「好きです。良かったら付き合ってくれませんか?」
side Childhood friend
隣の○○君
中学に入ってから何度目かの告白をされた。
相手は隣のクラスの子だった。
でも、申し訳ないけど僕には好きな子がいたから。
ありきたりな言葉、『ごめんね。気持ちはすごく嬉しいんだけど、今はそういうことにあまり興味がないんだ。』そう言った。
「ふーん。また断ったんだぁ。」
「なにその言い方。」
「だって、ライトモテるのにもったいない。」
「あのね、こんなこと言いたくないけど、自分が好意を持ってない人とは付き合えないよ、少なくとも僕はね。」
「んー、まぁ、それはすごく分かる。」
宿題を教えてくれと僕の家へと押しかけてきたとの会話。
教えてくれと言った宿題は数学。
は昔から理数系が苦手だった。小学生のときも算数がめっきり苦手でよく宿題を教えていた。
手に持ったペンを回しながら、はつまらなそうにノートを眺めていたかと思えばこの話。
「確かに自分の好きな人と付き合えるのが、一番理想だよね。」
「まぁ、ね。それは誰でも一緒なんじゃない?」
「でもさー、ライト、全部断ってるよね。」
「だから何度も言うけど、」
「分かってるって。ライトのそういう硬派なとこもまたモテるんだよね。」
「・・・・。ほら、そんなことより問題解けたの?」
「・・・・・。」
なんていうか複雑な気分でもある。
自分が好意を持っている人間とこんな話をするなんて。
しかも相手はそのことに微塵にも気づきもしない。
僕もそんなことを微塵にも感じさせないようにはしているけれど。
僕の気持ちをが知ってしまったときに今までの関係が壊れるのが一番怖かったから、知られたくなかった。
出来れば今のこの仲のいい関係を崩したくはなかったから。
「はどうなの?」
「えー?私はいいよ。」
「いいよって・・・」
「ライトと同じ。好きな人できるまで待つんだ。」
「ふーん。そういえばが好きな人いるとか、聞いたことないよね。」
「だっていないもん。」
「さっき僕のこと散々言ってたけど、だって告白されたことくらいはあるんでしょ?」
「でもライトみたいにいっぱいはないよ。」
「1回でもあるんだったらいいじゃないか。」
「だって全然知らない人だったんだよ。」
「僕だってそうだよ。」
「嘘だ。だって同じクラスの子にもされたの知ってるよ。」
「誰から聞いたんだよ・・・。」
「聞いたんじゃなくて噂。」
「女子の噂って怖いな。」
軽く笑ってそう言ってみると、は『モテる男の子も色々大変そうだけどねー』と茶化すように笑っていた。
自分がのことを好きだなんて、言えるはずもない。
だって彼女は自分のことをただの仲のいい幼馴染としてしか見ていないんだから。
でもそれでいい。
“仲のいい幼馴染”でいられるなら、これからもずっとと仲良くやっていけるから。
そう、言わなくていい。気づかれないように。
「ライトが好きな子できたらさ、教えてね!」
「嫌だよ。」
「即答?」
「いいから、ほら。宿題終わんなくなるぞ。」
「ああああ、そうだった・・・。」
そう、この関係でいい。
たとえ、もしに好きなやつが出来たとしても、黙っていればいい。
黙って、応援してやればいい。
そうすれば、ずっとこのままでいられる。
きっとこのとき、自分はこの関係を守るためだけに一生懸命で必死だったんだと思う。
「ライトが好きな子できたらさ、応援するよ。って言ってもなにかできるわけでもないんだけどさ。」
「はは、なんだそれ。」
「頭いいしスポーツできるしカッコイイし、ライトならすぐ彼女できちゃいそう。」
「そうだといいけどね。」
「でもライトに彼女できたら寂しいなー。こうやって宿題教えてもらいに来れなくなりそう。」
「そのためだけに来てるのかよ、お前。」
「宿題のためだけじゃないけどー!」
「分かってるよ。」
こんなやり取りだけでも、楽しくて幸せだった。
これが続けばいい、本当にそう思ってた。
こうして馬鹿みたいな話したり、宿題教えたり、他愛もない話で盛り上がったり。
彼女の笑顔がそこにあればいい、そんな甘いことを考えていた。
たとえが自分を幼馴染以上に見ていなくても、彼女とのこういう時間が少しでもあることが嬉しかったから。
「ライト、宿題教えてくれてありがとうね!」
彼女のこんな些細な一言が嬉しいから、この関係を守りたかったんだと思う。
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