「おはよう、流河君・・・流河、くん・・・?」
朝起きたら、隣で寝てた彼が大変なことになっていた
頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。
隣の○○君
「おはようございます、さん・・・。」
布団から顔を出したのは、ちょうど朝の8時。
隣で珍しくちゃんと寝ていた恋人も、彼女と同時くらいに起きた。
ゴシゴシと目を擦りながら。
だけどどうにも様子がおかしかった。
は目をこれでもか、というぐらいに見開きながらパチパチしていた。
「・・・おは、よう?流河君?」
「・・・なんですか?変ですよさん・・・。」
「いや、だって・・・・。」
いつもスっと差し伸べてくれるのは、大きい手で、抱きしめればを包んでしまう腕。
だけどの隣にいた彼は違った。
幼稚園ほどの年頃の小さな男の子が、目をこすりながらそこにいた。
だけど見た目は竜崎そのまま。
その現状になんとも言えないはただただその『竜崎のような小さな男の子』を見つめていた。
「・・・ちっちゃい・・・。」
「はい?」
「いやいやいや!ちっちゃいでしょ、これは!」
「何を言って・・・あぁ、そういえばさん大きくなりましたね。急成長ですか?」
「違う!違う!流河君が小さいの!」
「私が?・・・あぁ、本当です、服がダボっとしてますね・・・」
「してますね・・って、え、ええええええ??」
「どうしたんですかね、小さくなってしまったようです。」
『竜崎のような小さな男の子』は『竜崎のような』ではなく、竜崎そのものらしい。
だけどその小さな姿に特に驚く様子もなく、至って平然と『小さくなってしまった』で済ませようとしていた。
だけどはそんなことで納得するはずがなく。
「え、ちょ、ほ、本当に流河君??」
「私ですよ。」
「ううう、うわぁぁ・・・ど、どど、どうしよう!」
「慌てても仕方ありませんよ。」
落ち着きながら言う小さい竜崎の声は、やはりその小さい姿にあった子どもの可愛らしい声で。
態度や性格などは普段の竜崎と全く変わらないが、やはり小さいだけに可愛らしい。
「な、なんで小さくなっちゃったんだろうね・・!?」
「さぁ・・分かりません、なんででしょうね。」
「元に戻るかな?」
「こういう場合、大体次の日に起きたら元の姿に戻っていた、というのが定番ですね。」
「・・・そうなんだ。」
「そうじゃないんですか?」
「マンガとかは結構そういうのあるよね。」
「だから平気じゃないですか?」
「・・・あー、うん、そうかもね。」
小さくなってしまった張本人がこんなにも平然としているせいか、も次第に慣れてきた。
落ち着いてきたは改めて小さい竜崎を見てポっと顔を紅く染めた。
「いやぁ・・それにしても可愛いねぇ。」
「はい?」
「すっごい可愛いよぅ!」
「・・・・あまり可愛いと言われても・・・。」
「ちょっとこっちおいで??」
「なんですか?」
「抱っこしたい。」
「・・・別にいいですけど・・・なんか複雑ですね。」
普段私がさんにやってるのに・・・、なんて言いながらヒョコヒョコとの膝に乗っかった。
少し大きなぬいぐるみのような大きさで、はますます竜崎が可愛く思えぎゅうっと抱きしめ嬉しそうにしている。
「うはー!かーーわいい〜っ!!」
「ちょ・・さん・・・」
「うあ、ゴメンね、つい・・・。」
「いえ、悪くないですね、こういうの。小さい特権ですね。」
「あ、小さいから服、どうしようか??」
「あぁ、そうですね・・・・これ大きすぎますね。」
普段竜崎が着ている白いTシャツとジーンズは幼稚園サイズの竜崎には大きすぎだ。
ダボダボどころではない。
「じゃあ、私が買ってくるよ、小さい子サイズの服。」
「え、いや、いいです。」
「でもすっぽんぽんでいるわけにはいかないでしょ?」
「さん、すっぽんぽんとか言わないでください。」
「だから買ってくるよー。」
「普通の買ってきてくださいね。」
「え?」
「着ぐるみみたいのはダメですよ。」
「・・・・・・・うん。」
「・・・そんな残念そうな顔して・・・やっぱり買ってくるつもりだったんですね。」
の意図を読み取ったかのように一応釘を刺しておいたが、やっぱり竜崎の思うとおりだったようだ。
残念そうに、仕方なさそうに財布を持って竜崎に必要な服を買いにと部屋を出ようとすると、
服の袖をクイクイ、っと引っ張られ見てみれば竜崎が上を見上げるようにを見つめながら引き止めていた。
その可愛さに思わずぎゅっとしたくなるのを抑えて、しゃがみこみ竜崎の目線に合わせて用件を聞いた。
「どうしたの?」
「いえ、気をつけて行ってくださいね。」
「大丈夫だよ。」
「変な人に声をかけられてもついていっては駄目ですよ。」
「うん。・・・・なんか、小さい流河君に言われてもあんまり説得力ない感じだねぇ。」
「な・・、私は本当に心配してるんですよ!」
「わ、分かってるよ〜、うん、ゴメンゴメン。」
中身は全く変わらず竜崎なのだが、やはりその小さな容姿でそんなことを言われても可愛いと思うだけで
思わず頭をポムポムと撫でて謝った。
「・・・嫌な気分はしないですが、複雑ですね、やっぱり。」
「いいじゃない、今日は小さい子の気分で暮らしたら。」
いい子で待ってるんだよ、と一言言って部屋を後にした。
部屋に残された竜崎は一人で手持ち無沙汰に部屋を眺め回した。
あぁ、小さいというだけで部屋がこんなに広いのか、とか、いつもは軽々届いてしまう
棚のお菓子も今は一人で取ることも出来なかった。
必死に手を伸ばしても届くはずがない。椅子を使おうかとも思ったが、この部屋にある椅子はソファのような
椅子ばかりなので運ぶには重すぎた。
仕方なさそうにテーブルの上に置いてあったシュガーポットの砂糖を一欠片、ポイっと口の中に入れた。
「・・・全く小さいと不便ですね・・・。そもそもなんで小さくなってしまったんですかね。」
小さくなってしまった不便さを見に感じた竜崎は、ようやく『どうして自分が小さくなってしまったのか』と真剣に考えた。
これではまるっきりコ●ン君状態である。
昨晩までは普通だったのに、朝起きたらこうなっていただなんて未だに信じられない。
あぁ、もしかしたらこれは夢なのかもしれない、なんて竜崎らしくもなく現実無視のようなことまで考え出した。
早くが帰ってこないかと、少し不安にもなった。
小さいからだかなんだか知らないが、少し、寂しい気分にもなった感じだ、
ボーっとそんなことばかり考えていると、30分もしたころ服を買いに行ったがひょっこり戻ってきた。
「ただいまー。」
「お帰りなさい。早かったですね。」
「うん、流河君が寂しいと思って。なんて。」
「はい、寂しかったです。」
「・・・素直。」
「さんに対しては私いつでも素直ですよ。」
「・・あぁ、うん、そう、かも。」
「荷物、おろしたらどうですか?重くないですか?」
荷物を持ったを気遣っていつものようにスっと彼女の荷物に手をかければ、
ズシリといつも感じない重さによろめいた。
「あぁ、ほら、小さいんだからムリしちゃダメだよー。」
「・・・・・。」
「ホラ、貸して?大丈夫だから。」
「嫌です。私が持って、行きます。」
「・・・じゃあ、お願いします。」
意地になっているのか、口を尖らせながら荷物を両手で抱えて持っていこうとしている竜崎が
おかしくて可愛くて、笑いをこらえながらはお願いした。
ソファの上に荷物をドサリと置き、自分もソファの上に座って一息つく竜崎の頭を撫でて袋からゴソゴソと買ってきた物を取り出した。
「はい、ありがとう、流河君。これ、お土産ね。」
服と一緒にお菓子も買ってきたらしく、それで荷物が多かったらしい。
渡されたお菓子を嬉しそうに受け取る竜崎は見た目は本当に小さい子どもで実に可愛らしい。
「あ、ダメだよ、着替えてから食べよう?」
「・・はい。」
「はい、じゃあ、手、バンザーイ。」
「・・・・・は?」
ばんざーい、と手をあげているを見て不思議そうな顔をしている竜崎。
そんな竜崎の手を取って、さっきがやってみたようにバンザイの格好をさせた。
「はい、脱ぐよー。」
「ぬ、脱げますよ・・・。」
「ええ・・やらせてよぅ。」
「はい、じゃあ・・お願いします。」
「見て、これ。買ってきた服。普段流河君が着てる白いTシャツの小さいのがあったんだよー。で、子ども用のジーンズね。」
「いつもの格好ですね、落ち着きます。」
「はい、じゃあズボンもね。」
「さすがにそれは自分で・・・」
「恥ずかしがらないでいいよー。」
小さいからと言っても中身はそのまま竜崎なのでなんとも言えず、竜崎はそれを拒否したが
は小さいんだからいいよ、とばかりに世話を焼きたがった。
嫌なわけではない、寧ろ嬉しいはずなのだけれど、この姿のためか、やっぱり複雑な気持ちになる竜崎だった。
「おー、ピッタリ!」
「あぁ、やっと落ち着いて動けます。」
「かわいいー。」
「(褒め言葉なんですよね・・。)」
「はい、お菓子。」
「あ、これ前も買ってきてくれましたよね。」
「あぁ、コアラのマーチ?」
「はい、これ美味しいです。」
ポリポリとかじっている小さな竜崎を見ては顔が緩む。
一つ、お菓子を手に取って『あーん』と口に入れてあげようとすると口をパカリと大きく開け
嬉しそうに食べている。
喋りさえしなければ本当、その辺にいる子どもと変わらない。
「流河君の子どももきっとこんなんなんだろうなぁー。」
「さん。」
「ん?」
「私はさんに似た子どもが欲しいです。」
「・・・・は?」
「あれ?そういう意味で言ったんじゃないんですか?」
「え・・あ、ちっ、ちが・・・」
しまったー!!、と口に手をガバっとあてながら頬を紅くするを見てニヤっと笑う竜崎。
小さいと言ってもその余裕のあるような笑みは変わらなかった。
「でもこのまま私が小さいままだと子どもうんぬんではなく、私が子どもなのでどうしようもないんですがね・・・。」
「明日の朝になったら戻ってるんじゃないの?」
「そんな確証がないことを信じないでくださいよ。」
「うん、そーだねぇ。・・・戻らなくてもさぁ、」
「はい?」
「戻らなくても───・・・・・」
「・・・っていうね、夢を見たんだよね。」
「・・・・・・・・そうですか。」
「あれ、どうしたの?」
「真剣な顔をして何を話すかと思えば・・・。」
「いや、うん、どうしても伝えたくてさぁ。面白いよね、流河君が小さくなったら。」
「嫌ですよ。で、夢はその中途半端で終わりなんですか?」
「うん。私が覚えてる限りは。」
「まぁあれだけ鮮明に覚えていれば大したものだと思いますけど。」
「小さい流河君、すっごい可愛かったよ。」
「さんに可愛がられるなら本望ですよ。」
『──・・・戻らなくても、小さいままでもずっと大好きだけど』
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夢オチそぉぉい!!!
一度はやってみたかった。