「嫌な時期ですね・・・。」

「なんで?」

「・・・・私はこの時期が嫌いです。」











新学期早々、の隣で竜崎が愚痴り始めた。












































頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。



隣の○○君
























楽しい夏休みも終わり、9月。

新学期だ。

学校に行く途中、竜崎がものすごく嫌そうにため息をつき口を開きそう言った。

一体何があったのか分からないは問い返した。









「なんか嫌なことでもあった?」

「・・・・この時期は行事ごとがたくさんあるので嫌です。代表的に言うなら文化祭と体育祭です。」

「あー、なるほど・・・。流河君、そういうの嫌いだもんね。」

「しかも去年は最悪な文化祭でした。」(2章・7話)

「はは・・。」

「今年はあんな目立つようなことはしないでください、さん。嫌ですよ、私・・・。」

「わ、私だって出来ればやりたくなかったよ。あれは・・・。」

「まぁ、とにかくこの時期は一番嫌いです。」










ブスっとしながら教室へ入っていった。

確かに2学期はどの時期よりもイベントごとが多くなる時期だ。

人との関わりや団体行動などを好まない竜崎にはこの上なく苦痛な時期である。

新学期早々ブルーになっているわけであった。












「あ、おはよー、ライト。」

「おはよう、、流河。」

「・・・おはようございます。」

「・・・なんだよ、新学期早々暗いな。」

「いつものことなので気にしないでください。」

「なにそのネガティブ思考!」

「ライト君には分からないですよ、この苦痛が・・・。私がライト君の苦痛が分からないように。」

「僕の苦痛ってなんだよ。」

頭のこととか髪の毛のこととか頭のこととか

それだけ嫌味を言えるようだったら大丈夫そうだな。言ってること重複してるぞ。








ライトの言うとおり、何食わぬ顔でそんなことが言えるようだったらまだ大丈夫であろう。

とりあえず嫌だという気持ちには変わりはないが。










「流河君、この時期は行事がたくさんあるから嫌いなんだって。」

「あぁ、なるほどね。」

「・・・ライト君はいいですよ、別段そういったものが苦手なわけでもないですしね。」

「別に僕だって好きなわけじゃないんだけど。」

「りゅ、流河君、そんなに落ち込むなよ!大丈夫だよ!なんとかなるって!」

「はい・・・。」










ポンポンと竜崎の背中を叩きながらそう言うに対して腑に落ちないように頷いた。

そうこうしているうちに担任が教室に入ってきたのでライトも自分の席についた。



新学期ならではの担任の言葉で始まりそのあとは体育館に行き、お決まりの始業式と言う名の

校長先生の長話だった。別段どうでもよさそうなことばかりを好調先生が話をして、解散。

そんなところで今日の予定は終わりだった。

しかし帰りのショートホームルームでは竜崎がまた一段とブルーになる話題を担任の口から繰り出された。











「明日のホームルームの時間に軽く体育祭の競技について話し合おうと思う。とりあえず自分がどの

種目に出たいかとか考えておけよー。ジャンケンとかにもなるからなー。」












そう言った。

がチラリと竜崎を見やったとき、眉間に皺を寄せて心底嫌そうな表情をしていた。















「早く帰れるっていいね!」

「・・・・・はい。」

「流河、お前大丈夫か?負のオーラが・・・。」

「大丈夫だったらそんなオーラ出てませんよ。」

「本当に嫌なんだね、イベントごとが・・・。」

「嫌です。嫌で嫌でたまりません・・・。第一、体育祭なんてやる意味が分かりませんよ。

なんで改まって全校そろって体育をしなければいけないんですか。授業に体育があるだけじゃ物足りないんですか。」

「そ、そういう意味じゃないと思うけど・・・。」

「お前とことんネガティブ思考になってるな・・・。」

「ライト君私の代わりに私の分の種目も出てください。」

「なんでだよ!!」

「出たくないからです。」

「すっごい理不尽だな!!」







もう我侭モードの竜崎は手に負えない。

が、が一言こう言えばコロっと態度が変わった。










「あ、ケーキ食べに行こうか?」

「行きます。」

「切り替え早いな、オイ。」

「ライトも行こうよ。」

「え?あぁ、うん。」








(竜崎の)気を取り直して近くのファミレスへと立ち寄った。

相変わらず何種類も頼む竜崎にもうライトも慣れてきているため何も言わなかった。










「やっぱり甘いものを食べるのが一番ですね。嫌なことがあったときも、疲れたときも。」

「甘いのは美味しいしね。ライトはそこまで好んでないよね、確か。」

「あぁ。」

非国民がいますよ、ここに。

「なんで甘いの好まないだけで非国民とか言われるんだよ!」

「そういえばさ、体育祭の種目って何があったっけ?」








竜崎同様、美味しそうにケーキを頬張るがライトにそう聞いた。

竜崎もケーキをモゴモゴさせながら頷いた。










「まぁ大体、徒競走とか大縄とか・・・あと二人三脚もあったっけ。」

さん、まずいですね、今から練習しておきますか?」

「え?」

「おま、何言ってんだよ。」

「二人三脚でしょう?二人で足を結んでゴールを目指すやつですよね?」

「そうだけど・・・お前な、」

「じゃあ、もうそれは私とさんが出るに決まりましたね。こんなところでも二人の愛が再確認させられるんですね。

「気持ち悪いこと言ってるなよ!言っておくけど、男女別だからな。」

「・・・・・なんでですか。」

「なんで、って僕に言われても知らないよ。男女との力の差をなくすためだろ。」

「大丈夫ですよ、私さんに合わせますから。」

「流河君、往生際悪いね。」

さんまで・・・。」








竜崎のと二人三脚計画は一瞬にして潰れた。

心底残念そうな顔をしている竜崎だったが、は至って普通にケーキを頬張りながら

ライトに他の種目を聞いていた。









「ライト、あとは?」

「リレーはもちろんあるし・・・あとなんだろうな、綱引きとか玉入れとか。

あ、そういえば今年からパン食い競争も種目に加わるらしいよ。」

「よーーーし!!!それ私がもらったーーー!!!!」







そこまでやる気があったわけでもないが、急にやる気を出し始めた。

パン食い競争だ。パン食い競争に食らいついた。











「私絶対パン食い競争出たい!」

「食い気ですね、さん。」

「食い気と言えば、今年の優勝商品は焼肉食べ放題の券だとか言ってたな。」

「じゃあ優勝はうちのクラスがもらおうね。」

「決定しちゃったよこの子ったら。」

「決定しちゃってますね。こんなさん初めて見ましたよ。」

「正直図書券とかいらないからこういうのにしてほしかったんだぁ。」

「僕は図書券の方が良かった。」

「うるさいですよ、さんが喜んでるんですからいいでしょう。」

「なにそのエコ贔屓!!」

「私がライト君に贔屓するとでも思いましたか?」

「そんなこと微塵にも思ってないけどなんかお前が言うとすごいムカつくんだよね。











そんな二人を余所には今年の体育祭は頑張ろうね、と張り切った。

正直、竜崎としては張り切りたくないのだが大好きなが嬉しそうなのを見ると

そんなこと言えなくなった。















「・・そういえば私、流河君が運動してるのって見たことないかも。」

「あぁ、そういえば僕も。」

「何言ってるんですか。当たり前じゃないですか、体育出てませんから。」

「「え!?」」

「今更何言ってるんですか。」

「え、だっていつも体育着着替えて・・・」

「着替えた後適当にはけてます。」

「そういえばいつもいなかったな・・・。」

「運動、苦手なの?」

「別に苦手というわけではありませんが・・・。」

「流河にも苦手分野があったんだな。」











勉強面では常に同等の成績のライトと竜崎だったが、まさかの竜崎の運動オンチ疑惑に

ライトは少し満足げにそう言った。

もちろん、その表情を竜崎が見逃すわけもなく、ムッとしながら言った。











「苦手なわけではないと言ったじゃないですか。何処に耳つけてるんですか、ライト君。」

「わ、ムカつく。」

「いいでしょう、そんなに言うなら体育祭に出て私が運動を出来るところを見せてあげますよ。」

「え!?ホントに?」

「はい。なんかライト君に負けるのすごい悔しいです。」

「負けず嫌いだね・・・。」

「流河、別に無理して出なくても」

無理じゃありません。

「対抗心燃やしすぎだぞ流河、冗談も通じないのか。」

「冗談は苦手です。こてんぱんにしてやりますよ。ついでに騎馬戦で貴方のその茶色いヘルメットも取って差し上げましょうか?

「お前の発言はいつも冗談まみれだと思うけどな。」

「ねぇ、流河君、コテンパンにしちゃ駄目だよ、同じクラスだし・・・。」

さんが言うなら・・・。」

「聞き分けいいな。オイ。ついでに種目に騎馬戦ないからな。」

「・・・・・・。」












そんなやり取りをしながらそのまま3人でその場を後にした。

竜崎とが二人になったとき、ふとがポツリと竜崎に質問を漏らした。














「ね、流河君。」

「はい。」

「ホントに大丈夫?」

「何がですか?」

「運動、ホントに苦手だったら」

さんまで!信用してないんですか・・・!!」

「あ、いや、そういうわけじゃなくて・・・。」

「いいですよ・・もう。」

「あぁっ!拗ねないでよ!」

「・・・・・。」

「ねー、ゴメンね?」

「・・・・・。」

「りゅーがくんー・・。」

「・・・・さん可愛いですね、やっぱり。」

「・・・・・・はい?」

「いえ、なんか必死になってる姿が可愛いな、と思いまして・・・。」

「(人のそういう所見て楽しんでたんだ・・・!)」








竜崎のこの性格は今に始まったことではないが、またもしてやられた

悔しそうにため息をついた。

のそういった表情を眺めて面白そうにしている竜崎に気づいた

軽く竜崎の背中をパシっと叩いた。









「痛いですよ。」

「流河君が悪いんだ、人のこと見ていっつも楽しんで。」

さんが可愛いからいけないんですよ。」

「理由になってませんー。」

さんが私のこと運動オンチみたいに言うからですよ。」

「だって流河君が運動してるの見たことないし・・・それに・・」

「それに、なんですか?」

「なんか・・・あんまり運動してる姿が想像できないっていうか・・・。」

「まぁ、インドア派なんで。」

「自分で言っちゃったよ。」

「じゃあ、体育祭でさんにカッコイイところを見せてあげましょう。」










口の端をあげて、そう言った。

いつもパソコンや資料と向き合って仕事をしている彼の運動している姿なんて想像することもなかった

だったが、竜崎のその自信ありげの表情を見て早くもドキリとしてしまった。











「楽しみにしてるね。」

「はい。」








とりあえず、今年の行事は少しだけやる気が出た竜崎だった。











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あたしもイベントごと好きじゃないです。にこり