ある日の突然のことだった。
「竜崎、いいですか?」
「なんだ、ワタリ。」
「大事なお話が・・・」
─・・・自分の耳を疑いたくなった。
頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。
隣の○○君
「寒くなってきたねー。冬だねー。」
白い息が出るには少し早い、だけど風が冷たく少し身震いする気温だった。
いつものように、二人で学校から帰宅している途中であった。
「この時期になるとコンビニであんまんとか出て来るからいいよね。あ、なんか食べたくなってきちゃった。」
「コンビニ、行きますか?」
「行く!」
にっこりと笑ってそう返事するを見て、竜崎も目を細めた。
コンビニでは竜崎もたくさんのお菓子を買い上げ、満足そうにしていた。
「これ新商品だね。」
「はい。」
「意外と新し物好きなんだね。」
「好きですよ。」
あんまんを口に頬張りながら、竜崎の買った大量のお菓子を見てそう言った。
どうやら彼はこの季節の限定の新商品のお菓子を買ったようだ。
口に頬張ったあんまんが思った以上に熱かったのか、時折の表情が歪んだり、顔にかかってくる湯気に芽を瞑ったりしていた。
「流河君も食べる?美味しいよ。」
「いいですか?」
「どうぞ。」
はい、と差し出したあんまんになんのためらいもなく口にした竜崎もまた、熱さで少し眉間に皺を寄せた。
舌を少し出し、なんとも言えない顔で口を開いた。
「熱いです・・・。」
「ね、思った以上に熱かったよ。」
「舌がヒリヒリします。」
「やけどしちゃった?大丈夫?あ、私水持ってるよ。飲む?」
「大丈夫です、ありがとうございます。」
そう言ったあと、竜崎はふと、をじっと見つめた。
竜崎がこうして無言で人をじぃっと見つめたりすることはさして珍しいことではなかったので
はなんの気にも留めなかった。
やんわりと笑って、竜崎にどうしたのかと尋ねた。
「どうしたの?なんかついてる?あ、あんこついてた?」
「あ、・・いえ・・・。」
「流河君って急に人の顔じっと見るときあるよね。最初はびっくりしたけど慣れちゃった。」
「さん・・」
「ん?」
「さんは、私のことが好きですか?」
「・・・え?えええ?」
突然の質問には目を丸くした。
いきなりじっと見つめられることは慣れたが、こうした唐突な質問は未だに慣れない。
質問が質問なだけに、少し顔を赤くしてはしどろもどろした。
竜崎は顔色一つ変えずに、の返答をじっと待っていた。
「な、ど、どうしたの、急に・・・」
「好きですか?」
「う・・・す、好きだよ?うん・・・。大好きだよ。」
「そうですか、・・良かったです。」
「・・・変だね、どうしたの?なんかあった?」
「いえ、なにもないです。ただ・・・」
「ただ?」
「・・・さんが慌てて恥ずかしがる姿を見たくなりました。」
「なっ・・・!!」
「あぁ、その反応が可愛いんですよ。」
「ひ、人で遊んでるねっ・・・。」
「遊んでるなんてとんでもないですよ。可愛がっているんです。愛情表現です。」
「じゃあさ!逆に聞くけど、流河君、私のこと好き?」
「大好きです。言葉でしか言いあらわせないのが悔しいぐらい、大好きですよ。」
「・・・・・。」
「なに赤くなってるんですか、自分から聞いといて・・・・。」
そうだった、竜崎はなんのためらいもなくこう答える人間だった、
答えを聞いた後、はそう思った。
竜崎の返答に思わず頬を赤くした。
この数分で何回頬を熱くしたことか、そう思った。
それも全部竜崎のせいだ、と。
「本当、飽きないですね、さんといると。」
「・・・流河君もね。」
「ねぇ、さん。」
「なに?」
「この世の中に『絶対』なんてことはありません。」
「・・・うん?」
「でも、私はさんのこと、絶対に、ずっと大好きだって言えますよ。」
「・・・・嬉しいな。」
「それだけです。」
そう言ったあと、またの手を握りなおして歩き始めた。
も、それに合わせて歩き出した。
「─・・・・さん・・・」
「どうしたの?」
「・・・・、」
「?」
「─・・・・いえ、なんでもないです。」
「えー?」
「寒いですね、早く帰って暖まりたいです。」
「そうだねー。」
「ワタリに温かいココアでも入れてもらいましょう。」
「わー、楽しみ。」
帰ったらココアがより美味しくなるだろう、そんな季節の変わり目の冷たい風が吹いた。
そして竜崎の中でも、なにかが変わっていた。
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いつもより短めです。
なんか、気になる終わり方しちゃった。どうしよう(えええ)