蒸し暑い夏の夜

捜査員の皆は寝てしまったという中、彼女はまだ起きていた

そしてそのまま私の名前を元気に呼んだ














「竜崎さん、竜崎さん!」

「どうしたんですか?なにかありましたか?」

「すごいです!」

「はい?」

「夜でも蝉が鳴いてますよ!」

「・・・あぁ、ここのところ、夜でも鳴いてますよね。」

「温暖化のせいでしょーか。」

「まぁそのせいで環境が変わってしまったから、というのもあるんでしょうね。」

「このビル、冷房ガンガンきいてますもんね。」

「私が温暖化の原因を作っているとでも言いたいんですか、あなた。」

「あはは!冗談ですよ!」

「暑いと捜査にも身が入りませんからね。」

「そうですねー。書類とか汗でしめりそうですし。」

「それにしても、温暖化のせいとは言え、夜に蝉の声なんてなかなか乙なものじゃないですか。」

「竜崎さん結構ロマンティストなんですねー。」

「結構は余計じゃないですか?」

「あはは。・・あ!」

「どうしたんですか?」

「ちょっと待っててくださいね!」









そう言って彼女は部屋を慌しく出て行った

何をしに行ったのかも告げないのでなにも分からず彼女の帰りを待っていれば

ものの5分ちょっとで帰ってきた

息をきらしながら













「たっ、ただいまっっですっ・・!!!」

「お帰りなさい。ずいぶんと急いで帰ってきたんですね。で?何処に行ってたんですか?」

「あはっ・・すぐ近くのコンビニにっ・・行ってきました・・!」

「少し落ち着いてから、喋っていいですよ・・・。」

「竜崎さんは、花火やったことありますか?」











ズイっと袋を目の前に差し出してきた

袋には花火が入っていた









「花火ですか・・・やったことありませんね。」

「じゃあ、一緒にやりましょう!」

「はい?」

「やりましょう?気分転換です!それに、蝉の声を聞きながら花火なんて夏を一気に楽しめますよ!」

「・・・そうですね。やりましょうか。」











嬉しそうに言うもんだから、つい、私ものってしまいました











「綺麗ですね。」

「でしょう?」

「でもこれはあまりは普通のより地味なんですね。」

「線香花火って言うんですよ、それ。小さくてなんか、はかない感じですよね。」

「そうですね。」

「線香花火が最後ポトって落ちるときにだっけなぁ・・・願い事祈るとかなうとかそんなの聞いた気がしますよ。」

「そうなんですか?」

「なんか、ロマンチックですねー。竜崎さんと同じ。」

「馬鹿にしてますか?」

「まさか!私そういうの好きですもん!」

「そうですか。・・・あ、もうすぐ落ちそうです。」

「竜崎さん、願い事決めました?」

「そうですね─・・・」











この時間をまたあなたと一緒に過ごしたいです











「・・・・竜崎さんやっぱロマンティストですね。」

「駄目でしたか?」

「いえ、すごく嬉しいです。」











来年も、また一緒に花火やりましょうね、竜崎さん。



はい、是が非でも。