多分、二人とも不器用なんだと思う
side Childhood friend
隣の○○君
待ち合わせた場所までどのくらい時間がかかっただろうか。
数十分の道のりが、ベタに言うならば数時間もかかったように思えた。
だけど、本当にそんな感じで。
行きかう人にぶつかったが、それどころじゃなく無視した。
睨まれたような気がしたが、そんなのはどうでも良かった。
とにかく早く彼女の元へと早足になっていた。
電話をしてから数分。
なんだかすごく長く感じた。
早く会いたくて。
これから話すことも重要だったけど、とにかく流河君に会いたくて。
たった一週間。
その間に何もしなかったけど、何も思ってなかったわけじゃない。
頭の中では常に彼がいた。
何度目だろう、時計を見たのは。
時計を見るたび、針は進んでいなかった。
「こんにちは。」
「あ・・久しぶり。」
「はい。」
そして数十分後、待ち合わせ場所で互いの姿を見つけ、会話をかわした。
両者共々、なんだかとても複雑な気持ちになっていた。
別れたはずなのに、会ってしまうと何故だかそんな気がしなくて。
そしてなにより互いが愛しかった。
「すいません、待たせてしまって。」
「いやいや、こっちこそ急に呼び出しちゃったんだし・・・とんでもない。」
「あの・・・それで、お話、なんですか?」
早速切り出したのは竜崎。
どうして呼ばれたのか、何を話されるのかと不安で高まるばかりの竜崎は相変わらず表情には出てはないないが、
何処となく焦っているような、そんな口調だった。
竜崎のその言葉にドキリとするだったが、一息置いて口を開いた。
「えっと・・・さ、この前、別れようって言われたでしょ。」
「・・・・はい。」
自分で言った言葉にしろ、竜崎は心がズキンとした。
バツが悪そうに相槌を打った。
「私ね、それから一週間、何もしてなかったの。」
「・・・はい?」
「何もしてなかったけど・・・ずっと、流河君のこと考えてた。」
「・・あの、」
「あんなに泣いたの初めてだったし、しばらく何もする気になれなくて。でも、頭のどこかでずっと流河君のことばっかり、
考えてたの。・・・・あぁ、やっぱり違うな、って。」
「・・何が違うんですか?」
「あのとき言ったことは、私の本当の気持ちじゃない、って。・・・・嫌われたくなくて、我侭な分からず屋だと思われたくなくて、
・・・・・だけど、違うくて・・・その・・・」
「・・・・はい。」
しどろもどろしながら。
手持ち無沙汰で、自分の指を絡めたり解いたりしながら竜崎にそう話した。
の話を聞いている竜崎の表情は、なんとも言えなく、でも優しい表情だった。
「だから、せめて自分の本当の気持ちは言わなくちゃ、って思って、・・・ね?」
「・・・はい。」
表情を伺うようにして竜崎の顔をチラリと覗き込んだ。
そんな一つ一つの仕草が愛しくてたまらなくて、涙があふれそうになる。
そして彼女の次の言葉が決定的なものだった。
「流河君が、大好き。─・・・その、だから、・・別れたくない・・・・から、
・・・・・・もう一度私と付き合ってくれませんか・・・?」」
瞬間、フワリとの体が包み込まれるような感触がした。
驚いている彼女が理解したのは数秒後。
竜崎は離すまいと彼女の体をぎゅっと抱きしめていた。
「─・・・はい。」
の肩に顔を埋めていてそれを確認することはできないけれど、多分竜崎の表情は、無表情ではなく嬉しそうな笑みを浮かべている。
竜崎のいきなりの抱擁とその返答に驚きと戸惑いが隠せないは口をパクパクさせた。
「え、あの、流河く・・ん?」
「・・・私も、ずっとさんのこと考えてました。・・・それこそ仕事なんて手がつきませんでした。」
「・・・うん・・・。」
「・・・嫌われたくなくて、別れを切り出されたくなくて─・・・あんなこと言ってしまって・・・。
結局は、私の自分勝手でさんを泣かせてしまったんですが・・・」
「・・・・・・ね・・。」
「はい?」
「本当・・、自分勝手だね・・。」
「・・はい。そうですね。」
「・・・・でも、今すごく嬉しいから、いいや・・・。」
「じゃあ、私からも一言いいですか?」
「ん?」
「さん、」
「貴女のことが、大好きです。
やっぱり別れたいだなんて言っても、もう知りませんよ・・・?」
「そのセリフをそっくりそのまま返します。竜崎さん。」
「─・・また、よろしくお願いします。」
「・・こちらこそ。」
やっぱり私の世界は貴女がいないと始まらないのかもしれない。
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