不器用でも
それだって一つの形で
想いに偽りはありません
隣の○○君
「ざ・・・いぐじすてんす・・・おぶ、ゆー、いず、びっぐ、いん、みー・・・。・・・・なんのこっちゃ。」
流河から渡された【宿題】。
英文が書かれた紙きれを見つめながらゆっくりとたどたどしくその文を読み上げるが、一文読み終えると
『なんだこれは。地球上の言葉ではないな。』とでも言いたげな顔をしながらその紙を机の上に置いた。
「訳かぁ・・・。・・・なんでこんなに難しい英文を・・・。流河君て、実は頭いいんだぁー・・。」
英文の書かれた紙をまた手に取り、流河のことを考える。
そういえば・・
流河君、・・・好きな人、いるって言ってた。
・・・誰だろう
うちの学校かなぁ・・・・
でも流河君学校あんまり来てなかったから・・・幼馴染、とか?
・・・・・気になってしょうがないよ・・・・。
なんか、もう・・・・私、流河君のことしか、考えられてないじゃん・・。
好き。
・・・・流河君のこと、すごく、好き、なのかも。
・・・かも、じゃなくて・・・好き。
あー・・・もー・・なんか、・・・・・苦しい。
ベッドに寝転がりながら、一つため息をつき枕に顔を埋めると、丁度枕元に置いてあったマナーモードにしたままの携帯がブルブルと
ベッドの上で振動しながら自分の存在をアピールしていた。
「メール・・じゃない、電話だ。」
電話だということを確認し、ディスプレイを見ると、そこには仲良し幼馴染の名前が一つ
着信 ライト
「もしもしー??ライト、どしたの??」
『ゴメン、いきなり電話して。大丈夫だった?』
「うん、ゴロゴロしてた。」
『オイオイ・・。・・あれ、流河と勉強してたんじゃないんだ?』
「ん?あぁ、流河君には明日から教えてもらうんだ。今日はライトに教えてもらったしね。」
『そっか。』
「で?どうしたの?ライトがなんの用もなく電話してくるなんて、ないでしょ。なんかあった?」
『ん・・別に、用はなかったんだけど、』
「珍しいね、ライトが」
『なんか、の声聞きたくなってさ。』
「さっき会ったのに?ふふ、変なのライト。」
『はは、そうだね。・・・焦ってるのかもしれない。』
「何に?テスト?ライトなら全然余裕・・」
『気持ちの、取り合いに。』
「何の話?」
『ゴメン、忘れていいよ。変なこと言ったね。』
「?うん。」
『いきなり電話して悪かったね。』
「いいよ、全然。」
『じゃあ、また明日な。』
「うん、また明日、学校で。」
『・・あ、』
「ん?」
『・・・明日、朝一緒に学校行かないか?』
「うん、いいよ。急にどうしたの?」
『なんとなく。』
「そう??」
『あぁ。じゃあ、また明日。』
「うん、バイバイ。」
『ばいばい。』
プツリと切れる電話の音を確認すると、携帯を充電器に乗せた。
ベッドの上でゴロゴロしていると、次第に瞼が重くなりそのままスっと眠りについてしまった。
「ワタリ、今日は普通の時間帯に学校へ。」
「はい。・・・最近、楽しそうですね?」
「・・そう・・ですかね。」
「はい、とても。」
「・・そうか。」
だとしたら、それは・・・きっと彼女のせいだと思う。
いや、彼女の『おかげ』。
さんに会ってから、毎日楽しい気持ちでいられる。
充実、していると思える。
逆に─・・・彼女に会えなければ楽しいとも思えないし、充実しているとも思えない。
いつものようにその立派なリムジンに乗り、学校へと向かう流河。
口に飴玉を含ませながら窓の外をジィっと見つめている。
ふと、そのとき流河は妙な、いや、見たくもない光景が目に止まった。
(・・・あれ、は・・)
「勉強した?」
「少しね。は?」
「・・・して、ない。」
「やっぱり。」
「やっぱりって・・。だって寝ちゃったんだよー。ライトと電話した後スグに。」
「はは、らしいね。」
「ライトも、ライトらしいね。ちゃんと勉強してるんだもん。」
楽しそうに登校しているとライトの姿を偶然にも目にしてしまった流河は、なんとも言えない気持ちになった。
イライラしたような、寂しいような、とにかく、嫌な気持ちでいっぱいだった。
(・・・家が近いから・・・か?・・・何を焦ってるんだ、私は。・・・分かってる。・・分かってるけど・・・・
あの2人が仲良くしているところを見るのは、・・・嫌だ)
「なぁ、。」
「ん?なぁに?」
「は・・・好きなヤツとか、いるのか?」
「えっ、好きな人!?」
「なんでそんなに驚くんだよ;」
「あ、や、別に・・・」
そうだよね、聞かれただけだもん。
なんか、バレちゃってたらどうしよう、とか、考えちゃう。
だってライトがそんなこと聞いてくるなんて珍しいし・・・なんか、感づいてたりするのかなぁ・・・
私が、流河君のこと、好きだって・・・
「あー・・・う、うん・・・いる、かな・・」
「(!!)そ、そうなんだ。」
「ラ、ライトはっ?」
「え、僕?・・僕は、・・・いるよ。」
「え!!嘘!!」
「こんなことで嘘ついてどうするんだよ。」
「だってそんなの聞いてないよー。水臭いね、幼馴染だっていうのに。」
「(お前だお前・・・;)はは。・・・だって、水臭いんじゃないか?」
「え、だって、私は・・・その、最近、だし・・」
「(最近・・・?)へぇ。うちの学校?」
「・・う、うん・・。」
「そ、っか・・。」
「・・?」
からその言葉を聞き、ライトは内心物凄くショックを受けていたが表情には出さない。
落ち込んだ顔をすればが心配するし、自分がのこと好きだってこともバレるかもしれない。
そしての『最近出来た』という言葉に、一つだけ思い当たりが頭に浮かんだ。
それは今、一番浮かばせたくない人物だった。
流河・・・・・か?
最近、・・・仲いいし・・・そうだ、流河が学校に来始めたのも最近・・・・
流河なのか・・?
だとしたら・・・二人は─・・・
いや、そうだとしても、僕がを好きだって気持ちはそう簡単にあきらめられない。
小さい頃から、ずっと好きで・・・ずっと、想いを隠してきたんだ。
『仲のいい幼馴染』であるために
この関係を崩さないために
と、一緒にいたいから
ずっと、好きだったんだ・・・・なのに、・・・・いや、余計な事を考えるのはよそう・・・
今は、に少しでも振り向いてもらえるように・・・
学校へ着くと、いつもなら絶対によりも先に来ていない流河がもう既に自分の席へと文庫本を片手に座っていた。
もちろん、いつものあの座り方で。
教室に入り、そんな流河を見たは早速流河に挨拶をかわす。
隣ではライトがとても複雑そうな顔をしながら。
「おはよ、流河君。」
「おはようございます。」
「早いね、今日は。」
「はい。たまたま。」
「珍しいねー。」
そう言いながらも自分の席へと座り、机の中に今日の必要な分の教科書をガタガタと詰めた。
ライトも、少し離れた席でと同じことをしていた。
流河とのことを気にしながら。
「さん、」
「ん?」
「今日は、・・その・・放課後、でいいでしょうか?・・勉強・・」
「うんっ、私はいつでも。流河君の都合に合わせるし。教えてもらうんだしね。」
「では、・・あぁ、じゃあ放課後、この間のお店に行きませんか?あそこならうるさくないですし、ゆっくりと出来ます。」
「うん、じゃあそうしよう。宜しくおねがいします。」
悪戯っぽくニコリと笑い、改めて流河にそう言うに、流河も合わせて『こちらこそ。』と交わす。
そんなやり取りにさえも、流河は喜びを感じた。
「ー。」
「ん?なぁに?」
「一緒に帰ろっ。」
「あ、ゴメン、今日は用事があるから・・先に帰ってていいよ。ゴメンね、せっかく・・。」
「いや、いいよ。なぁに?どっか行くのー?テスト前なのに余裕だねぇ。」
「ううん、テスト勉強、教えてもらうの。」
「ライト君に?」
「ううん。」
「え、違うの?誰?」
「え、っと・・・その・・」
放課後になると、友人のリコに一緒に帰ろうと誘われたが、これから流河に勉強を教えてもらう約束をしていたので断ったのだが。
いつもライトに勉強を教えてもらっているのに、今回は違う誰かに教わるということに対してリコに誰かと問われ、少し顔を赤くしながら、
リコの耳元でそっと流河の名前を言った。
「えっ!!マジで?」
「う、ん。」
「そっかそっかー、うん。頑張れよ、若人。」
「若人って・・」
「んじゃあ、明日感想とか色々聞かせてね。」
「そ、そんなのないよっ・・」
「照れるな照れるな。じゃ、頑張ってね、バイバイッ。」
「あ、うん、バイバイッ・・」
リコに茶化されながらも、流河に勉強を教えてもらえるということの嬉しさはやはり変わらない。
明日、リコに色々聞かれるんだろうなぁ、とか、そんなことを思いながら早速早足で流河の所まで足を向けた。
流河には昇降口で待っていてもらっていたので、急いで教室を後にした。
昇降口へ行くと、相変わらずの猫背で流河がボーっとしながらが来るのを待っていた。
そんな流河を見ると、は『流河君』と声をかけた。
に名前を呼ばれると心なしか嬉しそうな表情で、ただ一言、『行きましょうか。』とだけ言った。
「流河君てさー、頭いいよね。」
「なんでですか?」
「だって、昨日スラスラ英語言うし、それをスラスラと書いちゃうんだもん。すごいよ。」
「慣れ、ですよ。慣れれば出来ます。」
「慣れ、って。英会話とか言ってたの?あ、外国とか?」
「ハイ、少し前まで、イギリスにいました。」
「イギリス!?スゴイね。帰国子女かー。」
「そうなるんですかね。」
「なるんじゃない?そっかぁー、スゴイなぁー・・・」
「ところで・・」
「ん?」
「その様子ですと・・・昨日の英文はまだ訳せていない、ですね。(訳せてたらこんなに普通にしてませんもんね。)」
「・・・・・・・・・ハイ。」
「そうですか。」
「難しいんだよー、アレ。今度ライトに和英辞典借りて訳そうと思ってるんだ。」
「頑張ってください。」
「もー、人事だと思ってー。」
「人事ですからね。」
そう言って互いに笑いあう。
そんな話をしているうちに、流河のおすすめのお店へと着いていた。
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次は流河君とお勉強タイム。ワラ