人を好きになるってこんなにも大変なことだなんて思いもしなかった。
だってこんなに苦しいんだもの。
いつまでもずっとだいすき。
隣の○○君
「さん。」
「うん?」
「本当にエルを連れて行っても大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。」
「そうですか。寂しくなってしまうんじゃないかと思ったんですが。」
「大丈夫だよ。」
「本当に?」
「・・・ううん、・・・寂しい。」
「分かってます。」
明日、竜崎はイギリスへと行ってしまう。
いよいよこの日が来たかと、は不安に駆られた。
大丈夫だとは言ったものの、やはり寂しくなることには変わらない。
そしてそうして“寂しい”、そう言うを竜崎は優しく抱きしめた。
「イギリスかー。一度行ってみたいなー。」
「じゃあ、この仕事が終わったら行きますか?」
「うん。いつになるか分からないけど、でしょ?」
「はい。」
「うん。待ってるよ。そういえば、学校は?」
「もうワタリが手続き等を済ませたので大丈夫です。」
「そっか。さすがワタリさん。」
「さん。」
「ん?」
「もう日も少ないことですし・・・、さんのしたいこと、我侭、全て言ってください。」
「えー・・・うーん・・・そう言われると困るんだけどなぁ・・・。」
「さんって欲薄ですよね。」
「いや、そんなことはないよ?おいしいケーキいっぱい食べたいし、あ、あとね、
この前行ったラーメン屋さんのラーメンもまたいっぱい食べたいし、あとね、」
「食い気じゃないですか。」
「・・・・・。」
「さんらしくていいですけどね。」
クスクスと笑いながらの頭をそっと撫でた。
「・・・・・ないとは思いますけど、一応言いたいことがあるんですが。」
「なに?」
「・・・・。私がいない間に他の男の人を好きになったら嫌です。」
「・・・・・。」
「あ!なんで何も言わないんですか・・!!!」
「・・・・いや、信用されてないのかー、って思って。」
「ち、違いますよ、一応です。さんのこと信用してないわけないじゃないですか、そりゃあちょっとは
心配ですけど、でも」
「あはっ、ごめんね、そんなに弁解しなくてもいいから!」
「・・・・・・・からかったんですか。」
「いつものお返し。」
口を尖らせてをジロリと見る竜崎。
そんなやりとりだって、今日でしばらくでできなくなる、そう思うとなんだか無性に胸が苦しくなった。
「さん。」
「ん?」
「なにか、ないですか?やり残したこととか、行きたいところとか、」
「あのね、流河君。」
「はい。」
「いいの。」
「なにがですか?」
「何がやりたいとこじゃなくて、何処かに行きたいとかじゃなくて、私ね、流河君がこうやって一緒に
いてくれる時間作ってくれるのが一番嬉しいんだよ。いい加減それ、分かって欲しかったんだけどなー。」
「・・・・そうですか、すみません。・・・ありがとうございます。」
「あ・・・一個だけ、我儘言っていい?」
「はい、なんでもどうぞ。」
少し、頬を赤くしたは竜崎の耳元でコソっと言った。
「明日まで、ずっと一緒にいたいんだけど・・・。だめ?」
彼女の精一杯。
竜崎だって分かっている。何よりそんな顔で見られれば何も言えなくなる。
「・・・はい、喜んで。」
明日までと言わず、本当はいつまでだって。
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あとちょっと。