、すいませんカツラを変えたんですか?よくお似合いですよ。」

「オイ。新学期早々ケンカ売ってるのか?」

「ねぇ、ライト、クラス発表見た?同じクラスだったよっ。」







竜崎から意識を逸らさせるように掲示板を指差す。

ライトもと同じクラスになれて嬉しそうだった、が、彼もまた竜崎と一緒のクラスであることを知ると

心底嫌そうな、というかまだ何もしていないのにどっと疲れたような顔つきになった。









「また同じクラスでよかったねー。」

「うん。」

「あ、流河君も一緒なんだよ。また3人一緒だね。」

「・・・うん。」

「ライト君、嫌なのは貴方だけじゃないんですよ。私だって嫌です。」

「お前はいいだろう、お前は。僕だよ疲れるのは!!お前といると年中突っ込まなきゃいけないんだから!;」

「ライト君が勝手に突っ込んでるだけじゃないですか。」

「突っ込まずにはいられないような事を言ってるのはどこのどいつだ。」

「ラ、ライトも流河君も、早く教室行こう、ね?」








にそう言われ仕方なく教室へと運ぶ二人。

別にさほど仲が悪いわけでもないのに。

どうしてこうもこの二人は会えば漫才口ケンカなのだろうか。

それは竜崎がライトに売り言葉をふっかけているからであると感じている方もいるだろうがその辺はいいとする。









































ーv」

「あ、リコッ。また一緒のクラスだね!」

「うんっ、あんたと一緒で嬉しいわー。」

「私もリコと一緒で嬉しいよ。」

「あんたのダーリンも一緒だしね。」

「ダ、ダーリンて・・。」







教室には一足早く着いたリコがを見つけ、また嬉しそうにした。

特に席は指定されていなかったようで竜崎はまた、窓際の一番後ろの席へと座った。

の方をチラリと見やって、『隣、座ってください』とばかりに目線をよこした。













「また、同じ席。」

「はい。」

「去年の今頃は流河君、ここに座ってなかったけどね。」

「即効で帰りましたからね。」

「仕事で?」

「はい。」

「そっか。」

「でも、」

「ん?」

「今思うと帰らなければよかったですね。」

「なんで?」

「帰っていなかったら、もっと早くさんに会えてましたよ。」







はいどうぞ、とスっとチョコ菓子をに渡しながらそう言った。









「あ、ありがと。」

「それにしても、あれですね・・・」

「ん?」

「この前の文化祭をきっかけに男子がさんのこと気にかけているのが多いですね・・。」

「気のせいだよ、それ・・。」







相変わらず心配性だね、そう言えばムスっと口を尖らせながらまた口を開いた。







「いいえ、気のせいじゃありません。さっき私聞いたんですよ。」

「なにを?」

「このクラスの男子の数人が貴女と同じクラスになれたの喜んでるのを、聞いたんです。」

「・・・・;」

「どうしたんですか?」

「いや、物好きな子がいるもんだなぁと思って。」

「何言ってるんですか。さんは自分の良さを分かってなさすぎなんですよ、あぁもう、だから目を離せないんじゃないんですか。

少しボーっとしてたりで危なっかしくて・・・いえ、でもそこも可愛い所なんですけど、もう少し自覚して欲しいです。」








ガリっとチョコをかじり、一気にそう言いあげた。

傍から見れば惚気にしか聞こえないのだが、彼は至って真剣に物申してるのだ。

は、『だったらライトと一緒になれて嬉しい女の子はもっといるんじゃないだろうか』なんて思っていた。









「えへへ・・。」

「・・・何笑ってるんですか。」

「いや、新学期早々嬉しいことを言ってもらったなぁ、と。」

「何を呑気に・・・私は真剣に言ってるんですから。」

「真剣にそう言ってくれてるから嬉しいんだよ。」










春、だからだろうか。彼女がいつも以上にのほんとして見えるのは、そう思いながら竜崎は

のその言葉を嬉しく思いながらも、『そうじゃなくて、少し自覚してほしいという話をしていたんだけれど』とも思いながら

クラスの害虫が彼女に寄ってきたらどうしてやろうか、なんて物騒なことを考えていた。

一方、の思っている通り、ライトは早速クラスの女子に話しかけられていたりであった。

は竜崎のガードが固いためか(竜崎が『さんに近づいたらただじゃおかない』というオーラを明らかに発しているからだ)

あまり(今は)男子に声をかけられるということはないみたいだったが。












「あ、流河君。ちょっと待ってて?」

「はい?」

「私先生に提出しなきゃいけないプリントあるから職員室行ってこなきゃいけないの。」

「はい、分かりました。下駄箱で待ってますね。」

「うん、ゴメンね。」









始業式のみなので午前中で帰れる。

クラスで担任の話を聞いて明日の連絡事項などを聞いたらもう下校だ。

部活をやってるものはもちろん、春恒例であろう新入生の勧誘などでバタバタと忙しそうにしていた。

リコもその一人でさっきバタバタと忙しそうにしながらに別れを告げて部室へと走っていった。

が職員室に行っている間、下駄箱でをまだかまだか、と待っている竜崎。














(そういえば最近さんにお菓子を作ってもらっていないですね・・・)



(頼めば作ってくれますかね)



(あぁ、でも今日はさんの好きなお菓子をワタリに用意させましたし・・・)














のことかお菓子のことしか頭にないのだろうか。

相変わらずの猫背でボーっと突っ立っていれば、不意に、トントン、と肩を叩かれる感触。

かと思い、少し嬉しそうに後ろを向けば、自分の知らない女子生徒が二人、自分を見ていた。















「あ、やっぱり、」

「誰ですか貴女は。(さんかと思ったじゃないですか)」

「流河君でしょ?」

「・・・はぁ。」








竜崎がめんどくさそうにそう言えば、女子生徒二人はコソコソと内緒話のように『ヤダ、やっぱかわいい。』『意外とカッコイイ』とか

色々話していたが、竜崎はそんなの全く興味がないので聞く耳持たずな体制だった。










「流河君ってさ、さんと付き合ってるんでしょ?」

「そうですよ。」








きっぱりと言い放てば、少し残念そうな顔をする。

これは、あれだろうか、竜崎に少しながらでも好意を持っているということだろうか。

以外は興味がないので竜崎はそんなのお構いなしであるけれど。









「流河君って、なんか変わってる感じだよね。」

「そうですか。」

「うん、クラス違うけど、流河君とお話してみたいなぁ、て思ってたんだぁ。」

「そうですか。」









一方、は職員室での用事も終わり竜崎が待っているであろう下駄箱へと向かった。

パタパタと少し早足で竜崎のもとへ向かうが、下駄箱にいたのは竜崎だけではなく、竜崎と後二人、女子生徒がいた。

から見て竜崎は後ろ向きに立っていたので竜崎の表情は分からないが、女子生徒の顔は至極楽しそうに笑っていた。

それを見て、少し、複雑な気持ちになる。

なんだかよく分からないけど、あまり見ていていい気分ではなかった。








(あ、あれ、誰だろ・・・流河君の知り合い・・かな・・?)











少し声がかけづらく、その場でしどろもどろしていれば少しうんざりしたような顔でそっぽを向くように

後ろを向き、の存在に気づいた。








さん。」

「あ、ゴ、ゴメンね、遅くなって・・・」

「いえ、いいんです、帰りましょう。」

「あ、う、うん。」










そそくさと逃げるようにしての手を取って帰ろうとする。

さっきまで喋っていた女子生徒二人はそんな竜崎の心境も知らず『バイバイ流河君』なんて嬉しそうにしていた。

竜崎がどんな様子であの二人と話していたかなんて知らないは、やっぱり少し複雑そうな顔をしながら

竜崎に引っ張られながらそこを後にした。











































「・・・・。」

さん?」

「・・あ、ゴ、ゴメンね、待たせちゃって・・・」

「いえ、大丈夫ですよ。」

「ありがと。」

「はい。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」











いつもの帰り道を歩いている。

が、さっきからがあまり喋らない。

何か考え事をしているような。

そんなの様子が気になる竜崎はさっきから少し忙しなくの顔をチラチラと見やっている。











「あ、あの、流河君・・・」

「はい、なんですか?」

「えぇと、えぇとですね、」

「なんで敬語なんですか。」

「いや、その、ね。うん。」

さん、変ですよ。」

「へ、変なのはいつものことだよ。」

「そうですね。」

「え!!?」

「嘘ですよ。」

「・・・。」








の反応をクツクツと喉で笑いながら楽しんでいる。

こうやってたまーにからかったりしたりするのが彼は好きらしい。













「それで?」

「あ、えっと、」

「どうしたんですか?」

「さ・・・さっきの、」

「?」

「さっきの子たち、って、流河君の友達・・なのかなー、って、ごめん、それだけ・・・」

「知らない人です。」

「え?」

「全く知りません。というか、興味ないんでもし会ってたとしても分かりません。」

「いや、でもそのわりには楽しそうに話してたじゃない?」

「あれは彼女達が楽しそうにしてただけじゃないですか。私は早くさんと帰りたくて仕方なかったんです。」








大体名前も知らないのに・・、なんてぶつくさ言っている竜崎を見て、はホっとしたような表情になった。

てっきり竜崎もあの子たちと楽しそうにしていたのかと思った、なんて考えていたのだ。











「そ、そっかぁ、そっかぁ。」

「どうしたんですか?いきなりそんなこと。」

「え?!いや、あの別に・・・」

「私が彼女達と仲良くしてるのが嫌だったんですか?」

「うん・・・、あ、いやっ、ちち、違うくて、ち、ちが、」

「・・・・・。」

「・・・・・。」








うわーっ、と両手で自分の顔を隠すようにしているを見て竜崎は口の端をあげて嬉しそうにしていた。

自分があの女子生徒たちと仲良くしているのが嫌だった(実際楽しそうにしていたのは彼女達だけだが)、

すなわちそれは












「ヤキモチ焼いてくれたんですか?」

「!」












図星をつかれた、そんな顔をしながら目を左右に泳がせて困っている。

そんな反応は『はい、そうです』と言っているようなものだ。

そして竜崎は道端にも関わらずたまらなくガバっとに抱きつき始めた。









「ぎゃ!ちょ、ちょっ」

「嬉しいですね。」

「え、いや、ちょ、ここ、みちばた」

「いいじゃないですか幸い私達だけしか歩いてませんよ。短縮授業でよかったですね。この時間帯のこの道はあまり人が通らないようです。」

「そ、そういう問題じゃ」

「ヤキモチ焼いてくれたんですよね?」

「・・・・・。」

「何も言わなければずっとここでこのままですから。」

「えっ。」

「私はオイシイからいいんですけど。」

「ううぅぁ、わか、分かった、分かった!!そうですヤキモチ焼きました!!」









ずっとこのままでいられるのは流石に困る(竜崎ならやりかねない)と思った

もう半分程ヤケになりながらそう告げた。

からその言葉を聞いた竜崎は満足そうに更に腕に力をこめた。










「ちょっ、はな、離して・・」

「嫌です。」

「え、約束がちが」

「いいじゃないですか誰もいないですし。」

「(ゴ、ゴーイングマイウェイ・・・!!!)」

さん可愛いです。」

「いいやそんなことはない。・・・だから、離しておくれ。」

「可愛いから離しません。」








ペシペシと竜崎の背中を軽く叩いて『離してくれ』と訴えるがそんなの気にしない。

もう分かっていることだが彼はわが道を行くタイプそのものなので自分の思うがままだ。










さんもそうやって思ってくれるんですね。」

「な、なにが?」

「ヤキモチとか、するんですね。」

「・・・・うん。」

「(・・・可愛い。)」

「・・・なんか、嫉妬とか嫌じゃない?」

「なんでですか?」

「・・・・束縛してる感じで。」

「・・・それ言ったら私はどうなるんですかね。」

「い、いいの!それは!私がいいんだからいいの!」

「だったら私も同じですよ。」







そう言ってようやく抱擁からを開放した。

もホっとした表情だ。

別に抱きつかれるのが嫌なわけではないのだが、こうして道端などでされるのが困るだけなので嫌がっているだけだ。









「大丈夫ですよ、私は貴女以外興味ありませんから。」











だけど嫉妬されるのは嬉しいです、そう言って歩き出す。

『私も流河君以外、興味ないから』、そう言おうとも思ったが、今ここでそんなこと言えば

またさっきのように道端で抱きつかれかねないので口を伏せておいただ。

























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進級しました。2年生です。
ただイチャイチャしてるだけの話だったな・・・。ぐげぼ
いつも竜崎だkだからヒロインちゃんにもヤキモチ焼いて欲しかった、だけ。