突然のその一言にどうやってその言葉の意味を理解すべくか、戸惑った。
頭脳は大人、中身は子ども。それでも彼は世界の切り札。
隣の○○君
「会えなく、なる?」
「・・・はい。」
「ま、また大げさに・・・前だって会えなくなるって言って一週間くらい学校休んで」
「いえ、この間の件とは全く変わります。」
「じゃ、じゃあ会えなくなるって、漠然と言われても・・どのくらいとか・・」
「分かりません。」
「え?」
『しばらく会えなくなります。』
竜崎の突然の一言にはただ驚くしかなかった。
きっとまた以前のように大げさに言っているのだろう、そう思ったが、竜崎の口からはそれとは他の言葉が出てきた。
「どうしても日本を離れなければいけなくなりました。事件がいつ解決するかも分かりません。」
「どこに」
「イギリスに行きます。」
「・・・・で、でも、1ヶ月とかで、帰ってくる・・よね?」
「いえ。さっきも言ったように、いつになるか分かりません。1年・・・いえ、それ以上かもしれません。
・・・もしかした帰って来れない、なんてことも考えにおいておいたほうがいいでしょうね。」
「なっ・・・そ、そんな急にっ」
「急では、ありません。少し前から、このことは決まっていました。」
「・・・・!!」
急すぎる竜崎の発言に戸惑う。
しかし竜崎は淡々と少し前から決まっていたことだと告げた。
そんなこと突然言われてもどうしていいか分からない、は何を言っていいのか分からず言葉を失った。
「すみません、突然・・・。」
「と、突然すぎでしょ・・?あ、会えなくなるとか、いつ帰ってくるか分からないとか・・・そんな漠然と言われても・・・
私、どうしたらいいか分かんない・・・。」
「すみません、・・・でももう決まったことなんです。分かってください。」
「そ、そんな急に言われても、分かってくださいなんて・・・無理・・。」
「さん・・・」
「だって!!だ、だって・・・前みたく、大げさに言ってるわけじゃなくて、本当に会えなくなるんでしょ?
いつ帰ってくるか分からないんでしょ?・・・・どうしたらいいか分かんない・・・。」
「さん、」
「私は、好きな人が遠くに行って、いつ会えるか分からないいつ帰ってくるか分からない、帰ってこれるかも分からない、
それで、『はい、そうですか』って、聞き分けのいい子じゃないよ・・・。」
「・・・・。」
あまりに突然のことにはどうしていいか分からずいつになく駄々をこねるように竜崎にそう言った。
もちろん、どうしていいか分からないがために気持ちの整理が出来ない故の言葉。
普段竜崎が何を言っても駄々をこねたり、我侭を言ったりするようなそんなことが全くない。
竜崎もそれを分かっているからこそ、どう声をかけるべきか分からなくなった。
「じゃあ─・・・どうすればいいですか?」
「・・・どうすれば、って・・、私だって、聞きたいよ・・。」
「・・・・さん、私は、Lです。」
「・・・・分かってる。」
「それを言い訳にするつもりはありませんが、それ故に普通の民間の方とは異なった生活を送ることが多いです。
そう、今回のようなことだって、珍しいことではありません。よくあることです。」
「・・・・・・。」
「それを、分かっていただきたい。」
「・・・、分かってる、けど、分かってるけど・・!!」
「もし、それが無理であるなら、」
「・・・?」
少しの間をおいて、竜崎は言葉を発した。
「─・・・別れましょう。」
突然すぎる状況と、突然すぎるその言葉。
の頬に、一筋、冷たいものが伝った。
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一番聞きたくなかった言葉。