〜前回までのあらすじ〜
の様子がなんだかよそよそしい、類まれなる観察力でのいつもと違う様子を感じ取った竜崎。
もしかして自分は嫌われたんじゃないかと心配になり、彼女にワケを聞いてきてくれとライトに頼んだ。
実は『好きなアーティストが近くの公園に来る』という理由でワクワクそわそわしていたのだが
ヤキモチ焼きの竜崎にそれを伝えたらきっとめんどうくさいことになるであろうと思い、黙っていた。
ライトも竜崎の面倒ごとに巻き込まれるのは嫌だからとのよそよそしい原因である理由を竜崎には言わなかった。
が、竜崎は一度気になったことはとことん調べなければ気がすまないという非常に厄介な性質のため
なんとこともあろうに、自分の恋人を尾行することにしたのだった。
もちろん、ライトを巻き込んで─・・・・
「なに、この無駄なあらすじ。」
「やってみたかったらしいですよ。」
頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。
隣の○○君
「ミサちゃん、教えてくれてホント、ありがとう。」
「ううん、ミサもこの前撮影のときにマネージャーさんから聞いてビックリしちゃったー。前にちゃんの部屋
入ったときにそのアーティストのポスター貼ってあったからさっ。」
「うんっ、もうホント大好きで・・・うわーー、どうしよう、ドキドキするよぅ。」
「よく流河君が何も言わなかったねぇー。」
「・・・ううん、言ってないの。」
「あ〜〜、なるほどーー。そっかそっか、そうだよねー、言ったら厄介なことになりそうだもんねー。」
「『私とどっちが好きなんですか』とか言われそうだし・・・。」
「言いそうー!」
「ね?だから、言わないで来たんだけど・・・・なんか、私の様子が変だー、っては思ってたらしいよ・・。」
「いっつも思うけど、流河君って無駄に勘がいいよねー。」
「(探偵さんだもんね・・・)うん・・。でも『どっちが好きなんですか』なんて聞かれても、困るんだよね・・。」
「え?」
「・・・だって、やっぱり比べ物にならないぐらい流河君の方が好きだから、そんなこと聞かれても・・ね?」
「うわー、それ流河君に言ってあげたほうがいいって。」
「い、嫌だよー、恥ずかしいもん・・・;」
ミサと公園に向かいながらそんな竜崎の噂話をしていた。
そんなことを話されているとも知らない竜崎はだいぶ離れたところからを尾行していた。
「何話してるのか全然分かりませんね・・・もう少し近づいて」
「オイィィ!!!おまっ、ホントもうやめて!!頼むから!!」
「なんでですか・・。」
「僕の身にもなってくれよ!ただでさえこうやって尾行してるのもどうかと思うのにこれ以上近づくとかやめてくれない!?
ていうかもう帰ろう、そうだ、帰ろう、流河。それがいい。」
「ここまで来て何言ってるんですか。」
「別にいいじゃないか、もう。ミサと遊ぶんだろ、どうせ・・・。」
「だったらなんで内緒にするんですか。」
「別にだって内緒にしてたわけじゃないと思うし、そんないちいちお前に何処に行くとか報告しなきゃいけないなんて嫌すぎるだろ。」
「だって気になるんですから仕方ないでしょう。」
子どもの言い訳みたいなことを当たり前のように言ってのける竜崎。
もうライトはため息しか出なかった。
「ていうか流河、のことそんなに信用してないのかよ。」
「いえ、信用してますよ。」
「だったら」
「だけど気になるんです。なんですかライト君さっきから。・・・・本当はなにか知ってるんじゃないですか。」
「・・いや、そうじゃなくて、」
「あ、知ってるんですね、知ってるんですね?」
「だからなんでそうなるんだよ!;」
「だって今一瞬『え』って顔しましたよ。なんですか?知ってるんですね?言ってください。」
「だから知らないって。」
「知ってますよ。」
「知らない。」
「知ってます。」
「しーらーなーい、って言ってるだ・ろ!!」
「知・っ・て・ま・す、と、顔に書いてあります。」
ライトの胸倉を掴みガクガクと彼を揺らしながら問い詰めようとしている竜崎。
なんだからライトがとても可哀想だがそんなこと竜崎には知ったことはない。
『ぐぇぇ』と声をあげながらライトも負けじと竜崎の頬をつねっている。
「痛いですよライト君!離してください。」
「お前こそやめろ、きも、気持ち悪くなる。」
「ほっぺがのびきってしまいます離して下さい。」
「伸びるないだろ、ていうか僕のほうこそ服が伸びるから離せよ!;」
「じゃあ知ってることを今洗いざらいに話しなさい。」
「だから知らないって!」
ぎゃあぎゃあと無意識に騒ぎ立てるように小学校の子どものようなやり取りをするライトと竜崎。
幸い、ここは人通りが少なく見られていることはなかったのだが、人通りが少ないことにより声が通りやすかった。
そう、気づかないはずが無かった。
「ライトォ!?どうしたのーっ、こんなところで・・・」
「流河君も・・・。」
前方を歩いていたとミサに気づかれてしまった。
ミサが『ライトの声がする』と、気づいたのだが。
とミサに不思議そうな顔をしながら見られてハッとする竜崎とライトはなんとも言えない表情になった。
「さん・・・とミサさん。」
「なんでミサだけ付け足した感じなのよー。」
「二人とも・・・何してるの?;」
「組み体操の練習です。そうですよね、ライト君。」
「あぁ、うん、そうそう、・・・・て、バカ!!」
「いいツッコミですね。」
感心してる場合じゃないだろうに。
尾行してたくせに見つかってしまったんだから。
困ったような表情でがそう聞くとライトはバツの悪そうな顔をしてに『ゴメン』と、アイコンタクトをした。
ライトを見て『あーー、気づかれちゃってたわけか。』と納得した。
「さんとミサさんも何処に行くんですか?どす恋興奮ペット祭ですか?」
「え!?なにそれ!?;」
「じゃあ何処に行くんですか?」
「(あ、シカトしたね、この人。)」
さっきまでライトと取っ組み合っていたのもパっとやめ、何事もなかったかのようにそう聞いた。
しかも『どす恋興奮ペット祭』なんてワケの分からないことまで言っている。
「流河君は何処行こうとしてたの?」
「さんがいつもと違う方向に帰ろうとしていたので気になって私もこっちに来ました。」
あえてわざとこう聞いたのに、なんてあっさりと暴露するんだろうか。
もっとこう、言い訳でもするのかと思っていたは少しばかり驚いていた。
あぁ、そうだ、この人はこういう人だった、と思いながら。
「私用事あるから、って言ったよね?」
「言いました。だけど気になったんです、だからつけてきました。」
ついには当たり前のように『つけてきました』と言い出した。
ライトもビックリしている。
尾行してた意味がないじゃないか、振り回された僕の身にもなってくれ、そんな顔をしている。
一方は困ったような表情でまた口を開いた。
「用事がある、ってだけじゃダメだった?」
「ダメじゃないですよ。だけどなんの用事か気になるじゃないですか。」
「全部流河君に言わなきゃダメなの?」
「できるだけ言ってもらえるといいんですけどね。」
「信用してないってこと?」
「してますよ。」
「じゃあだったら」
「だけど気になるんです。」
拉致があかない。
ああ言えばこう言う。
うーん、と困ったような表情でどうしようか、と悩んでいるだったが竜崎の次の言葉には流石のも怒った。
「・・私以外の男性と会っていたりしたら嫌ですし。」
「な・・!!やっぱり信用してないんじゃん!!」
「違います。ただ可能性から見て言ってるだけです。」
「だからそれは私がもしかしたら浮気するかもしれないってことじゃない。」
「99.9%それは有り得ません。が、やはり好きな人の行動が気になるのは仕方のないことじゃないですか。」
「でもそんな言い方ないじゃない。流河君だって浮気するかもしれないでしょう、他の女の子と会うかもしれないでしょう。」
「有り得ません、それこそ有り得ません。」
「それこそ有り得ません・・って、じゃあやっぱり私はあるってこと?」
なんだか凄いことになってきてしまった。
ライトもミサもその場で何も言うこともできないのでどうしていいか分からず顔を見合わせた。
まさかケンカになるとは思わなかった。
この状況だとケンカの原因は99%竜崎にあると思うが、そんなこと言ってもどうしようもない。
「じゃあさん、今から何処に行く気だったんですか。」
「・・駅の近くの公園。」
「駅の公園に行くだけでなんでそわそわしたりするんですか?」
「それは・・」
「言えないじゃないですか。」
「ち、違うくて・・・」
「私に言えないことなんですね。」
「だから違うってば!!」
相変わらず淡々とした口調、表情の竜崎に対しては眉間に皺をよせていつになく怒っている。
竜崎もそれは重々分かっているはずなのに、売り言葉に買い言葉、それの繰り返しでムキになって言い返してしまっている。
「じゃあなんですか?言ってください。」
「なんで言わなきゃいけないの。」
「別に言えないことじゃないんでしょう?だったら言ってくださいよ。」
「・・もういいよ。」
「え?」
「もういい。信用してますよ、とか言ってるけどやっぱり本当は信用なんてしてなかったんじゃない。」
「だからそれは」
「・・流河君のバカ。」
竜崎に一言そう言い、今度はミサに『すごく勝手でゴメンね、ミサちゃん、私帰る。』と謝って帰ってしまった。
しまった、と思う竜崎だったがもう遅い。
彼女を怒らせてしまった。
「あ、さん・・」
「ちょっとー、流河君、ちゃん、あれすごく怒っちゃったよー!」
「があんなに怒るの珍しいしな・・。」
「・・・・分かってますよ、私が悪いことぐらい。」
((・・・珍しく自分の非を認めてる。))
口を尖らせながら反省するが、謝るべき相手が今もうこの場にいないのだからどうもならない。
今まで自分がある程度わがままを言ってもそれに対してが怒ることはなかったが、今回は別だ。
まぁそれもそのはず、あんなにもはっきりと恋人に面と向かって疑いをかけられているようなことを言われれば。
竜崎もそれは分かっている。分かっているのだけど、ついムキになって言い返していたら結果こうなってしまったのだ。
「流河君、ちゃん、本当にやましいことなんかしてないんだよ?それに今回はミサが誘ったんだし・・・」
「・・・分かってます。」
「じゃあなんであんな言い方しちゃったの?『他の男性と会ってたりしたら嫌だ』なんて言われたら怒るに決まってるじゃん。」
「それも分かってます。・・・・やっぱりすごく怒ってますよね・・・。」
「の怒るの、あんまり見たことないし・・・あれはやっぱ怒ってるよ、かなり。」
「ミサだってライトにあんなこと言われたら怒っちゃうよー。あ、でもやっぱライトだったら許してあげるけどー。」
「・・・・・・・・ありがとう・・;」
(や、やっべー!!勢いで帰ってきちゃったけど・・・・どうしよう・・・・;)
一方、そのまま家まで帰ってきてしまったもどうしようかと悩んでいた。
ついその場の勢いで怒ってこうして帰ってきてしまった。
この後どうすればいいのだろうか、なんて考える。
(・・・私もあのときに正直に言えば良かったんだよね、好きなアーティスト見に行くって・・それだったら流河君だってそんな
疑うこともなかったんだし・・・・。流河君の性格なんて今更知ったようなものじゃないんだし・・・
あの場で隠そうとすればするほど疑うに決まってるんだから・・)
(いや、でも流河君のあの言い方もないけどね。・・・・・私そんなに信用ないのかなーーー・・・。)
(多分、流河君もムキになって言い返してただけだと思うけど・・・・も、もし本当に本気で言ってたらどうしよう・・・・。)
(・・・・・・・・で、・・別れましょうとか、そんな話になったら?)
(・・・・・洒落にならない・・・・・)
(そんなの絶対に嫌だ・・・!;)
も今更ながら後悔する。
その場の勢いと感情だけで怒ってこうして帰ってきてしまったが、あそこで自分がちゃんと言っていれば、なんて
思えば思うほど、後悔の念に駆られる。
そのたび『別れましょう』という言葉が頭によぎる。
「わ、別れましょうだけは絶対嫌だ・・・!!」
そうも思っていれば竜崎から電話がかかってきたので思わずビクっとした。
タイミングが良すぎる。
『も、もしもし・・!?さん・・?』
慌てている様子が声からでも分かった。
「りゅ、流河君あの、」
『何も言わないでください。』
「え!?や、ちょっと」
『今もうさんの家に着きますから・・・』
「え?うちに向かってるの?」
竜崎にそう言われ呆気に取られた。
そしてそうも言われているうちに家のインターホンが鳴っている。
もうすぐ側まで来てたのか、そう思い急いでドアを開けた。
「・・・・・。さん・・・怒ってますよね・・?」
「え?・・・いや・・その・・・」
「いえ、私が悪いのは分かってるんです・・・だけどなんか・・・ムキになって言い返してたらあんなことまで言ってしまって、
・・・・・・すいません。」
あっさりと自分の非を認め、こうして謝ってくる竜崎に驚いた。
いや、家にまで来てまさかまたさっきの続きを言われるなんてことは思ってなかったが
こうして素直に謝られるとなんだか調子が狂うものだ。
「・・・・・・・・本気であれ、言ってたの?」
「違います。・・・いえ、半分・・・。」
「・・・・・・・。」
「で、でもあれです、さんのこと本当に信用してるんです。」
「・・・私が流河君以外の男の人と、会うなんて思ってるの?」
「・・・・・思ってません。」
「なに今の間・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
「さんは─・・・」
「・・?」
「さんは、とても素敵な女性だと思います。・・・・なので、すごく不安になります。」
「何を突然・・・」
「さんが好きすぎて、・・・・信用していてもやっぱり不安が募ります。私なんかよりもいい男性はたくさんいます。
だから、不安になります。いっそ、好きにならなければ良かったのに、と思うぐらいに。」
弱々しくそう言う竜崎は、一度、前にも見たことがある。
付き合い始めて間もないときに『自分はLだから貴女を満足にさせてあげることはできないかもしれない』と告げたときと同じように。
「だから・・・その、・・・・・つい。」
「・・・・うん。」
「・・・・その、許してくれませんか?」
「・・・・・許すも何も、・・・私も、ちゃんと何処に行くかとか、言ってあげれば良かったのにね。」
「言って欲しいですが、やはりそこはさんにも都合というものがあります。・・・・それを我侭言ったのは私ですよ?」
「いや、流河君の性格を知ってる上でならちゃんと言わなきゃ、って・・・ね?」
「・・・・よく分かってますね。」
「今更なんだけど、実は今日」
「ミサさんから聞きました。」
「え。聞いたの?」
「はい。」
「多分、さんが好きなアーティストを見て騒いだりしてるのを見たらきっとすごく嫉妬します。」
「・・・・・うん、だと思ったから言わなかったんだけど・・・逆にケンカになっちゃったね。ゴメンね?」
「貴女が謝ることじゃないですよ。・・・・そうやって私のことを考慮してくれていたのも、今は嬉しいです。」
そっとの頬に手を伸ばし、そう言った。
いつも余裕たっぷりなくせにこういうときはそんなことはない、ただの、男の子だな、と改めて思った。
「・・もう怒ってませんか?」
「うん。」
「さんが怒るなんて滅多にないんで・・・本当に焦りました・・。」
「そうは見えなかったけど・・・。」
「本当ですよ・・・あれでも焦ってたんです。・・・・・そのまま『別れよう』なんて言われたらどうしようかと思って
怖くなりました。だから今こうやってすぐ謝りに来たんです。」
「あ、私もそれ考えたんだよ・・別れましょうって言われたらどうしよう、って・・・。」
「言うわけないじゃないですか。」
「私だって言わないよ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
竜崎もも安心したようにため息をついた。
さっきまで言い合ってたくせになんなんだ、とも言いたくなるぐらいの仲直りの早さだ。
「・・・どんなに好きなアーティストとか芸能人がいてもさ、」
「はい?」
「流河君はそれには比べ物にならないぐらい、大好きだから、・・ね?」
「・・・・・はい、ありがとうございます。」
「だからまぁ、今回みたいなことはもうしないでね?」
「・・・・多分しません。」
「多分・・・。」
竜崎の『多分しない』という言葉に苦笑してるの腕をグイっと引っ張り外に出し、
歩き出そうとしていた。
「ちょ、流河君、何処行くの。」
「ワタリにさんの好きなケーキを用意してもらいました。・・・一緒に食べませんか?」
あぁ、もう本当にこの人にはかなわない。
そう思いながら、竜崎と一緒にケーキを食べた。
*****
・・・書き直したい。
どす恋興奮ペットまつりはジャガーさんネタ。