体育祭も終わって、文化祭も終わって。
嫌ーな、期末テストも終わった。
もうすぐ冬休みだってことに気分は嬉しくなった。
頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。
隣の○○君
「テストも終わったし、なんかホッとしたねー。」
「そうですね。」
「ライトはテストどうだった?なんて、聞くまでもないか。」
「なんだよ、それ。」
「だってライト頭いいもん。」
「さん、私も好調でしたよ。」
「うん、それも知ってる。」
「竜崎とこの前も同点だったよな・・・。」
「仕方ないでしょう、全部満点だったんですから。」
「・・・・なんか80点とかで喜んでる私がすごいバカみたいな会話だなぁ。」
「いいじゃないですか、数学なんて快挙でしたよ、さん。まさかさんが数学で60点も取るとは思いませんでした。」
「・・・・・褒められてるのか馬鹿にされてるのか分からないんだけど・・・。」
「僕もそう思ったよ。」
「からかうことはあっても私がさんのことを馬鹿にするわけがないじゃないですか、心外です。」
「・・・・。」
今回は赤点をまぬがれた。
数学が苦手なはテスト期間中に数学をみっちりと勉強した。
もちろん、いつものように竜崎が教えてくれたのだが。
そして学校が終わるといつもは竜崎と一緒にそのまま竜崎の家へと行くだったが、今日は用事があるから、と告げた。
残念そうな顔で『そうですか・・・』と言うとじゃあ家まで送る、ということになった。
もちろん、ライトと近所の彼女の家だ、ライトも一緒に帰ることになった。
「ありがと、流河君、送ってくれて。」
「いえ、いいんです。(ライト君と二人で帰ってもらうなんて嫌ですし。)」
「お前が考えてること、僕なんとなく分かるんだけど・・・。」
「気のせいですよ。」
「そういうことにしておくよ。」
「じゃあさん、また明日、学校で。ライト君も。」
「うん、バイバイ。」
達と別れた後、竜崎もすぐに帰りいつものように仕事に取り掛かった。
紅茶を運んできたワタリが、ふと竜崎に目をやり、どこか聞きにくそうな、そんな口調で竜崎に尋ねた。
「─・・・竜崎。」
「なんだ、ワタリ。」
「・・・例のことは、さんにはお伝えになられたんですか?」
「・・・・・言っていない。」
「そうですか─・・・。」
「・・・いずれ、言います。─・・・ワタリ・・。」
「はい、なんでしょう。」
「・・・・どうしても、か?」
「・・・・竜崎、気持ちは分かりますが─・・・」
「・・・分かっている。忘れてくれ。」
「はい─・・・。」
何を意とする会話なのかは分からないが、竜崎は伏し目がちにワタリと会話をしていた。
ワタリも気を使うように、いつも以上に優しい口調、対応だった。
そんな会話の後、何事もなかったかのように竜崎はまたパソコンの画面を見ながら手早くキーボードを打っていた。
竜崎のその様子を不思議そうに眺めていた子猫のエルはそっと、ソファにピョンと飛び乗り竜崎の足元に頬を摺り寄せた。
「どうしたんですか?エル。」
「にゃぁ・・・。」
「今日はさんは来ませんよ。」
「?」
「用事があるみたいですよ。」
「にゃぁ。」
「寂しいですか?」
「にぃ・・」
「そうですね。私もです。─・・・・出来るだけ一緒にいたいですよね。」
「・・・にゃぁ・・?」
「ワタリがミルクを用意してくれたでしょう?私はまだやらなくてはいけないことがあるので・・・また後でです。」
エルの頭をポムポムと撫でてやりミルクを指差した。
竜崎に頭を撫でられ気持ちよさそうに目を伏せ、ミルクを口にし始めた。
「あ!卵がない!」
冷蔵庫を開け、そう言ったのはだ。
何かを作ろうとしたのだろうが、使おうと思っていた卵がきれていたようだ。
「あぁ、そうだ、この前お菓子作ったときに使っちゃったんだっけなぁ・・・。買いにいかなきゃなぁ。」
ぶつぶつとそう言いながら、コートとマフラーに手をかけた。
身支度を済ませ、外に出れば冬の冷たい風に少し身震いした。
卵だけを買おうと来たはずなのにカゴの中には卵の他に色々と入っていた。
が好きそうなお菓子の他、きっと竜崎に作ってあげるのだろうお菓子の材料。
会計を済ませたは『余計なもの結構買っちゃったなぁ。』など思いながら買ったものを袋に詰めていた。
(そういえばなんか、この前流河君、変だったなぁ・・・。)
スーパーから家へと帰っている途中、ふと、思った。
先日の竜崎の態度にほんの少しだけ疑問を感じていた。
煮え切らないような、そんな態度の竜崎は少し珍しい。
いつもなら言いたいことは言う彼がこの間は何故あんなに言葉を詰まらせるような態度。
まぁ、そんなこともあるか、と、そう深くは考えなかった。
そうも考えていると、前方に見慣れた姿を見つけ、は小走りでその後姿に近づいた。
「ライト!」
「あぁ、。買い物?」
「うん、卵買いに。」
「そのわりには荷物多いね。」
「お菓子とか買っちゃったよ。」
「はは、らしいね。持とうか?」
「え、いいよいいよ!」
「ほら。」
そう言ってが持っていた荷物をひょいっと持ち上げた。
「あ、ありがとう。ライトは?何処行ってたの?」
「僕は本屋。」
「ライトっぽいね。」
「そう?」
「うん。ライトって昔から本とか好きだもんね。」
「暇つぶしになるしね。落ち着くし。」
「なんかこうやってライトと二人で帰ってると、小学校とかのときとか思い出すね。」
「はは、そうだね。変わってないよなぁ。」
「風景が?」
「それもそうだけど、も。」
「ライトも変わってないよ。あ、でもツッコミは高校に入って開花したね。」
「あんまり嬉しくないんだけど・・・。」
「でもライトと流河君、本当漫才コンビみたいで」
「絶対嫌だから。」
「まだなにも言ってないよ・・・。」
の言おうとすることなんて大体分かる、ライトはそう言った。
そういえばライトと二人で話をするのは久々のような気がする。
いつもは竜崎と3人かミサもいる。
3人しろ4人にしろ、楽しいからいいのだけどこうして二人で話しているとやはり昔の話に花が咲き、
これはこれで皆といるときとはまた違って楽しい、そう思った。
そんな他愛もない話をしている間に家へと着いてしまう。
「ライト、荷物ありがとう。」
「ん。母さんがたまにはご飯食べに来いってさ。」
「行く行く。粧裕ちゃんにも会いたいし。」
「はは。じゃあ、戸締りとか気をつけて。」
「ライト、お母さんみたい。」
「うるさいな。」
「じゃあまた明日ね。」
「ん、じゃあね。」
互いに手を振って別れを告げた。
ライトと別れた後、タイミングを見計らったかのように竜崎からメールが来た。
『さんの作ったお菓子食べたいです。』
メールの文面にそう書かれていた。
今では当たり前になっているこのメールのやりとり。
なんて彼らしいメールなんだろうか、思わず笑みがこぼれた。
「お菓子の材料、買ってきて良かったなぁ。」
そう呟いて、もメールの返信をした。
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びみょう。(オイ)